020ー6 繰り返しの意義
【戻りの道中……第五十八層……さらに上層へ】
第九十九層を攻略した翔たちは、魔精結晶を育てるというブリュンヒルデの命に従い、第一層を目指して道を引き返していた。
「戻りは楽勝」という楽観は、すぐに打ち砕かれる。死の恐怖は回数を重ねるごとに増し、慣れることなど決してなかった。
第五十八層、トカゲ系の魔物が跋扈する階層。
ドラゴンへの憧れを隠さないメロは、同族嫌悪か、はたまた「特別な存在」への敬意か、ここでは火炎大蜥蜴を封印し、神聖な『木の妖精』を召喚して周囲を呆れさせる。
一進一退の攻防、繰り返される死と復活。一行は泥を啜るような思いで、ようやく第一層へと辿り着いた。
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【第一層。もう一度、迷宮の深層へ】
第一層から再び潜る二度目の往復。
強くなった自負はあっても、一度目よりミスが許されない緊張感が復活障害を重くする。死ぬことがどんどん恐ろしくなる中で、翔たちは真の「慎重さ」を学んでいった。
【第九十九層、二往復目】
再び訪れた水晶の広間。そこに君臨していたのは、巨鬼ベニベドルを「厄介者」と呼び、その後釜に座った『黒悪魔』だった。
「自分を実力以上に大きく見せる。それがお前の弱さだ」
翔は、第三グレイド魔法を誇示する黒悪魔に対し、あえて知略を仕掛ける。
黒悪魔が放った『魔封じ』の魔法陣を、翔は密かに改ざんした。
「魔法が効いたフリ」という下手な芝居で敵を油断させ、魔法の反射ベクトルを逆転。黒悪魔がトドメに放った強力な火炎旋風は、翔たちの魔法によって強化された上で黒悪魔自身へと跳ね返り、自慢の牙城を崩壊させた。
☆☆☆
【第九十九層、三往復目の第一回目のチャレンジ】
そして、三度目の往復。
翔たちは、ブリュンヒルデがこの苦行を課した真意を悟っていた。
一度目は根性、二度目は知略、そして三度目は「己の欠点」を克服し、ステータスを真の完成へと導くため。
復活の回数は目に見えて減り、三人の動きはもはや迷宮の魔物を圧倒する域に達していた。
「ついに百層へのチャレンジだ」
レベルを抑え、ステータスを極限まで研ぎ澄ませた三人は、力強く頷き合い、最深部へと足を踏み出す。
○翔:Lv13(実力Lv27)/闘気と剣技、魔法改ざんの応用を修得。
○メロ:Lv14(実力Lv26)/ロッド武術と上位精霊・魔物の使役を確立。
○アメリア:Lv14(実力Lv26)/剣の奥義と多彩な範囲攻撃を会得。
お読みいただきありがとうございました!
三度の往復、計六回にわたる水晶迷宮の踏破。
「死」を隣人として歩み続けた翔、メロ、アメリアの三人は、もはや当初の弱々しい冒険者ではありません。
黒悪魔を翻弄した知略、巨鬼から受け継いだ技、そして深まった絆。
全てを携え、一行はついに戦女神ブリュンヒルデの待つ第百層へ――。
迷宮編、いよいよクライマックスです!
彼らが手にする「魔精結晶」の力とは? そして翔の運命は!?
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