021ー1 魔精結晶さん?
【第百層。始まりの部屋】
美しいソプラノの旋律に誘われ、メロは一人、意識を覚醒させた。
隣ではアメリアが繭となり、翔はだらしなく眠っている。好奇心を抑えきれないメロは、『微光』の魔法を灯し、歌声の主を追って部屋を飛び出した。
巨大な彫刻が施された扉の先。そこは、天井に水晶の大広間を仰ぐ、光に満ちた宮殿だった。
泉のほとりで歌っていたのは、背中まで届く長い髪を持つ、小柄な裸の少女。
だが、振り返ったその瞳には真っ赤な狂気が宿っていた。
いきなり襲いかかる少女。その野生味溢れる鋭い斬撃を、メロはベニベドル直伝の技術で紙一重に受け流す。
少女の手から放たれる禍々しい黒い魔力の塊――爆発の衝撃波を闘気で耐え凌ぎながら、メロはその異常なステータスを読み取った。
『年齢0歳。レベル18。魔精結晶』
迷いから反撃できず、疲弊していくメロ。
窮地に陥ったその時、闘気を纏った翔が影のように現れ、暴れる少女を羽交い締めに封じ込めた。
「メロ、こんな小さな子をいじめたらダメじゃないか!」
慌てる翔だったが、腕の中でジタバタと暴れる裸の少女を前に、どこを掴めばいいのか分からず顔を赤くして狼狽する。
「翔、エッチ! その子をジロジロ見ないで!」
メロの叱咤と少女の叫び声が響く中、繭から目覚めたアメリアがのんきに姿を現した。
狂乱する少女を鎮める鍵は、彼女が歌っていた「歌」にある。
メロは叫んだ。
「アメリア、この子は歌が好き! あなたの綺麗な歌声を聞かせてあげて!」
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