019ー6 魔法でぶん殴ってやれ!
【始まりの部屋】
翔が意識を取り戻した瞬間、凄絶な死の恐怖が全身を駆け抜けた。震える身体を叱りつけ、無理に起き上がる。
横にはメロとアメリアが、肩を上下させながら荒い息で翔を見守っていた。
「大丈夫か?」
アメリアの心配そうな声に、翔は強がって減らず口を叩く。
「ああ。踊り出したいくらい調子が良いよ」
二人のタフさに感心する翔だったが、第50話での『大爆発』の行使は、アメリアに翔の語っていた「常識外れの過去」を信じさせるに十分な威力だったようだ。
メロは神妙な顔で、ぎこちないお辞儀をしながら翔を「師匠」と呼ぶ。
レベルアップ分を復活障害で失うという手痛い代償を払いつつも、一行は微かなステータスの上昇を糧に、再び迷宮へと挑む。
☆☆☆
【第一階層。第二十三回目のチャレンジ】
一行の前に立ちはだかるのは、魔物が群れを成して湧き出る最大危険地帯――通称『ガッシュポイント』。
これまではLv28の暗黒騎士や、機動力に長けた死霊貴族の一団に幾度となく全滅させられてきた。
「翔。今度は戦わずに『魔法防護壁』で敵を遠ざけて、出口を探すのはどうだ?」
アメリアの提案に、翔の表情がパッと明るくなった。
「魔法の壁で叩き出す……いいアイデアだ。あの忌々しい死人どもに目に物見せてやる」
翔は自身の金棒に『魔法防護壁』の発生機能を付与した。
広間に入ると同時に湧き出したアンデッドの群れに対し、魔法の壁を纏った金棒を叩き込む。結果は劇的だった。金属よりも強固な魔法のエネルギー体による打撃は、アンデッドたちを次々と粉砕していく。
「アメリア、お前のレイピアも改造したぞ。刃にマジックバリアーを纏わせた」
「メロ、お前はバリアを刃物のように展開して鞭をイメージしろ。術式はこうだ」
魔法を物理的な実体攻撃へと変換する特殊な戦法。
魔法耐性が高く物理攻撃が通りにくいというアンデッドの特性を完全に無効化するその攻撃の前に、Lv28の暗黒騎士も、恐るべき死霊貴族の騎馬隊も、もはや敵ではなかった。
殺虫剤で蚊を仕留めるかのように、湧き出る獲物を機械的に退治していく一行。
やがて全ての魔物が掃討され、ガッシュポイントの泉が消え去ると、そこには下層へと続く階段が姿を現していた。
お読みいただきありがとうございました!
自爆という手痛い失敗を乗り越え、挑むは23回目のチャレンジ。
アメリアの閃きから生まれた「マジックバリアー攻撃」が、難攻不落のガッシュポイントを粉砕します!
魔法を「壁」や「刃」としてぶつける新戦法、アンデッド相手にはまさに天敵ですね。
ついに姿を現した下層への階段。
一行を待ち受ける次なる試練とは……?
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