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欠陥だらけの天才魔術師(副題:天災魔術師になった天才魔術師はスローライフを生きて行けるか?)  作者: Seisei
第一章 レベルアップ編

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018ー2 試練と恩恵

【一方翔達サイド】


「翔、腹が立たなかったの?」


 メロは詰問するように言った。相当怒っている。


「どうして翔はあんな奴に最敬礼するの?」


「ああ? あいつがどう思おうがあいつの勝手だ、俺は奴がどう思おうが全く興味がない。どうしてあいつのくだらない批判に付き合う必要があるんだ? それと俺の礼はあれが軽い挨拶なんだと何度も言ってるだろうが」


 翔は、独特の自身の考えを説明した。


 独善を通り越し、傲慢にまでなるとそんな風に感じるのかとメロは不思議に思った。


「メロは、許さない」


 プンプン怒るメロだ。


 アメリアも。


「何だ、あのいけ好かない奴は。自分を何様だと思っているんだ。恩人のイレーネの主君だと言うから丁寧にしてやっていたがあいつは少し思い知らせる必要が有ったぞ」


 とても憤慨していた。


 エステランド公爵と言えば、広大な領地を有する領主で、そのプリンスともなれば立派な貴族様だ。彼の態度はそれほど変ではないのだが、翔はフリンツの身分や態度に興味はなかった。


「バカバカしい。嫌な奴の事を考えて怒るなんて労力の無駄以外の何物でもない」


 翔の意見はやはり少しおかしかった。


「お前達といると仇が増えて仕方がない。とっとと行くぞ」


 翔は、二人の憤慨を無視してさっさとアハイシュケを疾走させ始めた。そろそろ超初心者向スタバンゲル街道の出発点近くだ。


 翔達が見晴らしの良くない緩いカーブを疾走させていると運悪くパーティーが歩いて来るところに鉢合わせた。


 彼らは突然現れた、アハイシュケと翔達に驚いて攻撃を仕掛けてきた。


 翔達は、それをいつものように簡単にかわして通り過ぎていった。


 その冒険者達は復活都市で翔を殴り飛ばした、物理攻撃専門の戦士ダグ・ファイアーとその仲間達だった。


「何だ? あいつは復活障害のショーとかいう奴だな。俺の魔術を無効化デスペルして行きやがった」


 かれらの仲間の魔術師が驚いて叫んだ。


「魔獣かと思ったが、俺の特技『神速パンチ』も軽くあしらって行きやがった。奴らはどこまで強くなるんだ?」


 ダグ・ファイアーも驚いて翔達の走り去る後ろ姿を睨みつけた。


「奴らは、ゴブリングレートを退治した後、俺達がしくじったオーク狩りに行った。あれは絶対にオークじゃないが、あれからいなくなったようだからあの巨大な魔物の群も奴らが狩ったんだろう。先ほどの手並みといい……」


「しかし、俺たちのレベルは中級だぞ。今チラリと見たが奴のレベルはまだ7だったぞ。どうしてそんなに強いんだ?」


 僧侶職の男が納得いかないと首を傾げながら言った。


「分からん。奴は復活障害でレベルが下がったと言う噂だったが、実際の実力はずっと上だったんじゃないかね」


 魔術師職の男が答えた。


「俺も聞いた事がある。世界最強パーティー“大鷲グレートイーグル”のジークムンド・ノルドハイムは最初、多少おっちょこちょいの堅物だったそうだ。彼はある日、盾職として死んでもパーティーを守ると宣言し、真っ正直な性格から本当に何度も死んだそうだ。その結果レベルが他の冒険者と比べてなかなか上がらず、メンバーから何度も外されそうになった。しかし、レベルが低いが強さは他のメンバーとあまり変わらなかったんだそうだ。それでパーティーにそのまま入っていた。ジークムンド・ノルドハイムも次第に戦い方が上手くなるとレベルが上がり始めたそうだが、そうなるとなぜか他のメンバーよりもずっとステータスが大きく上昇するようになったって言う。ついにはメンバーの誰よりも強くなった。今ではダントツの強さだそうだ。あの最強ばけものの冒険者ギルド理事長の次に強いって専らの噂だ」


 魔術師が説明した。


「しかし、その話は素のまま信じたら危ないぞ。復活した冒険者は復活後に二通りに別れるそうだ。一方はさらに強い冒険者になる。もう一方は怖気者になる。しかし誰もが二度と死にたくないって心から願う。復活は冒険者の引退の時期を早めているって噂もある。俺は死ぬのはごめんだな」


 僧侶職の男がそう言ったことで彼等は納得した。死ぬのはやはり怖いのだ。




☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆




【同じ時刻。翔達】


 翔達は、さっさとダグ達を通り過ぎて、超初心者向スタバンゲル街道から『レベルアップ・トライアル・ルート』のある山道に入って行った。


 アハイシュケの脚力のおかげで直ぐに水晶迷宮の入り口にある巨大な岩戸が見えてきた。


「おい。中に入ったら宝箱が出てくるとか言っていたから、宝箱が出たら中から装備を出して、恥ずかしがらずにさっさと着替えろよ」


 翔が厳しい眼差しで忠告した。


「翔。目がいやらしい。私達の裸を覗くつもり。でも大丈夫。私もアメリアも服の上に装備する」


「なに? 装備下着をつけ直さないのか?」


 明らかにガッカリした顔の翔だ。


「復活の天宮では、俺は消耗しきっていたからお前達の裸を見そこねた……俺の最大の落ち度だ」


「エッチバカ翔。私達も復活直後のポジショニングは万全。エロ視線を完全防御。バカ翔が振り向いたら瞬殺するから覚悟しろ」


 メロが可愛い目を怒らせて翔を睨みつけた。


 やはり、女性には勝てないと翔は天を仰ぐのだった。


 中に入ると、女の戦乙女デミヴァルキュリーレイラ・リンデグレンが既に人族のサイズになって待っていた。


 レイラ・リンデグレンの指差す先に宝箱があり、翔達の装備が入っていた。翔達はそれを身に付けた。


「なかなか早い帰還だったわね」


 レイラが可愛らしい声で言った。


「いやいや。待たせたようだ」


 翔が笑いながら応じた。


「俺の復活障害が酷かったんだ」


「でも貴方は、死ぬ間際になかなか有効な防御魔法を構築していたわね。ブリュンヒルデ様に伺ったんだけど死のダメージにも多少は効果があるそうよ。もともとブリュンヒルデ様も、そこまで考慮して死の恐怖を設定されていたらしいわ。まともに死ぬなんて恐ろしくて身の毛もよだつものね」


 レイラが種明かしをしてくれた。


「しかし、初心者の冒険者にそんな技が使えるのか?」


 翔が突っ込みを入れた。


「そこが、ブリュンヒルデ様なのよ。完璧を目指すのね。お陰様で私もまだ十五歳なのにこんなに鍛え上げられちゃったわ」


 クスリっと笑いながらレイラが愚痴をこぼした。


「そんなにブリュンヒルデさんのしごきは厳しいのか?」


 翔が不思議そうに聞いた。


「ブリュンヒルデ様は、お優しいお方だから、私にはどうしても本気になれないと仰っているけど、私からすると酷いものよ」


 レイラがため息をつきながら言った。


「そうか」


 翔もレイラの真似をして嘆息しながらちゃっかりとレイラの肩に手を置いている。


 メロがぷくりと頬を膨らませた。


「レイラ気をつけて、エロ手がレイラの肩にかかっている」


 メロが忠告した。


 レイラが不思議そうに自分の肩にある翔の手に視線を向けた。


 翔は慌てて手を離した。


「レイラ気を許してはダメ、翔は鬼畜、見境が無い」


 メロは、大きく頬を膨らませて怒っている。


 レイラは、何だか不思議な感覚を覚えた。この三人といるとなぜだかとてもリラックスしてしまう。乙女の体に触れられても気づかないほど気を許しているのだ。


 これから闘うなどとは思えない。もちろん本当に死なないからだがそれでも実際に殺し合いをするのだからもっと殺伐としていても可笑しくない。


 この翔と言う少年は、誰にでも垣根を作らず、あるいは図々しく、あるいは爽やかに関係を作る。


 レイラはアースガルズの神々の中で生活していて、この様な触れ合いが無かったからか、この三人に不思議な親しみを感じていた。


「翔。お前は直ぐに女性の頭や肩に触れるが、女性の体はあらゆるところがアウトなのだと何度教えれば分かる。触るのは私だけにしておけ」


 アメリアが可笑しそうに笑いながら言った。


「アメリア貴方は、翔には勿体無い。助けてもらった恩義などもうとっくに時効。触らせたらダメ」


 メロは、アメリアにも忠告した。


「あははは、メロお前は潔癖症だからな。しかし、お前も頭は撫でさせているではないか」


 アメリアが指摘した。


「お小遣いのお礼。仕方なし」


 メロが答えた。


「レイラ。翔は近づく女に見境い無しに触りまくる。気をつけろ」


「俺は痴漢か?」


 翔が突っ込みを入れたが、女性陣三人は「ねぇ〜」と互いに頷き合って顔をしかめ合っていた。


「それは儀式? 俺をいじめる儀式かい?」


 翔が突っ込みをもう一度入れる。


「じゃあ。そろそろ始めましょうか?」


 翔を無視してレイラが言った。


 闘いは、本当にあっけなく終わってしまった。


 翔達に全く良いとところは、無くあえなく復活都市に飛ばされる羽目となったのである。




☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆




【復活の天宮】



 復活してきた翔達にシスターサラは本当に呆れ返った。


「今日は、三人分の服と毛布をお持ちしました。それとは別にこの毛布で視界を遮るので、メロさん。アメリアさん。直ぐに服を着てください」


 シスターサラは、翔と女性達の間に毛布を大きく広げながら言った。


 翔は振り返って恨めしげに毛布を見た。


「今度こそと思っていたのに残念」


 翔のつぶやきにシスターサラが呆れた。


「翔さんは、今度は復活障害は大丈夫なんですか?」


 シスターサラの声が上ずっている。


「ああ。レベル6だな。またゼロまで行くかもな」


 翔は、心底疲れたような嘆息を洩らした。さすがにダメージが酷く、彼はその場でうずくまった。大きく肩で息をしていた。



 今度、翔達は復帰に二十日間もかかりようやく出発したのであった。


 シスターサラは何も言わなかったが顔は心配そうに眉を寄せていた。それでも強く手を振って見送ってくれた。



 そんな形で翔達は、何度も何度もレイラと戦った。その度に死に、そして復活した。


 翔の死ぬ間際の防御魔法も次第に洗練され、そのおかげか翔達のデスペナルティが次第に緩和された。


 翔の場合、レベル4までレベル落ちしてからはレベルの低下はなくなり、逆にレイラと戦う度にステータスが微妙に上がるようになった。


 何よりも相変わらず翔達が死ぬ事に変わり無かったが、戦いが終わるまでに相当な時間を要するようになった。


 そんなある日、レイラから試練の終わりが告げられたのだった。


 その直後、女神ブリュンヒルデ、ヴェルダンディが画面に出てきた。


 女神達は、何度も死んでは復活を繰り返した事を褒め称え翔達に恩恵を授けると申し出てくれた。


 その中で翔達のレベルアップを阻害する要因があるためそれを取り除くと言う恩恵まで与えてくれたのであった。


 しかもそのために二人の女神以外のアース神族達が複数人で解呪に参加してくれたと言うことだった。


 翔は、念願の魔法の能力が、アメリア、メロ達もより成長が可能なようになったのであった。


 結果として実に翔達は全部で23回死に、そして復活していた。

 第18話は三分割しましたが第三話がどういう訳か逸失したため第二話の最後を変更しました。第三話で女神から恩恵を授けられると言うのが第18話の主題だったのですが、どんな内容か忘れてしまったのでこの回の最後に簡単に追記しておきました。


 18話と19話との話で多少の違和感があると思いますが許してください。


話の流れ的に不自然になったことをお詫びします。

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