020ー4 巨鬼(トロール)
【修正履歴】
2019年9月29日
○トロール、ベニベドルのレベルを35から48に変更しました。
○第20話を6分割しました。
○分りにくい表現を訂正しました。
○少し加筆しています。
○主人公等の思考を表す表記の方法を以下のように変更しました。
(主人公等の思考)
↓
────主人公等の思考。
なお、この変更は、順次行っています。
表記がしばらく混在しているので、お許しください。
【始りの部屋】
「翔。大丈夫?」
本当にお馴染みの光景だ。
彼女達よりも先に目覚められない自分が、なんとも情けない。
「大丈夫だ。今回は相当、魔物共をやっつけたからな。復活障害も少ないな」
「少しレベルが上がったね」
「ああ。そうだな」
翔は、レベルアップのために、ここに来たのだと改めて思い出した。
記憶が混乱し訳が分からなくなる。復活した直後はいつもこんなもんだ。
「また新しい技を覚えたぞ。竜巻剣だ」
アメリアが、嬉しそうに、言った。
「範囲技か?」
翔が尋ねた。
「ああ。一度の攻撃で敵、最大五百を攻撃できる」
「大技じゃないか」
「私もこれほどの大技をこんなに低レベルで覚えるとは、思わなかった」
「翔。私もレベル32火炎大蜥蜴を呼べるようになったよ」
メロも得意げに報告した。
「メロ。そいつは強いのか?」
翔が尋ねた。
「体長は、火炎蜥蜴の十倍もある。口からマグマを吐く」
「そうか。メロ。そろそろお前も、本格的な精霊魔法使いだよ。自分よりも相当強い魔物や精霊を、召喚し、使役できる者が、本当の精霊魔法使いって言うんだよ」
たくさんの魔物を一挙に退治できたので、今回は、復活障害よりもレベルアップが勝ったようだ。
メロもアメリアもレベルアップの恩恵を受けて、新しい技や召喚魔法が、手に入ったもののようだ。こんな事は迷宮に入って、初めての事だ。
しかもレベルアップの恩恵がかなり大きなものとなっているように感じた。これも、今までレベルアップを抑えてステータスを必死に上げてきた効果だろうと思われた。
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【第九十九層。第二回目のチャレンジ】
アメリアは、竜巻剣を、メロの火炎大蜥蜴の大技を使えるようになったので、かなり楽に攻略できると思って、第二回目のチャレンジを行っていたが、その目論見は、見事に外れてしまった。
実際は、第一回目のチャレンジと、全く同じような展開になってしまったのだ。
逆に第一回目の方が少しマシなぐらいだ。
────どうして、こいつらの強力な技や精霊魔法が使えるようになったのに苦戦するんだ?
翔は、不思議に思った。
魔物達は、意図的に消耗戦に、誘い込もうとしているようだった。
しばらくチャレンジして分かった事だが、翔の爆発、アメリアの竜巻剣それにメロの火炎大蜥蜴などの派手な大技は、一見派手で効果的に見えるが、実際は派手に敵の魔物を蹴散らしているだけで大きな成果にはつながっていないようだった。
それよりも、こちらの消耗を早めているようにすら感じる。
今の翔の爆発では、せいぜい数百体をやっつけるのが精一杯だが、敵は何十万といるのだ。
今の翔では、爆発を放つのは、せいぜい数十発が限度だ。派手な魔法だから敵をやっつけられて気持ちが良いが、効率が良いとは全然言えなかった。
メロの火炎大蜥蜴もそうだ。一度に出せる火炎大蜥蜴は、三体が限界のようだし。それを三度補充するのが精一杯のようだ。それほど、多くのMPを消費するのだ。
アメリアの竜巻剣も同じだ。一度、竜巻剣を使うと次に使えるようになるのにかなりの時間を要するようた。
「おい。俺達は、大勢の敵を前にして頭が混乱していたのかもしれんぞ。これ程多くの敵に囲まれたら誰しも大技でも出さないとダメって考えるもんだ。しかし、それが奴等の狙いだったんじゃないか? 目の前の魔物達は我々に派手な攻撃をさせるための餌だ。これからは、できるだけMPを消費しない技で攻撃してみよう。メロは、俺達の後方支援をしてくれ」
翔は、そう言うと、闘気で身と武器である金棒を包み込んで自分達に向かってくる、敵を次々に退治し始めた。
しかし、翔達がその闘い方に変えたとしても敵の数があまりにも多過ぎた。
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【第九十九層。第二十八度目のチャレンジ】
翔。メロ。アメリアの三人は、三人が一つになったり別れたりして彼らに向かってくる無数の魔物を次々に退治して行った。
翔達の動きは、全く無駄がなくキビキビと優雅な動作で、まるで踊っているように見えた。
完全に戦闘系からかけ離れているはずのメロですら、魔法杖を優雅に振るい美しいとも言える攻撃で魔物達を屠った。
どんなに強い魔物であっても、彼らの闘気に包まれた攻撃では、紙を切り裂くように次々に退治された。
永遠に続くかと思われた魔物海戦術も最後の敵を残すのみとなった。フロアーボスだ。何度も何度も翔達に引導を渡すために右手を振っていた憎い魔物だ。
十本の角があり、大鬼よりもかなり大きい魔物。巨鬼だった。
『巨鬼。レベル48。【弱点】電撃系。【特徴】全長十五メートルもある全身が鋼の筋肉で物理攻撃に強い。素早く。頭も良い。第三グレードの魔法を使う』
何と言う恐ろしい魔物だ。これ程の魔物と戦って勝てるとは思え無かった。しかし、翔達は、臆する事無く、巨鬼の前に立ちはだかるのだった。
「おい。こいつ笑ってやがる」
翔は、呆れながら言った。
あの魔物達の群をやっつけられて、この余裕とは、相当に自信があるのだろう。
しかし、一目で、その巨鬼が、見た目のレベル48とかけ離れた存在だと言うのは、分かった。
闘気が凄いのだ。
────こいつは生半可な相手じゃないな。
翔は、闘気を全開にしながはそう考えた。
翔達、三人が巨鬼の前に立った瞬間だった。黒い旋風が翔達の全身を包み込んだ。次の瞬間。死の恐怖が三人を襲った。




