020ー3 大群
【修正履歴】
2019年9月29日
○第20話を6分割しました。
○分りにくい表現を訂正しました。
○少し加筆しています。
○主人公等の思考を表す表記の方法を以下のように変更しました。
(主人公等の思考)
↓
────主人公等の思考。
なお、この変更は、順次行っています。
表記がしばらく混在しているので、お許しください。
【第七十二層、第三十二回目のチャレンジ】
「メロ。お前は、六角大鬼を三体ほど召喚して、俺達の先頭を歩いてくれ。お前のお気に入りの小悪魔が出たら、そいつを巻き添えにしないためにも、俺達より離れて歩いて行けよ。俺の遠話魔法でお前達が悪魔の攻撃に晒されないように導いてやろう」
「うん。分かった」
メロは、真剣な眼差しで答えると妖精魔法を使い、六角大鬼を三体呼び出した。
それから、メロは、六角大鬼を先に行かせて、翔達の前を歩き出した。
「翔。防御力の弱いメロを先に行かせて大丈夫か? あんな気持ちの悪い魔物が可愛いと言うメロは、どうかしているぞ」
アメリアは、メロに聞こえないように、翔の耳元で呟いた。
「ああ。任せておけ。俺に考えがあるんだ」
メロが歩き出すと翔は遠話魔法で指示をだした。
────メロ。少し早く歩いて俺達から距離を取れ。
────了解!
メロが遠話魔法で答えた。
メロ達が前衛を歩いた。
その後姿を見ながら、翔は、アリスに教えてもらった通り、闘気を目に集中させて視力を向上させた。
途端に、視力が飛躍的に上昇し、直ぐに視界が広がった。そして、翔は、身振りでアメリアにもするように示した。
アメリアは、無言で頷いて翔を真似る。
翔は、メロの方を指差した。メロの左肩に小さな小悪魔が浮かんでいるのが見えた。
「メロはどうやらあの小悪魔に取り込まれたていたようた。敵を騙すには、まず味方からって俺の故郷では言うのさ」
翔は、アメリアに説明した。
────メロ。俺達は、お前の後ろに付いて行ってるからな。約五十メートル後ろだ。
翔は、そう遠話魔法で伝えた。
────了解。
メロが遠話魔法で答えた。
「あの小悪魔は、メロの精神を乗っ取っているだろうから、俺とメロの遠話は筒抜けだろう。俺はメロ達の後ろから着いて行ってる事になっている。しかし……」
そこまで言って翔は、ニヤリと笑った。少し意地悪そうな笑になっていた。
翔は、アメリアに指示し、足早にメロの横を大きく迂回して追い越して行く。そのまま、メロの五十メートルほど前を石柱に隠れながら進む。
そうしていると翔は悪魔の群を見つけたので指差してアメリアに知らせた。
「なるほどな。待ち伏せする敵の背後から攻撃しようと言うのだな」
アメリアが感心したように言った。
翔は黙って頷いた。
それからゆっくりと大魔術の術式を展開する。悪魔達は全く気付いていない。これ程ゆっくり術式を展開できるなら今の翔でもこれぐらいの魔術は可能だ。
「『大爆発』!」
翔は、悪魔の群を魔法障壁で覆い尽くすと同時にその中で大爆発を発動させた。
「見事だ」
アメリアが笑いながら言った。
「うむ」
翔が横柄に頷くと、メロの方に指先を向けた。その指先から魔法光線を発射し、メロの右肩に止まっていた小悪魔を撃ち抜いた。
「知恵の働く魔物には知恵で対抗するのが有利って訳か?」
アメリアが感心した様に言った。
☆
翔達は、九十九層の一つ一つの層を攻略するのに何度も何度も復活した。全部で何度復活したのか数える事も出来ないほどだ。時には新しい技を覚え、時には革新的な戦略を発見し、時には初歩に帰ったり、初歩の魔術のさらなる有効な使い方を発見する事で、ぎりぎり各層をクリアする事が出来た。
そして第九十八層までクリアし、いよいよ第九十九層に入るのだった。
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【第九十九層。第一回目のチャレンジ】
「こいつは、まともじゃないな」
第九十九層は今迄の各層とは全く形状が違うものだった。巨大な空洞になっており、その空洞が全て水晶で覆い尽くされていた。
外部からの光が、水晶を通してこの深層まで届いているようだった。目が眩しい。
その巨大な水晶の空間には、無数の魔物達が埋め尽くされていた。人海戦術、正しく言うなら魔物海戦術だ。
第一層から第九十八層までの出現した全ての魔物がオールキャストって感じで、巨大な大空間に集合していた。
『始まりの部屋』から出た瞬間に、魔物に取り囲まれると言う設定のようだ。
翔達は、闘気を全開にして魔物達を寄せ付けないように頑張った。
魔物達は、翔達の闘気に気圧されて近づけないようだった。
翔は、その状態で、何度も魔法の『爆発』を連発して多くの魔物達を屠ったが、そろそろ限界だった。
アメリアも、最近覚えたての大突風剣
(ラルジインペトス)を何度も見舞った。
メロは、彼女が召喚できる最高の精霊レベル28火炎蜥蜴を三十体も呼び寄せ、魔物達に対抗させた。メロは、呼び寄せた精霊の後方支援を懸命に行っていた。
しかし、このままではジリ貧だ。
「翔。もう持たないよ」
火炎蜥蜴が残り五体になった時、メロが悲鳴をあげた。それでも、メロは、必死でさらに、追加の十体の火炎蜥蜴を召喚した。
火炎蜥蜴は火炎を身に纏う巨大蜥蜴だ。口から火炎放射を放つ。
しかし、遥かな後方にその層の魔物達を操る大ボスが、あざ笑うかのように、わざとゆっくりと、右手を上げると、総攻撃を意味するのだろう、ゆっくりとした動作で上げた手を前に振り下ろすところを翔達に見せていた。
その合図と同時に、全ての魔物達が、一斉に、翔達に向かって殺到して来た。




