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欠陥だらけの天才魔術師(副題:天災魔術師になった天才魔術師はスローライフを生きて行けるか?)  作者: Seisei
第一章 レベルアップ編

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023ー3 スーパーノヴァ

 翔達は、イレーネ達と別れてから冒険者ギルドに入った。


 冒険者ギルドの受付嬢は、なんとレベル45と言う驚くような高レベルだった。なによりも少し変わっていた。


「何の用?」


 ぶっきら棒な応対だった。


「お前みたいな無愛想な受付嬢もいるんだな」


 翔が面白そうに笑いながら言った。


「あゞ?」


 その受付嬢は、まるで翔の口癖を真似るように横柄に聞き返した。


「その口調はカチンと来るな」


 翔は本当に笑い出しながら言った。


「坊や達。たかがレベル40程度でアルヴィト姐さんにタメ口きくとはいい度胸だね」


 翔の物言いに対して今度こそ受付嬢は本当に怒ったようだ。たちまち闘気バトルオーラを放ち始めた。


 この受付嬢は、かなりの実力派なのだろう。レベル45でこれほどの闘気バトルオーラを放つ者がいるとは驚くべきことだ。


「これぐらいできるようになってからおいで。さっきも最年少のルートマスターかどうか知らないがヘナチョコお嬢ちゃん二人がやって来て、偉そうに物を聞くから叱ってやったのさ」


 たぶんイレーネ達の事だろう。


「アルヴィト。つまらん新人イビリなんて見苦しい事は止めて、サッサと職務に専念して欲しいね」


 さすがに翔は呆れて受付嬢に言った。


「はっはっは。これでもダメかい。ならこれならどうだい」


 アルヴィトと名乗った受付嬢は、今度は無言で心理魔法サイコマジックをかけてきた。なかなかの手際だった。隠蔽もしっかりしている上にフェイクまで仕掛けていた。


 翔は、ついには声を上げて笑い出した。


「あんた。半神英雄エインヘリャル戦乙女デミヴァルキュリーじゃないか?」


 翔のその指摘に今度は受付嬢のアルヴィトが目を丸くして驚いていた。


「ほぉ。見破られたのは初めだね。どうして分かった?」


『アルヴィト・フォング。レベル308。半神英雄エインヘリャル戦乙女デミヴァルキュリー


 アルヴィトが正体を現したためアリスの情報が見えるようになった。


「勘だよ」


 翔は、まさかあんたの情報が見えないからとは言えないので適当に答えておいた。


「冒険者の中には、あんた達みたいな鼻っ柱の高いのがウヨウヨしてるからね。ここら辺で無名の受付嬢にコテンパンにされるって筋書きなのさ。頼むから、この事は内緒にしといてね。ところであんた達はどんな用件なんだい?」


「ユグドラシル基準の正当な魔術を見せてくれる魔術師を探してるんだ」


 翔は答えた。


「ユグドラシル基準? 何だいそりゃ」


 アルヴィトが不思議そうに尋ねた。


「早い話が、俺はユグドラシル基準の正当な魔術というのをキッチリマスターしたいのだが、このメロにしろアメリアにしろイリスにしろ、どいつもこいつも、規格外れの魔法ばかり使うから魔法の本当のグレイドが分からなくなったんだ」


「何を言う。一番規格外れの魔法を使うのはお前だろう」


 アメリアが突っ込みを入れた。


 アルヴィトは、アメリアの方を見ると少し驚いたていた。


「お前は、妖精王種オプティマスだな。その身体から見て、まだ幼生のようだがお前ならその辺の人間達に魔法や召喚で劣る事はあるまい」


 アルヴィトは、不思議そうに尋ねた。


「いやいや。私などこのメンバーの中では、魔法、召喚で一番下だ。素早さぐらいしか能はない」


 アメリアが答えた。


妖精種アールフの中でも羽有り種は、特別な存在と聞く。その中でも青い羽有りは妖精王たる証のはず。お前はオベロン王の血族なんじゃないか?」


 アルヴィトが尋ねた。


 一瞬アメリアは、驚いて目を見開いたが、少し影のある笑いを見せただけで何も言わなかった。


「アルヴィト。その話は勘弁してやってくれ。いろいろ訳ありなのさ」


 翔は、アメリアに変わって答えた。


「訳ありか。噂で聞いていたが、ブリュンヒルデ様とヴェルダンディ様の作られたコースをマスターした冒険者がいると聞いているが、お前達の事かい?」


 アルヴィトが尋ねた。


「うん。私達」


 メロが答えた。


「お前は、神使セオマスターか?」


 アルヴィトは今度はメロの端正な顔を覗き込みながら聞いた。


「そうだよ」


 メロは、アルヴィトの目を見返しながら答えた。


「お嬢ちゃんは、可愛いだけじゃないね。いい目をしている。お嬢ちゃんは、誰に魔術を習ったんだい」


「この子」


 メロは、翔を指差した。


「でも、本当の師匠は魔女ウィッチカロン」


「ほぉ。あのボルホイ火山の魔女ウィッチカロン・アルファードが師匠なのかい?」


 アルヴィトが感心したように言った。


「しかし、悪名高い……」


「その話もそこまでにしてくれ。訳ありなんだ」


 翔は、アルヴィトの話に割って入った。


 アルヴィトに、メロの殺された義理の母の事を下手に話されてはかなわない。


「悪名高い魔女カロン・アルファード、殺し屋、でも一番最後には魔王を退治した」


 メロがアルヴィトに言った。


 翔は初めて聞く話に、ぎょっとしてメロの端正な顔を覗こうとしたが、帽子の大きなつばが邪魔をして彼女の表情は見えなかった。


「お前。カロンが殺し屋って事を知っていたのか」


 翔は驚いて尋ねた。今までの気遣が無駄だったようだ。


「カロンは元殺し屋《音無》のメンバーだった。たぶんカロンを殺したグループも《音無》」


「《音無》のメンバーですって? カロンが《音無》ね、、、、それは貴重な情報ね。私の方からも少し情報をあげましょう。《音無》は、悪魔崇拝主義者どもの闇クラン“壊滅党”の一部組織だって噂よ。ユーリ王国の英雄王暗殺事件に《壊滅党》が絡んでいたとも言われているわ」


「アルヴィトさん。《壊滅党》とやらについてもう少し教えてくれ」


 翔が尋ねた。


「ああ。悪魔崇拝の狂信者共だ。早い話が我々が半神英雄エインヘリャルを育てる為に作ったこのギルドやらルートやらのを真似して、悪魔共が作った裏冒険者ギルドだとも言われているよ。悪い奴らをせっせと作っていて、強さを求めて道を誤る奴らが後をたたんのだ。あっ……。これも悪いが秘密だった。内緒にしといてくれ」


 アルヴィトはニンマリと笑って念を押した。


 思わぬ展開だ。メロの母親殺しの手がかりがいっぺんに入ってきた。


 壊滅党の事は確か『始まりの街』に入るときに警備の兵に聞いた記憶がある。悪魔崇拝の壊滅主義者とか言っていた。


 翔達の防具を掠め取ったイケメンの冒険者、グアリテーロ・デ・ミータやアンジェリーナ・ゾリの名前などが思い出された。


「もっと情報を教えてくれ」


 翔は、声の音を下げて聞いた。


「すまん。これは極秘事項中の極秘事項だ。今漏らした事も内緒にして欲しい。代わりにお前が欲していた魔法の事を教えてやろう」


 こうしてヒョンな事から戦乙女デミヴァルキュリーのアルヴィトと知り合った翔達は、アルヴィトからユグドラシル基準の魔法を教わる事になったのだった。


 アルヴィトは、なかなかの魔術巧者だった。ユグドラシル基準の第八グレイド魔法まで操る事ができた。


「お前達は、驚くべき魔術の天才揃いだな」


 アルヴィトはあんぐりと口を開けて翔達を見回した。


「一度見ただけでポンポンここまでの魔法を発動する者を私は知らない」


 アルヴィトが本当に驚きながら言った。


 アルヴィトは、第八グレイド魔法をほぼ使う事ができ、第九グレイド魔法の一部までも使う事ができた。さすがにそれまでの魔法を習うのは一日ではとても無理なので翔達は『コパナ』の街に泊まる事になった。


 久しぶりの宿屋のベッドにメロがはしゃいだ。イリスも人里が珍しいので、色々な事をメロやアメリアに教わっていた。


 特にお風呂は秀逸しゅういつだった。皆、魔法でお湯を出せるメンバーだったが宿屋のお風呂は格別に気持ち良かった。


「枕投げしよう」


 メロは、言うや否や枕を投げつけてきた。


 翔の顔に激突し、しばらくして落ちると別の枕が飛んできた。


「お前ら。俺を集中放火してんじゃねぇ」


 翔は、魔法で枕を持ち上げるとアメリアに向けて発射した。アメリアは飛んで逃げた。


 しかし枕に仕込んだ魔法は、追尾型にしてあった。スピードもアメリアを上回る。


 ボカーンとアメリアに直撃してアメリアは、笑いながらベッドに墜落した。


 イリスに向けて放たれた追尾型枕を、彼女はスッと掴むと、目にも留まらぬ速さで翔に向けて投げ返していた。


 凄まじいスピードで投げつけられた枕は、翔に激突して羽毛を辺りに散らしてしまった。


 その時あまりの騒ぎに、部屋を覗こうと宿屋の主人がドアを開けた。宿屋の主人は、あまりの混乱した部屋に唖然として口を大きく開けてただ見とれていた。



 翔達は、戦乙女デミヴァルキュリーのアルヴィトに何日間かに渡って、魔術と剣技を習った。なかなか有意義な修行になった。


「やはり正式に習うという事は学ぶ事が多いな」


 翔が感慨深げに言った。


「お前達は、本当に驚くべき奴らだ。私の持てる技をこれほど見事に吸収してくれた生徒は、お前達だけだ」


 別れ間際にアルヴィトは、清々しい笑顔で言った。


「アルヴィト、ありがとう。本当に勉強になったよ」


 翔は、アルヴィトの肩に馴れ馴れしく手を置いて言った。


「アルヴィト。翔のそのエッチな手を切り落として」


 メロは、頬を膨らませながら怒った声を上げた。


「ごんなおばさんの体に触りたかったら好きなだけ触ればいい。しかし、調子に乗ると責任を取ってもらうぞ」


 アルヴィトが笑いながら言った。アルヴィトは、翔のスキンシップを嫌っておらず、まんざらでも無いというように目がトロンとしていた。


 逆に慌てて翔の方が手を除けたのだった。


「大人をからかうと火傷をするぞ」


 アルヴィトは、声を上げて笑い出した。



 そんな事が有って翔達は、サバン魔峡の魔物狩りをさらに加速したのだった。


 天才魔術師たる翔はユグドラシルの魔法についてより深くの知識をえた。


 ユグドラシルの魔法には改善すべき点が多く存在し、翔には改善する能力が備わっていた。


 メロ、アメリア、イリスの三人は翔にレクチャー

受けてみるみる魔法の才能を伸ばした。


 瞬く間に翔達のレベルが上がっていった。


 ユグドラシル標準の魔法を覚えたためか、アルヴィトに剣術を習ったためか、実力も上がっていた。サバン魔峡の魔物狩りも軌道に乗り、クリアも時間の問題だという時だった。


 先頭を歩くメロが皆に忠告した。


「誰か近づいて来るよ。相当にレベルが高い」


 メロは、後ろを歩く翔を振り返って言った。


 見ると空から巨大な羽を広げた何かが、やって来るのが見えた。


────あれは?


 ペガサスだった。


 どんどん近づいてくる。ペガサスは、レベル100を超えていた。


────こいつには勝てそうにないなぁ.......


 翔は、半分諦めの境地でペガサスの勇姿を見ながら思った。さすがに、この美しい魔物には敵いそうにない。上には上がある。


 しかしペガサスは攻撃しては来ず、ゆっくりと地上に降り立った。大きさは二十メートルほどもあるだろうか。その背中には、なんと、戦乙女デミヴァルキリーのレイラが跨っていた。


 翔が別れ間際に送った、黄金の甲冑を身に付けている。長い豪華な金髪がよく似合っていた。


 翔達は、レイラに駆け寄った。いつもなら直ぐに翔達の大きさに合わせて小さくなるレイラだったが、今日は、ペガサスに跨ったまま翔達を見下ろしていた。


 その真剣な眼差しを見て翔はレイラがいつもと違う強い意思を持ってやってきたのだと分かった。


 転生車輪の情報端末であるアリスが作り出す吹き出しを見ると、だいぶん戦乙女デミヴァルキャリーイリスのレベルが上がっていた。


『レイラ・リンデグレン。15歳。戦乙女デミヴァルキュリー。レベル67』


「レイラ。どうしたんだ?」


 翔は、強大なペガサスに跨る巨人のレイラを見上げながら尋ねた。あまりにも巨大な彼女に聞こえるか不安だった。


「皆んな。今日は私のワガママを聞いて欲しいの」


 レイラが強い口調で言った。


「なんなの?」


 アメリアがレイラの視線の高さまで飛び上がりながら聞いた。


「今日は私は、翔に一騎打ちの勝負をしにきたのよ」


 レイラがアメリアに答えた。


「どういう事?」


 聞いたのはメロだった。


「皆の修行の邪魔になる事は分かっているわ。でも私は、翔と闘って勝つために修行をしてきたのよ」


「お前は、俺なんかよりずっと強いだろうが」


 翔が怪訝な顔をして聞いた。アメリア以外の皆が飛翔してアメリアの横に並ぶ。


「それは少し前の事よ。今の貴方は、本気で闘うと私よりも強いかもしれないわ」


「そんな事は無いだろう」


 翔が笑いながら言った。


「お前は、レベル67もあるじゃ無いか」


「駄目よ。翔はどう見てもレベル45には見えない。貴方の魔術の才能はどういう訳かブリュンヒルデさまでも測れ無いみたいだし。油断なんてできなきわよ」


 レイラが首を横に振りながら言った。


「一騎打ちは良いが俺が負けるとサバン魔峡の魔物をたくさんやっつけたのにまた一からやり直しになるんだろ。ここが終わってからじゃダメなのか」


「このトライアルが終わる頃には、翔は私の手には負えなくなっているに違いないわ。私はもう待てないの」


 レイラは必死だ。


「翔。私は、レイラには世話になったから聞いてあげて欲しい」


 メロが言った。


「私もそれで良いぞ」


「私もいいわよ」


 アメリアとイリスも同意した。


「じゃ。一つ俺から条件を出しても良いが?」


 翔が尋ねた。


「ええ。何でも聞くわ」


 レイラは胸の辺りを両手で押さえるような仕草をして言った。


「待て待て。その仕草はどう言う意味だ? 俺は……。まぁいい。それじゃぁ、レイラ。俺が勝ったら俺達のパーティーに入れ。それと俺は好きなように触ら……」


「レイラ。パーティーに入って、勝っても負けても翔に触るのを許したらダメ。許さなくとも勝手に触る。変態」


 少しレイラはホッとした顔をした。上品で可愛い顔がますます可愛くなった。


「あなた達には、迷惑をかけちゃうから、そのお詫びをさせて欲しいと思っていたし、ブリュンヒルデ様は私も修行の旅をした方が良いって言ってたから、こちらからお願いしたいほどよ」


「やった!」


 メロは、嬉しそうに歓声を上げた。


 こうして戦乙女デミヴァルキュリーのレイラ・リンデングレンが仲間になった。



 翔は、神々の標準の大きさになっているレイラと、同じ大きさになった。


 その時、レイラはやはりといった顔をした。巨人になれるのは半神英雄エインヘリャルとなる最低条件であり大きな意味がある。


 巨人化できない人間は天上界ヴァルハラには入れないのだ。レベル50以下の人間には無理なはずだ。


 次々にメロ、アメリア、イリスが同じように巨人化した。


 レイラはそれを目を細めて見た。


 翔にばかり意識が行っていたが、見れば実力の上で彼女達も相当な実力になっていた。


 レイラは、彼女達にすら負けるかもしれないのだ。特にメロは『神使セオマスターい』で神々の天敵だ。


「あなた達は、本当に凄い人達ね」


「私は妖精だ」


「私は魔王候補」


 アメリアとイリスが同時に否定した、


 レイラは、クスリと笑った。


「では、やろうか」


 催促したのは、翔だった。


 レイラはペガサスから飛び降りると翔の前に立った。レイラはペガサスに礼をした。


「レイラ。この人間達ならお前の旅の仲間に相応しかろう。強くなって帰ってこい」


 ペガサスがレイラに言った。


「ありがとう。ウリネス」


「うむ」


 そう言うやペガサスは、天に向けて飛び立って言った。


 レイラ・リンデグレンは、翔がレイラに送った美しい剣を構えた。


 翔は、金棒を構えた。双方正眼の構えだ。


 レイラは、試し打ちの剣撃を打ち込んだ。翔は、その剣先を軽く払ってカウンター攻撃を入れた。見事なタイミングだった。


 レイラは、片手で剣を回して金棒を叩き落そうとした。翔は、金棒をスッと引いて回避した。


 立ち位置が入れ替わり、また双方とも正眼に構えた。


 翔の背後に魔法術式の魔法円が何重にも開いた。それが巨大化して行く。


 レイラは、その魔法円に、衝撃波を伴った斬撃を放った。初めて見せる剣技だった。恐ろしい威力だった。


 翔の周りに無数の魔法陣が現れ魔法が発動した。


「『爆炎嵐フラミスストーム』!」


 ユグドラシル基準で第七グレイドの魔法だ。


 しかし、魔法陣の数は全部で十三もある。


 レイラは、ギョッとして慌てて斬撃を放つが全部は、防げなかった。それほど翔の魔法は素早かった。


 レイラは、思いっきり地面を蹴り飛翔して翔の魔法を回避した。レイラを追うように『爆炎嵐フラミスストーム』の灼熱の嵐が吹き上がった。


「『大輪風車斬』!」


 レイラが大剣技を放つ。レイラの放った風系の大剣技により翔の爆炎が押し込まれ吹き飛ばされた。


 翔は、魔法障壁マジックバリアを張ってレイラの剣技を防いだ。


 見るとレイラは恐ろしい速度で肉薄してきた。翔は、魔力を注ぎ混んでレイラの速度に合わせて移動した。


 レイラの飛翔速度は、彼女の全身を覆う魔法障壁マジックバリアに空気が圧縮されて飛行機雲のような靄が発生するほど凄まじい速度に達していた。


────レイラの闘気バトルオーラは、我々のとは少し違うようだな。


 翔は、レイラが放つ闘気の分析をしながら思った。


 翔が分析をする僅かな隙をついてか、レイラが切りつけてきた。翔は、それをもうまく回避して金棒で受け流した。


「私の必殺のこの斬撃をこれほどうまく流されるとは思ってもみなかったわ」


 レイラが言った。


「でも翔、貴方は何を恐れているの? 思う限りの魔術を使って私を倒さないと一生恨むわよ」


「すまん。本気の魔術を使うよ。後々の面倒はその時に考えるとしよう。ちなみにレイラ、お前も復活魔法はかかっているんだろうな」


「安心して、私には二重三重の復活魔法がかけられているわ。私を本当に殺すのは一苦労よ」


「お前な。それで正当な魔術比べっていえるのか?」


 翔は、文句を言うが顔は明らかに安堵の顔になっていた。


 直ぐに魔力を集約し、魔法の発動を加速させる術式を展開した。


 焦点を合わせ魔法の発動範囲をレイラの身体に固定させる術式を展開する。


 次に魔力をエネルギーに変換する術式を解放して翔の持っている魔力をどんどん注ぎ込んだ。


 ここからが本番だ、エネルギーを倍加する術式を展開し何重にも重ね掛けを行った。


 エネルギー保存則を無視するもっとも難しい術式が無数に展開された。


 翔は、ここで一旦その展開を止めそうになるが、その抑止の思い改め、さらに重ねがけを繰り返した。


 魔法の術式は、無風の魔法陣で真っ青に光っている。さらに極大化の術式を追加し、焦点の微調整をした。


 それまでの魔法展開に約0.2秒かかった。


 そんな僅かな時間だが、それでレイラには十分な余裕だった。その僅かな隙を付いて甚大な攻撃技を放っていた。超大剣技『千回斬首』だ。目にも止まらない斬撃の嵐が翔を襲った。


 翔は、それを無視して魔法の発動ワードを唱えた。


「『超新星スーパーノヴァ!』


 レイラは、その魔法の発動ワードが唱えられる直前に必死で回避行動を取ろうとした。しかし、翔の放った魔術は彼女の想像を遥かに絶する魔法であり、抗うことも回避することも到底不可能な超絶魔法である事をレイラは直ぐに悟った。


 サバン魔峡には、にわかに天空にかかる太陽とは別のもう一つの太陽が出現した。その表面温度は何万度にも達し、巨大な火球と化して全ての山野を飲み込んでいった。あらゆる物体と生命が一瞬で消滅し消えて無くなった。




【サバン魔峡をクリアし、レイラをも倒した後のメンバーのレベル】


○翔 レベル51

 実力のレベル68

○メロ レベル52

 実力のレベル65

○アメリア レベル52

 実力のレベル63

○イリス レベル51

 実力のレベル62

○レイラ レベル55(レベルダウン)

 実力のレベル60


023 了

【修行履歴】

2019年10月27日

①23話を3分割しました。

②文章の訂正をしました。

③主人の思考を表す、表現方法の変更をしました。

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