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欠陥だらけの天才魔術師(副題:天災魔術師になった天才魔術師はスローライフを生きて行けるか?)  作者: Seisei
第一章 レベルアップ編

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019ー7 再びの繭(まゆ)化

【修正履歴】

2019年9月24日

○第19話を7分割しました。

○分りにくい表現を訂正しました。

○少し加筆しています。

○主人公等の思考を表す表記の方法を以下のように変更しました。


(主人公等の思考)

    ↓

────主人公等の思考。


なお、この変更は、順次行っています。

表記がしばらく混在しているので、お許しください。

【第十五層。始まりの部屋。第一回目のチャレンジ】



「翔。『脱出ファーガ』の呪文。唱える?」


 メロが心配そうに顔を少ししかめて、翔に尋ねた。


「そうだな。少し様子を見ようか」


 翔が答えた。


 第十四層をギリギリのところでクリアし。第十五層の『始まりの部屋』に入って、『始まりの部屋』の宿泊施設で睡眠を取った。


 起きてみると、アメリアがまゆになっていたのだ。


「始まりの街でも何時間かでまゆからかえってたから、大丈夫だろう。心配なのは、孵化ふかした後が、アメリアとは似ても似つかない化け物になっていたらどうするかだ」


「翔。うるさい! アメリアがそんなのになる訳ない」


「俺は、魔物を仲間にしても、ちっとも構わんが、あの美味しそう……いや。ナイスなプロポーションが見れんのが悲しい」


「翔。本当に黙りなさい! 次に口を開いたら、電撃ソックで眠らす」


 メロが端正な目を細めて翔を睨んで言った。


「お前。どうしてアメリアのバディの話になると……ぎゃ!」


 翔に、それ以上言わせずに、メロは電撃ソックの魔法を食らわせた。


「すまん。お前もなかなか、可愛い幼児体型がす……」


 今度こそ、本気で怒ったメロは、雷撃ドンダーをお見舞いしたのだった。


 その素早い攻撃に翔は、慌ててシールドを張って回避しようとすた。


 しかし、何がまずかったのか、電撃は、翔の防御を回避して直撃してじった。


「ぎゃーーー」


 翔が悲鳴をあげた。


────こいつもなかなかやるじゃないか


 翔は驚きつつ考えた。


「何を騒いでいる」


 アメリアの声に翔もメロも声の方に顔を向けた。


 繭からかえったアメリアは、前のままでもあったが、少し変わってもいた。より美しく、よりエレガントになっていた。特に青い妖精の羽の輝きが増したようだ。


「変わりないか?」


 翔は、珍しく心配こうに、尋ねた。


「うん? 何でもないが?」


 アメリアは、そう言いながら両眉をひそめて翔を見た。


「何でも無いならいい。じゃぁ、十五層のチャレンジ。行ってみようか」



 『始まりの部屋』を出ると、いつもとすこし様子が違った。


「ふぇぇ。翔。ここ。広いね」


 メロは、巨大な洞窟が広がる眺めを前に、歓声をあげた。


「こいつは、嫌な予感がするな」


 今迄の通路と違い規模が大きいのだ。高さは今迄の何倍もあった。


「どんな魔物が出てくるか、この規模で小人とかは無いよな」


 翔がフラグの立つような事を言った。直ぐにフラグを折に魔物が現れたのだった。


「翔。レベル15。大鬼オーガの群れ。恐ろしい勢いでやって来る」


 メロは、感知サーチの結果を報告した。


「オーガ。大きそうな名だな」


 翔がボヤくように言った。


 まさに、翔の危惧の通りだった。巨人達が群れをなして迫ってくるでは無いか。


 その迫力は、言葉にできないほど恐ろしいものだった。


「おいおい、『始まりの部屋』を出たばかりだぞ」


 翔は、呆れて呟いていた。


大鬼オーガ。レベル15。【弱点】電撃に弱い。【特徴】身長七メートル以上。上半身が特に発達し、鋼の筋肉を持っている。知能が高く。素早い。第二グレイドの魔法を使う』


 こんな魔物をどう始末したらいいのだろう。


────しかし、なぜこんなに大きいのにこれほど動きが早いんだ?


「翔。勝てる気がしない」


 メロがポツリと呟いた。


 恐ろしい勢いをそのまま利用して巨大な金槌かなづちや棍棒を振り上げて迫ってきた。


 翔は、可能な限りの魔法壁マジックバリアーを何重にも張り巡らした。


 メロもアメリアも魔法壁マジックバリアーを張った。あまりにも魔物の迫力が凄いのでメロは、半泣きになっていた。




☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆




【始りの部屋】


 死の恐怖が悪夢のように翔をさいなんだ。恐ろしい激痛が体中を襲ってくる状態で、暗闇の空間を何万年も浮いているかのようなそんな感覚だ。


「うっ」


 翔は、呻きながら目を覚ました。


「翔。今度は、酷かったね」


 目の前に心配そうに眉をしかめている端正なメロの顔が有った。


 思わず翔は、メロの首に両腕を回して可愛い端正な顔を引き寄せた。普段の潔癖性のメロなら突っ撥ねるところだが翔のなすがままだ。横からアメリアもしがみついてきた。


 三人は、ひとしきりそうやって抱き合いながら泣いた。


 そうしないと、あまりの死の恐怖に堪えられなかったのだ。恐怖の震えがそのまま嗚咽おえつになって涙ともに噴き出してきた。


 迷宮を何層か進むうちに分かった事は、死の恐怖は、どれほど頑張ったかに比例するという事だった。分かりやすく言うと、善戦すれば死の恐怖が少しましになるってことだ。


 迷宮の魔物達は知能の高い様々な魔物が出てきて翔達を何度も死へとおとしいれた。


 第一層では、魔法壁マジックバリアーをうまく使い魔物を倒すことができた。


 翔達は、その事から魔物を退治するには、魔法の工夫が大切だと学んだ。十五層までマジックバリアーだけでなく炎、電撃などの魔法を細かく調整し魔物の弱点をうまく利用してギリギリ魔物を仕留めてきたのだ。


 その善戦のお陰で、死の恐怖は多少和らいでいたのだ。


 迷宮に入り、レベルは上がったり下がったりを繰り返していたが、ステータスは、少しずつ上がって行った。


 本当の実力が付いて、レベルがその後を追いかけるという感じのレベルアップだった。レベルが上がっても、また元に戻る感じしかしない。


 一般の冒険者達がトライアルするコースではスクスクとレベルアップしているに違いないが、水晶迷宮に入ってからレベルアップは順調とは言えなかった。


 しかし、真の意味でレベルアップを図るならこのレベルアップ・トライアル・ルートの恐ろしい試練を乗り越えないとダメなのだと言う思いが翔達の崩れそうになる心を支えてくれた。


 しかし、今回の死は、今迄の全てを根こそぎにしてしまった。レベルは三つも落ちてしまった。ステータスもかなり落ちている。


 しかし、何度も死んだおかげか、レイラと闘った時ほど、再活動の為の時間は必要ではなくなっていた。


「翔。酷い復活障害だね」


 メロが呟いた。


「ああ。完全に何もできなかったからな。一角岩鬼ユニオークとの闘いの時にも思ったが、鬼共はどうしてああも素早いんだ? 物理法則を完全に無視しているじゃないか」


 翔がボヤいた。


「翔。奴らも私と同じような見えない羽が生えてるんじゃないか?」


 アメリアが言った。


 そのアメリアは、フワフワと宙に浮いている。しかしアメリアのその様子を見ているとアメリアが宙に浮くために羽は必要そうには見えない。羽は単なる方向転換に使われるだけのようだ。あんなに小さな羽根では飛ぶのは物理的に無理だ。


 そんな事を考えてアメリアの美しい姿をぼんやり眺めていたら、翔の頭に天啓が閃いた。


────魔法の術式の展開ばかりに気を取られすぎていたぞ。


「俺は馬鹿だった。魔法は術式展開させて初めて発動するものとばかり思っていた。アメリアの飛空術は明らかに魔法のはずなのに全く術式展開されてないじゃないか」


 翔が興奮して言った。


「剣や武闘家の技も同じだな」

 アメリアが言った。


「技か。そうだな。そう言えば、ユグドラシルでは魔術と魔法は別だと言っていたな。俺の魔法は全く魔術になっていないという事か」


 翔は、現代魔法の方がユグドラシルの魔法よりずっと進んでいると考えていたので今迄、ユグドラシル特有の魔法について深く考えていなかった事に改めて気づいた。剣の技。武闘の技。アメリアの飛空術。そんな魔法は現代魔法には存在しないのだ。


 大鬼オーガ達は、そんな技を使って素早く動いているとしたら全て辻褄が合うでは無いか。


「俺達も魔力の使い方を改めないとダメみたいだ」


 翔がポツリと呟いた。


「アメリアみたいに飛ベるようになるの?」


 メロは、翔の言葉を聞いて喜んだ。


「お前は本当に短絡的だな」


 翔は目を細めてメロを見た。


────こいつの天真爛漫ぶりは、この救いようの無い迷宮では、本当に救いになる。


 翔は、メロの頭をゴリゴリと撫でながら笑顔を向けた。


 メロはなすがままだ。


「ふぇぇー」


「翔。また、話がずれているぞ」


 アメリアは、二人の様子を見て、笑いながら突っ込みを入れた。


「ああ。そうだな。で、アメリア。お前の飛空術は、どうやって飛んでるんだ?」


 翔は、改めて聞いてみることにした。アメリアは、突然の翔の質問に、首を傾げて考えていた。


「何となく……」


 アメリアは、説明に窮していいるよつだ。


「強いて言えば飛べるようになってからは、ユグドラシルからの魔力を光の様に感じる様になったな。その光の中を泳ぐような感じ……かな」


 アメリアは、しばらく考えてながらそう説明した。


 翔は、アメリアの説明を良く良く考えてみた。


 魔力を光と捉えるのはアメリアが光の妖精種で、世界樹ユグドラシルから白魔力を得る能力が高いからだろう。


「アメリアは、あの大鬼オーガ共の速さをどう感じたんだ?」


「私一人なら何とか回避できるレベルだと感じた」


「そうか。道連れにしたようだな。すまんな」


 翔は、素直に謝った。頭では別の事を考えていた。


────やはりな。アメリアは、奴らと同じ技みたいなのを自然に使えるようになっていて、奴らの動きにもついてゆけるわけだ。


 翔は、アメリアの顔を見ながらそう考えていた。


「翔。カロン母さんに、闘気バトルオーラって言うのを聞いた事がある。大きな竜がなぜあんなに早く動けるか聞いたらそう言ってた」


 メロは、横からそう言った。その言葉に翔は、大きなヒントを掴んでいた。


────おお。メロ。こいつは何も考えて無いように見せてナイスパスをするよな。たぶんそれだな。……アリス。闘気バトルオーラって何だ?。


《はい。翔様。闘気バトルオーラは高レベル者が発する気迫とも鬼迫とも気魄、覇気、威圧などとも言われています。しかし真の意味の闘気バトルオーラは、魔力のよろいと言われるもので物理攻撃にも魔法攻撃にも耐えることができるほど現実的なものです。それだけでなく闘気バトルオーラは肉体の性能を著しく上昇させる効果があるとも言われています》


────なに? 身体性能の向上だって?


《はい。力、素早さ、反応速度などの全てが著しく上昇します》


────レベルアップと同じような効果か?


《レベルアップとは全く違います。一種の技なのです。意識的に技を発動して攻撃力を高めたり、技で障壁を作るようなものです》


────高レベル者が使いこなすべき技という訳か?


《翔様も闘気バトルオーラを纏えるようになれればトライアルがかなり楽に進めることができるようになるでしょう》


「メロ。お前の言う通り、奴らは、闘気バトルオーラを少しだけ使うのかもしれんな」


 そう言いながら、翔は、再度メロの頭をゴリゴリ撫でた。


「えへへへ」


 メロは、照れ笑いして、撫でられるのなは嫌じゃ無いみたいだ。


「しかし、奴らと闘うには俺達も闘気バトルオーラを会得する必要があるようだがどうして会得するかが問題だな。腹に力を入れるだけじゃ無いよな」


 翔は途方にくれた。


「そうだ。アメリア。お前の飛空術はどうやってやってるんだ。それを魔法でやってみせろ」


 無意識にできている事を意識的にさせてみて、その魔法の術式を見ようと言うのだ。


「うむ? こんな感じか?」


 アメリアは、四苦八苦しつつ、術式を展開を試みた。体の周りに小さな術式を表す魔法陣がたくさん浮かび上がった。


「なるほど。そのイメージの術式は理解したぞ。そのままゆっくりと普段の自分が飛んでる時の感じに少しずつ変えて行く所を見せてくれ」


 魔法から飛空術に少しずつシフトして行く様子を見ようと言うのだ。


 アメリアは、翔の言う通りに術式を技にシフトしてゆくと、次第に術式は薄く広がり互いが互いの術式と交わって行くようだ。


 その様子を見ていて翔はなんとなくユグドラシルの技の本質が分かったような気がした。


 翔は、『リダベル工房』のドワーフで第八土曜の魔王ゲズナーを倒したと言う英雄、イングベルト・ザイフリートと面談したときに、恐ろしい気迫のようなもので威圧されたことを思い出していた。


 更に、翔達の武具をまんまと奪って行った復活都市で出会った、グアリテーロ・デ・ミータという冒険者からも、凄まじい威圧感を味合わされていた。



 特に、イングベルト・ザイフリートは、威圧感を翔に向けていた時、意図的に、威圧感を少しずつ強めたりしていたのを翔は、記憶していた。


 翔の防具や武器を奪っていった『復活都市』のキザ男、グアリテーロ・デ・ミータもイングベルトとは比べるべくもないが同じような威圧感を漂わせていた。


 その威圧感は、低レベルの翔達には、近づくのも堪え難く感じられたものだった。あれは確かに物理的な壁を思わせた。


 翔は先ず、魔法でアメリアが作っていた術式を展開してみた。体がフワリと浮いた。そこまでは当たり前だろう。


 少しずつ魔法の術式をアメリアがしていたように変えて行った。


 ドスン!


 ある時点で、体が地面に落ちた。


「痛っ!」


 翔は首を振りながら立ち上がった。


「翔。下手くそ。見てて」


 今度は、メロが試してみた。


 メロは、翔よりもうまく、宙に浮いて見せた。魔法陣が次第に薄れて行き、ついには消えた。アメリアと同じ状態で浮いていた。


「どう?」


 翔よりも頭一つ分上に立つような高さにメロは、浮き上がって、偉そうに、体を反らせた。鼻の穴をヒクヒクさせてドヤ顔だ。


「さすがメロだな」


 アメリアは、器用に空中を泳いでメロの所まで来て手を取って褒めた。


 それから調子に乗って、二人で手を取り合って『始まりの部屋』を飛び回り出した。


「メロに負けると何だか腹が立つな」


 翔は、二人の様子に目をやりながら言った。


「翔は、下手くそ。翔は、下手くそ」


 メロはそう言いながらアメリアに引かれて翔の周りを飛び回った。


 翔は、二人を無視して、何度も試してみた。しかし、出てくる術式が次第に変わって行くところを見るとメロのようにただアメリアの真似をしているのではなく、何かを試しているようだった。



【第十五始まりの部屋。第二回目のチャレンジを控えて】


○翔

 レベル8【2UP】

 実力レベル21【3UP】


○メロ

 レベル10【1UP】

 実力レベル20【3UP】


○アメリア

 レベル10【1UP】

 実力レベル20【3UP】

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