020ー3 大群
【第七十二層。第三十二回目のチャレンジ】
「メロ。六角大鬼を三体召喚して先頭を歩け。お気に入りの小悪魔を巻き添えにしないよう、俺たちから離れて進むんだ」
翔の指示にメロは真剣に頷き、召喚獣と共に先行する。
その背を見送りながら、翔はアメリアに耳打ちした。
「メロはあの小悪魔に取り憑かれている。敵を騙すにはまず味方から――俺の故郷の格言さ」
闘気を目に集中させ、隠蔽を見破る視力を得た翔には見えていた。メロの肩に居座る小さな影が。
遠話魔法でメロに「背後五十メートルにいる」と偽の情報を流しつつ、翔とアメリアは大きく迂回して敵の先回りをする。
待ち伏せしていた悪魔の群れの背後を取り、障壁で逃げ場を塞いでからの『大爆発』。
知恵を誇る悪魔たちを、より狡猾な知略で殲滅し、メロを操っていた小悪魔も魔法光線で射抜いて排除した。
☆
それからの一層一層は、血を吐くような試練の連続だった。
数えきれないほどの全滅と復活。新しい技の会得、戦略の革新、あるいは初心に帰っての魔術の再発見。
一行は限界を何度も塗り替えながら、ついに第九十八層を突破。
運命の第九十九層へと足を踏み入れた。
☆☆☆
【第九十九層。第一回目のチャレンジ】
そこは、これまでの迷宮とは一線を画す、巨大な水晶の空洞だった。
視界を埋め尽くすのは、第一層から九十八層までに出現した全ての魔物たちの軍勢――まさに魔物海戦術。
「翔。もう持たないよ!」
メロが悲鳴を上げる。Lv28の火炎蜥蜴を次々と召喚して応戦するが、多勢に無勢。アメリアの『大突風剣』も、翔の『爆発』連発も、無限に湧く敵を前にジリ貧へと追い込まれていく。
遥か後方、この軍勢を統べる大ボスが、あざ笑うかのように右手を振り下ろした。
それが総攻撃の合図だった。
大地を揺らす咆哮と共に、全魔物が一斉に翔たちへと殺到する。
お読みいただきありがとうございました!
知略で悪魔を出し抜き、ついに到達した第99層。
しかし、そこで待ち受けていたのは、これまでの苦難を全て凝縮したような絶望の軍勢でした。
魔物の海に飲み込まれようとする翔、メロ、アメリア。
全ての魔物を統べる大ボスの冷酷な合図。
果たして、この「詰み」に近い状況から、三人は生き残る術を見つけ出せるのか!?
いよいよクライマックス間近。
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