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欠陥だらけの天才魔術師(副題:天災魔術師になった天才魔術師はスローライフを生きて行けるか?)  作者: Seisei
第一章 レベルアップ編

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024ー3 その笑顔を永遠に 3

【修行履歴】

2019年10月30日

①24話を6分割しました。

②文章の訂正をしました。

③主人の思考を表す、表現方法の変更をしました。

【翔達は、試練の間を出て街道に出ていた】


 レイラがメンバーになった。


 パーティー“賢人会セイジボード”は、これで五人のパーティーになった。


 翔以外は、美しい四人の少女達だ。翔は嬉しくなって、皆の体にソフトタッチして喜んだりした挙句に、メロに厳しい電撃を受けて丸焼きにされたりした。


 翔は、改めてレリエルや転生の話を皆に説明した。皆それぞれの反応で聞いていた。


「ブリュンヒルデ様もレリエル様が女神フォーチュナー様の使い天使として『転生車輪』を使って部下を集めていたと言っていたから、まんざら嘘じゃ無かったのね。本当に天使レリエル様が存在したのにも驚いたわ。でも転生前の話はなかなか信じられ無いわ」


 イリスが関心したように言った。


「じゃあ。アリスって本当にいるの?」


 メロは、翔の顔を覗き込むようにして、尋ねた。


 翔は、メロの可愛い顔に見惚れながら頭を撫で撫でしながら頷く。


「良いな。私もアリスと話したい」


 メロは、今度は、そんなふうに言い出した。


────アリス。そんな事は可能なのか?


《少しの間なら、皆と話しても大丈夫でしょう。あまり長時間ですと世界樹ネットに経由しているため情報がレリエル様に漏れる恐れがあります》


────それじゃ。皆に話してやってくれ。


《皆さん。こんにちは。私は、アリスです。世界樹ネットの思考型インターフェイスです》


「おお。アリス。声。可愛い」

「正に。良い声じゃ」

「アリス本当にいたのね」


 とメロ、アメリア、イリスの三人が驚きの声を上げた。


「世界樹ネットの思考型インターフェイスとは。翔は、凄いものを持っているのね。思考型インターフェイスは、普通は、相当な位の神でしか付いてくれない。なかなか気難しいと聞いているわ」


 そう言ったのは、レイラだ。


────アリスそうなのか?


《翔様は、このユグドラシルのどの神々よりも偉大な魔術師では、ありませんか》


────お前は何故それほど俺を買いかぶる。


《いいえ。買いかぶりではありません。事実ですし、最近の翔様を見ていますと私の想像を超える魔術師の素質を持っていらっしゃることも分かってきました》


「翔。アリスって翔フェチ?」


 メロは、気持ち悪そうな顔になって、聞いた。


「え? そんな事知らないよ」


 翔は、鼻で笑うが、確かにアリスは危なそうだ。


────アリス。お前の声の中継は今後禁止だ。


 翔は、そう命じておいた。


《承知しました》


 アリスが答えた。


「じゃあ。グアリテーロを探しに行くぞ」


 翔は、慌てて話題を変えた。


「それで、翔には、グアリテーロの消息の手掛かりが有るのか?」


 尋ねたのは、アメリアだ。


「そこなんだが、なかなか難しい」


 翔は、白状した。


「翔の計画を話してみて」


 イリスが怜悧れいりな瞳を向けて聞いた。


「奴らは、どうやら悪魔崇拝者の『壊滅党』と関係しているアンジェリーナ・ゾリという女の子とパーティーを組んでいた。

 しかし、途中で別れたようだ。アンジェリーナは半年前に『始まりの街』に入ったと言う情報がある。唯一の確かな情報はアンジェリーナがゾリ伯爵の娘だという事だ」


 翔が答えた。


「つまり、そのゾリ伯爵から手掛かりを探そうと言うのね」


 イリスは、尋ねた。


「貴族には貴族の仲介が必要ね。翔には貴族に心当たりはないの?」


「レイラは、どうなんだ?」


 翔が尋ねた。一番可能性がある者に聞いたのだ。


 レイラは、首を左右に振った。


「何故か知らないけど、ブリュンヒルデ様は、私がこの国の貴族と、話すのを嫌がるのよ」


 レイラは、不思議そうに、そう説明した。


 レイラのその説明し、少しガッカリして、翔は、頷いた。


「俺の知り合いで貴族に一番近いのは、冒険者ギルド復活都市支部の副支部長ゲイリー・グレンジャーだな。レベルアップ・トライアル・ルートを攻略したら尋ねて行く約束もしてあるので丁度いい。確か復活都市支部の支部長は辺境伯とかなんとかって言う貴族様のはずだ」


 翔達は、一路『復活都市』に向けて行く事にした。




☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆




【レベルアップ・トライアル・ルートを挑戦するイレーネ達は『試練の間』で倒れ、復活都市で復活した。そして復活都市から水晶迷宮に向かおうとしていた】


 イレーネ・ハウザーは、憔悴しょうすいした表情でフラフラになりながら馬上で揺られていた。


 前方を走る隊長のガハード・オレクが止まれの合図を出したのに気づくのが遅れて危うく落馬しそうになった。


「前方から騎乗者が複数騎来るぞ。こちらは下りだ。道を譲るぞ」


 隊長は、そう言うと、騎馬を道端に寄せた。


 街道は騎馬同士がすれ違う時は登りが優先だ。道を譲るのが決まりとなっている。


 イレーネは、馬を止めて一息ついた。復活がこれ程辛いとは心底思わなかった。しかし、自分は、女性なので、隊長や副隊長よりも復活障害が小さいはずなのだ。


 見ると、遥かな先を騎馬の集団が駆けてくるのが分かった。その光景は、イレーネが今まで見たどんな騎馬隊とも違う。


 イレーネは不思議に思い目を凝らした。馬は白い馬だ。しかし何かがおかしい。よく見ると遥かな街道を相当な速度でやってきているのだ。


 その騎馬隊は、巨大な馬で急速に近づいて来ていたため目の錯覚で近くにいると感じたのだ。


 しばらくしてその騎馬隊が本当に恐ろしい速度で走ってくるのが分かった。騎馬は純白で恐ろしく脚力が強いようだ。


「あれは、ユニコーンよ」


 震えた声で召喚士サモナーのリディアが言った。


 ユニコーン。一角獣は、伝説的な馬だ。聖獣であり、光の妖精の国エルフピラタか、それより上の枝の神々の世界に住む。


「あれは、レベル60を超す聖獣。どうしてこんなところに。でも人が騎乗しているようね」


 リディアが言った。


半神英雄エインヘリャル天使アンゲロイなどの神々の御使みつかいじゃないか」


 副隊長の聖騎士レーベン・マーズが言った。


 彼らが話している間に、騎馬隊はみるみる近づいて来た。近づいてくるとその恐ろしい速度が想定よりもずっと早いことが分かった。みるみる大きくなった。


 あっと言う間にイレーネ達の側までユニコーンの騎馬隊が近づいて来た。すると「イレーネ!」


 女の子の声が、ユニコーンからするではなかいか。


 イレーネは、貴人に対して取る黙礼を解いて、慌ててユニコーンの馬上の人影に顔を向けた。馬上の人は、メロだった。


「メロ!」


 イレーネが叫び返した。


 たちまちユニコーン達は、速度を落としてイレーネ達の横に並んで止まった。


 普通の馬よりもずっと大きい。本当に美しい馬だった。


 頭の先から一メートルほどもある長く鋭い角が生えていた。馬特有の美しい大きな瞳がじっとイレーネ達を見つめ、ユニコーンが知能の高い事を伺わせた。


 その中の一匹がイレーネの方に近づいて来て彼女の馬に横付けされた。


「イレーネ。復活障害のようだな」


 翔だった。翔はそう言うと、不思議な魔法の術式を展開して何かの魔法を発動した。


 イレーネは、冒険者のさがで、思わず身構えてしまった。


「ああ急にすまん。復活障害を緩和する魔法だ」


 翔は、そう説明した。


────そんな魔法は聞いたことがない。


 と、イレーネが考えていると、しかし急速に魔法の効果で明らかに身体が楽になった。


「ああ」


 イレーネは、驚きで言葉にならない声を上げた。


「すまんな。まだ研究中で大した効果は、無いだろうが」


 翔は、すまなさそうに言った。


「いや。とても楽になった。ありがとう」


 そう言ったのは、隊長のガハード・オレクだった。


 その言葉で、イレーネは初めて翔が、自分以外のメンバーにも復活障害を緩和する魔法をかけてくれたのだと分かった。


 見回すと皆、かなり楽そうになっているのが一目で分かる。


「ありがとう」


 イレーネが呟くように礼を言った。


「あなた達とは、この街道で何度か会ったけど、その時、復活障害だって言ってたわね。こんなに酷い事だったのね」


「あれは辛いよな〜」


 翔は、相槌を打った。


「でも、貴方のおかげで随分楽になったわ。ありがとう」


 イレーネは、再度礼を言った。


「俺達は、トライアルを終えた。次は君たちがクリアする番だ。ブリュンヒルデさん達には、このコースの理不尽なところを改善するように言っておいたから、少しはマシになっているだろう」


「翔達の存在のおかげで私達は、頑張れる。ありがとう」


 イレーネが言った。


「貴方達。その一角獣も皆が、それぞれ召喚したの?」


 召喚士サモナーのリディアが尋ねた。


「こいつは、メロが一人で出したんだが何か?」


 翔は、聞き返す。


「ええ? 一角獣を、召喚したって言うの?」


 リディアが驚きの声を上げた。


「そうさ。こいつはまだまだだ。高々、この程度の魔物の召喚でへたばる」


 翔は、リディアの驚きを逆の意味に取って答えた。


「リディア。あんたは高名な召喚士様なんだろう。こいつに召喚のノウハウを教えてやって欲しい」


「何を? そんな事できるはずないわ」


 驚いてリディアが言った。


「すまん。冗談だよ。そんな虫の良いお願いなんかできないよな。イレーネの友達なんで、つい調子に乗っちまった」


 翔は、頭をポリポリ掻きながら言った。


 逆にユニコーンの召喚を教えて貰おうと思っていたリディアは思わず絶句した。


「イレーネ。それじゃな。無理すんなよ」


 翔は、イレーネに言いなが通りすぎた。すかさずイレーネの肩に手を置いて馴れ馴れしく挨拶して、去って行った。


「イレーネ。頑張ってね」


 メロも、イレーネの横まで、来ると、明るく言った。


「頑張るのだ。イレーネ」


 アメリアもそい言いながら通り過ぎた。


「こんにちは」


 イリスが、挨拶をして通り過ぎた。


 イレーネは、レイラをみて、飛び上がらんばかりに驚いた。彼女は明らかに人間ではない。そう言う意味ではアメリアもイリスもそうだが、その女の子は、また違う意味で人間離れしていたからだ。


「こんにちは。私はレイラって言うの。今度、翔達の“賢人会セイジボード”のメンバーになっのでよろしくね」


 その女の子は、そう言うとニッコリ微笑んで通り過ぎた。


 イレーネは、その女の子を見て何となく納得した。そして(この子なら)って思った。もしかしたら、自分がこの女の子と同じ場所に立っていたかもしれないと思うと少し寂しい思いがよぎった。


 しかし、今は真の英雄を目指して、一歩でも前に進むべき時だと、自分に言い聞かせて騎馬に鞭を入れた。心なしかメンバーの足取りが軽く早くなっていた。


 イレーネには、分かっていた。


 自分達を追い越して遥かな高みに向かってつき走る翔達は、今やイレーネの手の届く事は叶わない高みの目標となったのだ。


 しかし諦めず彼らを目指して少しでも切磋琢磨して強くなるのだ。そうすれば最初に考えていた目標よりも遥かな高みにまでたどり着くことは確実だと確信していた。彼らは新たな思いを胸に街道をつき走る。

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