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欠陥だらけの天才魔術師(副題:天災魔術師になった天才魔術師はスローライフを生きて行けるか?)  作者: Seisei
第一章 レベルアップ編

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024ー1 レベルアップ・トライアル・ルートのクリア報酬

 サバン魔峡まきょうをクリアした翔達は、レベルアップ・トライアル・ルートの一番最初の場所である『試練の間』に飛ばされた。そこには、復活したレイラも待っていた。


 レイラは、翔達に合わせて小さくなって待っていてくれた。復活障害の為に、かなり辛そうにしていた。


 翔は、すかさずレイラに近寄ると肩に手を置いた。翔の作ったレイラの鎧は戦闘時と非戦闘時でそれぞれ形が変わるようになっていた。もちろん翔には、不思議な事にデザイナーとしての才能があるため、レイラの可愛らしさが特に際立つデザインとなっていて、レイラは、とても気に入っているようだ。


 レイラはたぶん、翔以外の異性には触れられたことも無いだろう。半神デミゴッドでしか無いのにレイラは、不思議なことに女神達よりも可憐でいかなる妖精よりもはかなげに見えた。どんな男でも一目でレイラを守らずにはいられなくなるだろう。


「翔。ダメ!」


 そんな翔の様子を見たメロは、翔の腕を取ってレイラの肩から手を外させた。


「もう。仲間なんだから多少のスキンシップは構わんだろう」


 翔は、名残惜しそうに言った。


「それはさすがにおかしいぞ。仲間でも気安く触っていいわけじゃ無い。私は、別に構わないが」


 アメリアが豊満な胸を突き出すような妖艶な仕草をしながらいった。


「そうか……」


 途端に翔の目はハート型に変形した。それこら彼は嬉しそうに鼻の下を伸ばして、両の手をワキワキさせながらアメリアの方にその手を伸ばそうとした。


「ダメ。エッチ、変態、痴漢禁止」


 メロが慌てて翔とアメリアの間に身体を入れ、ストップとばかりに両手を広げ、厳しく言った。


「そんなに言うならお前が犠牲になれ」


 翔は、今度はそのイヤらしい両手をメロに向けて伸ばした。


 メロの目が光り電撃が翔の脳天に直撃した。


「ぎゃ!」


 翔は、叫び声をあげて飛び下がった。なぜか天才翔をして回避不可能な電撃攻撃なのだった。


 その時、巨大な画面が降りてきた。女神ブリュンヒルデとの面談だろう。


 翔達は、慌ててひざまずいた。直ぐにブリュンヒルデとヴェルダンディが画面に姿を現した。


 ブリュンヒルデは満面の笑顔だった。


「レベルアップ・トライアル・ルートのクリア。見事だった。長い年月の末にようやく私の夢が叶った。感無量だ。ちなみに最近の事だが、お前の紹介だと言って、イレーネ・ハウザーと言う娘が水晶迷宮から『試練の間』に紛れ込んできたぞ」


────おお、イレーネやったか?


 翔は少し嬉しくなった。


「それで、イレーネは受け入れてくれるんだろう?」


「勿論だ。そもそも挑戦の難易度を高くしたのは、このルートが大変厳しいのだと示すためだけの意味しかない。誰の挑戦だって受け入れる」


 ブリュンヒルデは即答した。


 翔は嬉しそうにうなずいた。


「そうか、その噂が広まれば、今度こそトライアル・ルートが繁盛するかもな」


「このルートがクリアされた事は、直ぐに広まるでしょう。あなた達は直ぐに有名人になります」


 ヴェルダンディが言った。


「それなんだが、俺達の実名は伏せて貰えないか」


 翔は、すぐ様お願いした。有名人になってはレリエルに見つかる可能性がある。ここで女神達に天使のことを告げ口しても良いのだが、神々が天使に与える罪の最大のものが天界追放でしかないとアリスに聞いている翔は、レリエルからの逆恨みを考えると話す気にはなれなかった。


「あなた達がそれを望むなら、ギルドも我々も実名は伏せるわ。そう言う生き方も賢明かもね」


 ヴェルダンディは、感心したようにニコリと笑いながら言った。


「済まないな。宣伝したいところなんだろうが、しかし直ぐにイレーネ達が、このルートをクリアするだろう。彼女達は有名人だから、宣伝材料には事欠かないだろう。イレーネ達の速報を逐次詳しくギルドで宣伝すりゃ良いだ。画像付きでルートを攻略している姿を見せるなんてのも良いかもな。そうすりゃルートへの申し込み者は、後を絶たなくかるかもしれない」


「そうなればいいな」


 ブリュンヒルデが目を輝かせて言った。


「きっと、そうなるさ。イレーネを伝説的なヒロインみたいに宣伝するんだ。彼女は、既に人々の人気を集めている。彼女は、正義感が強く若く美しい。その上生まれも良い。人気を集める素養は皆持っているだろう。彼女を中心にして、詳しくクリアの状況を広報すれば、きっと彼女は、空前の人気を博するたろう。人気はそのままルートの新たな募集者の増加に、さらに冒険者の質的向上に寄与するだろう」


「お前は、そんな政治的見識も持っているんだな?」


 ブリュンヒルデの目が光った。


「いやいや。余計な口出しをした」


 翔は、軽く視線を受け流した。


「その方法は面白そうね、ぜひ採用しましょう。貴方はアイデアマンね。またいい提案があったら教えてね」


 ヴェルダンディが翔の提案に乗ってきて、可愛らしい顔を綻ばせて言った。


 翔は、女神でもこれほど性格が違うのだと、ブリュンヒルデとヴェルダンディの二人を見ながら、面白くなった。


 ブリュンヒルデは、強い意志と統率力に長けた女神様に見える。ヴェルダンディは包容力と協調性に長けている女神様のようだ。


「それでは、お前達にルートクリアの褒賞を与えよう。ルートクリアの褒賞は三番目の職業を与えると言うものだ」


 ブリュンヒルデが言った。


 つまり翔達は、トリプルになるという事だ。


「お前達はトリプルとなる。ダブルと比べるとトリプルは相当珍しい。それだけでお前達が一流と分かるだろう」


「問題はそこだ。俺はあまり目立ちたくないんだよ。できれば他のメンバーにも目立って欲しくない」


 翔は、困ってしまった。


 天使レリエルの事だけではない。メロは義母のカロンを暗殺したという壊滅党の暗殺者集団《音無》から注目されない方が良さそうだし、アメリアも奴隷紋を消した事が彼女を苛めた貴族に、バレないとも限らない。イリスに至っては魔王候補だとバレてはタダでは済まないだろう。


「私も皆さんと一緒に冒険をするなら、あまり目立たない方が有難いです。私の将来の夢は、もっと強くなってブリュンヒルデ様のような戦女神ヴァルキューレとなる事です。それまで、あまり目立ちたくありません」


 そう言ったのはレイラだった。


「そうか。では、選んだ職業を隠す事にしたら良い。しかし出来るなら、職業は隠蔽せずに開示した方が効果が高いがな」


 既に二つ目の職業を持つ彼らだ。


 隠すと効果は七割程度になるはずだった。翔は二つ目の職業を隠しているので隠す事によるデメリットは承知の事だ。


「翔の二つ目の職業も隠蔽しているんね」


 ヴェルダンディが尋ねた。女神には翔が隠蔽しているのが見えるようだ。


「そうだ」


──────魔術師職は絶対に隠さないとな、、、


 翔は肩を竦めてみせた。


「でもそれは、勿体無いな。三つ目も隠すとなるとそのデメリットは計り知れない」


 ブリュンヒルデは、悩ましそうに唸るように言った。


 その時、翔は自分達から武具を奪ったイケメン冒険者、グアリテーロ・デ・ミータがレベルをいつわっていた事を思い出した。


「女神様。俺はある所で、世界樹ネットの個人情報を自由に書き換えていた冒険者を見た事があるが、そんな魔法があるんですか?」


 翔は、彼のがふと感じた疑問を尋ねた。


「それは魔法には違いがないが、我々は知らないな。そういえば、悪魔共は昔から人をたぶらかすのがうまいから、奴らならそんな魔法を研究していたのかもしれんな」


 翔は、その時天啓を受けた。グアリテーロ・デ・ミータにその魔法を教わるのだ。そうすれば、自分達の情報は、書き換え自由になる。そんな好都合な事はない。


 翔は、自分の発想を二人の女神に伝えた。


「そのグアリテーロとか言う悪魔教の男を退治して、悪魔の技を奪うというのだな。それも良いだろう」


 ブリュンヒルデは、翔の思いつきに勝手な解釈を加えて言った。


 翔は、グアリテーロを退治するなどと、毛頭も考えていなかったが、特に訂正もしなかった。グアリテーロを多少懲らしめてやりたいとは思っていたが、グアリテーロがあれからどれ程成長しているかも不明だ。


《翔様。さすがに補助職業の隠蔽も三つとなるとさすがにレリエル様にはバレるかと。せっかくですが今回の報酬は諦めてください》


 アリスがそんなことを言ってきた。


 せっかくだがそういうことなら報酬は諦めざるを得ないだろう。


「せっかくだが今回のクリアの褒賞は、その魔法をマスターしてから受けに来ます」


 翔は、口ではそう言いながら心では違う事を考えていた。


────貸しは、必ず返してもらうぞグアリテーロ!


 翔は、密かに心に誓った。

【修行履歴】

2019年10月31日

①24話を6分割しました。

②文章の訂正をしました。

③主人の思考を表す、表現方法の変更をしました。

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