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欠陥だらけの天才魔術師(副題:天災魔術師になった天才魔術師はスローライフを生きて行けるか?)  作者: Seisei
第一章 レベルアップ編

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018ー1 フリンツ・フェステン公子様

「メロ。前に呼び寄せた犬ころのクーシーじゃなく、今度は馬の妖精で足の速い奴を呼び寄せられるか? ちんたら歩くのも、あの背中に乗るのも懲り懲りだ」


 翔がそう言ったのは昨日のことだった。メロは精霊魔法を展開し、すぐに応じた。

「分かった。出でよ! 最強の走者アハイシュケよ」


 出現したのは、三頭の巨大な魔獣。人喰い馬と呼ばれるアハイシュケだ。全身は漆黒で、瞳だけが赤く燃えている。

 翔は【錬金魔法】で背中の皮を座りやすい鞍の形に変形させ、さらに【付与魔法】で衝撃を和らげる処置を施した。乗り心地は決して良くはないが、速度は断然に速い。


「この速度なら二日もあれば『試練の間』に戻れるな」

 高速で遠ざかる景色を見ながら、翔は並走する二人に声をかけた。

 アリスの助言に従い、一行は超初心者向スタバンゲル街道へと入り、逆走を開始する。


 驚いたのはメロの適応力だった。初めての乗馬のはずが、派手な衣装をなびかせながら、暴れ馬として知られるアハイシュケを易々と乗りこなしている。その美しいコントラストに、翔も思わず見惚れてしまった。



 街道を突き進む中、前方から騎乗者のパーティーがやってくるのが見えた。アリスから「下りが道を譲るのが習わし」と聞いた翔たちは、道端に避けて先方を待つ。

 やってきたのは八名の立派なパーティー。先頭に立つのは、黄金の髪をなびかせた貴公子、公子プリンスフリンツ。


『フランツ・クリストファー。Lv25。魔法騎士。クラン“F旅団”。パーティー“Fとお供”』


 その一行の最後尾から、聞き覚えのある声が響いた。

「……翔じゃない?」


 声を上げたのは、『始まりの街』で世話になった貴族の少女、イレーネ・ハウザーだった。

「こんな所で会うなんて。あなたたち、やっぱりこっちの正規ルートに変えたの?」

 駆け寄ってきたイレーネに、翔は苦笑いで返した。

「いや、あえなく殺られて復活した帰りさ。初戦の『試練の間』で強い女剣士に一撃でやられちまってね」


 復活早々に復帰したという事実に、イレーネは呆れ果てた様子だった。メロとのいつもの軽口の叩き合いを見て、「相変わらずね」と笑う。


 そこへ、先頭にいたフリンツが割り込んできた。

「イレーネ、私にも紹介してくれるか」

 イレーネが「噂の『賢人会』の皆さんです」と紹介するが、フリンツは必要以上に顎を撫で、尊大な態度を崩さない。


「余には、酷く疲れた低レベル冒険者にしか見えんがな」

 翔が「復活障害でLv7に下がった」と説明すると、フリンツはさらに鼻で笑った。

「それで余の前でも平然としていられるのだな。……いいか、さっさと正規ルートを攻略するのが賢明だぞ。それにお前たちのパーティー名は奇を衒いすぎている。身の程を弁えろ」


「その通りだな。機会があれば変えるよ。……では、殿下。先を急ぐので」

 翔は日本式の会釈を最敬礼として残し、フリンツが口を開く前にアハイシュケを走らせた。


 取り残されたフリンツは、怒りに震えて叫んだ。

「無礼な奴らだ! 奴らのどこが凄いというのだ!」


 しかし、パーティーの召喚士ディリアが困惑したように指摘した。

「殿下……彼らが操っていたのはアハイシュケです。私でも御すのが難しい高レベルの魔獣を、あんなに容易く三頭も……」


 さらにフリンツが「世界樹システム」から彼らの職業を検索すると、驚愕の事実が判明する。

 神々を召喚する精霊魔術の使い手【神使セオマスター】。

 エルフの王族を指す【至高者オプティマス】。

 そして、万物の創生主の能力を受け継ぐ【創造師クリエーター】。


 どれもが信じがたい「超上級職」の羅列。隊長ガーハードは、Lv10前後の彼らがこの難所を騎乗で突破している不可解さに嘆息した。


 静まり返るパーティーの中で、フリンツだけは嫉妬と怒りを燃やしていた。

「余のイレーネに近づく輩は許さん……」


019 了


更新しました!

再起を図る翔たちは、メロが召喚した魔獣アハイシュケで爆走中!

道中で再会したのは、かつての恩人イレーネと、鼻持ちならない貴公子。


「身の程を弁えろ」と罵る彼らでしたが、翔たちの「超上級職」の正体に気づいた時、その場の空気は一変し……。

嫉妬に燃える貴公子の視線を背に、一行は再び「試練の間」を目指します!

次回、リベンジなるか。お楽しみに!


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