011ー5 リダベル工房
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伝説の付与師イングベルト・ザイフリートとの邂逅はこんな具合であった。イングベルト・ザイフリートは何か疑問が生じたらまたいつでも来いと言って笑っていた。
伝説的な偉人であるはずなのにとても気さくな人物だった。
翔は『リダベル工房』を後にして、一人になった時、レリエルが出てこないか心配して周囲を見回したりしたがアリスが言っていたようにそう度々レリエルは出て来れないようだった。
安心した翔は、イングベルト・ザイフリートの教えを反芻してみていろいろな戦い方考えてみた。
正直、付与魔法も創造魔法もどんな魔法かまだ良く分からない。しかしイングベルト・ザイフリートの付与魔法の使い方はとても参考になった。
翔には、付与魔法と創造魔法の使い方に一つアイデアがあった。そのアイデアは、戦士ダグに冒険者ギルドで酷い目にあった時に生まれたものだ。
高度なレベルの者と同じような破壊力とスピード、さらには熟練度などのすべての能力を付与魔法と創造魔法をうまく応用してそれらのスキルを擬似的に創れるのではないかというのが翔の発想だった。
例えば、ボクサーと同じ精度でヒットするグラブを創造魔法と付与魔法で作ることが可能ならそのグラブを付けるだけでそこそこのボクサーになれる。
そこまで都合の良い道具は創れないだろうが頭を絞れば良い道具を作る事ができるだろう。
工夫次第で、翔だけでなくメロやアメリアも相当戦力アップが期待できる。
翔は創造魔法と付与魔法を使って何か出来ないか試してみることにした。
最初にアメリアのための剣を創ってみることにする。
先ず硬さだがチタン合金が良いだろう。魔術で創ってみる。
チタン合金は硬くて軽い。これだけでもこのユグドラシルでは貴重な武器だろう。
次に攻撃力をアップさせてみよう。試しに付与魔法をかけてみる。イングベルト・ザイフリートに教わった通りに付与魔法をかけた。
最初に条件。剣を鞘から抜いたらと条件にした。攻撃力をプラス百してみるが失敗だ。
創造魔法で攻撃力がアップしやすくなる法則をオーバーライトする。もう一度付与魔法で攻撃力をプラス百してみる。また失敗だ。まだ翔のレベルが低過ぎるからだろう。創造魔法で攻撃力をさらにアップしやすいようにオーバーライト。MPが10も消費される。付与魔法で今度は攻撃力プラス五十してみる。ギリギリ成功だ。これでまででMPは20も消費してしまった。
次にボクサーのグラブの発想で剣を自由に操れるようにする。創造魔法で操りやすいようにオーバーライト。付与魔法で軽くする。さらに創造魔法で操りやすいようにオーバーライト。今度は、剣を操作すると加速するように付与魔法をかけた。
この後、剣を折れないようにする付与魔法。剣を相手から見えにくいようにする付与魔法もかけた。
最後にあまりにも剣のデザインが見すぼらしいので綺麗に装飾する。金と宝石なども配した。なかなか素晴らしい出来だ。
MPが12しか残っていない。少しやり過ぎた感がある。魔術師失格だ。
剣は持った感じが木のような軽さだ。レイピアではなく両刃の直刀にした。これは翔の好みだ。軽く操りやすくなるなら強度を考えるとレイピアは不利だからでもある。
翔は創った剣を振ってみて満足した。剣の経験のない翔が降ってみても、剣の達人のような恐ろしい風切り音を鳴らしてビュンビュン振れる。目にも止まらない早さだ。
軽いのでクルクル回せる。振ってみて、剣先を常に進行方向に矯正しタイミング的に狙ったところで力がマックスになる付与魔法を思い付いたのでその付与魔法もかけておいた。今日の付与魔法はおしまいだ。
しかし、最後の付与魔法が素晴らしかった。翔が適当に剣を振ってみただけで、剣は正に恐ろしい斬撃となり、一振り一振りで地面に亀裂を生じさせるほどの攻撃力を見せるようになった。
翔は満足して、宿に行く道を歩き始めた。
次はアメリアの防具の改良。メロの防御服の作成。それから自分の武具を作ろうと翔は考えていた。翔の頭には様々なアイディアが浮かんでは消えていった。
011 了




