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果ての絶対防衛  作者: teddy
2章 二カ国協定
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坑道内要塞化計画

デイジーは焦っていた


ガーランドの剣が完成しそうなのだ


大変喜ばしい事ではあるが、きっととんでもない剣になるだろう。魔力がおそらく桁違いに放出される


その結果、あの漆黒竜が魔力を嗅ぎつけてここを強襲する可能性が非常に高い


デイジーもガーランドに剣作りを焚き付けた以上、自分の行動には責任を持たなければならない


だが、いつまでもあの龍に怯えるわけにもいかない


いつか打ち勝たねばならないのだ


その第一歩がガーランドの剣だ


「火はそのままを維持するようにしておきますから! 水もそこに永遠湧き続けるようにしてますから!」


ガーランドとエバンスにぶっきらぼうにそう言って急いで坑道に戻る


「なんだぁ? あんな急いで エバンスなんかあいつ企んでるのか?」


「いえ 何も聞いておりませんよ」


中では鉱夫と調査団が今も作業を行っている


「すみません続けましょう!」


皆で今、坑道内要塞化計画を進めている


最初に着手したのは住民の避難所の建設だ


神々の結晶と呼ばれる濃い橙色を含んだ鉱石は、今もごく稀に発掘されている


それが漆黒竜の炎で焼かれたらおそらく世界は崩壊するだろう


そうなればどこへ逃げても無駄だ


今は結晶は全て最奥の保管庫に安置されているが、そこへ置いても必ず竜が見つけ破壊するだろう


つまり、ここが最終地点であり避難所も坑道内に設置すべきだと考えた


坑道内を全体的に広く掘り進め3万人を収容できるようにした


坑道内部は魔力が最大級に濃いので、何もしなくても土魔法で作った石造建物はその場に残り続けた


飲める水も引かなければならないし、食料の備蓄庫も必要だ


川から水を引っ張ってくるのは、今エルダが指揮を執って絶賛開通作業中だ


目下の課題は入り口の強度だ


竜の魔属性の炎で一撃で壊れてしまうような門であれば意味はない


とにかく強度を高めなければならない


が、ランカスターは今、圧倒的な金属不足だ


今ある素材でなんとかしなくてはならない


そこで最近一番熱い素材と注目の竜の棘を使った実験が行われている


「私の土魔法に竜の棘を付与してさらに魔石と混ぜるのはどうでしょう」


デイジーのその一言から研究は始まった


魔石にも色々な魔力の込め方がある


選択肢は無限にある中で、あの魔属性に対抗できるのはどれなのか試してはいるが、魔属性が誰にも放てないので困っていると言うのが今だ


そもそもこの場にいる者だけに、デイジーは魔属性があるかもしれないと打ち明けた


土魔法と竜の棘は、高硬度な石を作り出したあとに、剣と同じく塗布して炎で炙って定着させた


竜の棘はまだ有り余っているので、その点はかなり助かっている


「魔属性が再現できなければ、なんとも進みませんね」


デイジーが困っていると、研究団のギルがつぶやいた


「でも、神々の結晶と言われる例の鉱石は魔人と神の結晶と言われているんですよね」


「そうです」


「では聖属性と魔属性を両方はらんでいるのでは」


「確かにそうですが」


デイジーは少し前にそうやって橙の鉱石に無理やり魔力を込めて暴発させたヒョロヒョロの男を知っている


「危険です」


デイジーはその方法を考えないわけではなかったが、自然とその考えを心が拒否していた


「デイジーさんならゆっくり魔力を込められるのでは? ほんの少しの力を込めるくらいはいいんじゃないでしょうか」


ギルが食い下がる


しばしの静寂の後


「わかりました。ほんの少しの魔力だけ込めてみましょう」


デイジーの手が震えている


調査団が最奥の保管庫から橙の結晶を持ってくる


デイジーが無属性の魔法を放出することを意識して橙の魔石に手を差し出す


結晶は仄かに光るが、暴発する様子はない


デイジーは安堵する


「ほんのもう少しだけ力を上げれますか」


「ええ」


わずかに力を強く入れる


光がやや強くなる


薄い紫と淡い白のような光が辺り一帯を照らす


「おおっ」と歓声が上がる


「デイジーさん!これですよ!」


デイジーは息を切らしている


手を結晶から離す


「流石に怖かったですね」


結晶が暴発するかも知れないという不安は安堵へと変わったが、別の感情の存在に気づく


本当に魔神と神の亡骸が結晶になったもの、と言う実証をしてしまったのかもしれない

デイジー言い知れぬ恐怖を感じた


「あとはこれをどう抽出するかですね」


これは首都でも研究していて辿り着けなかったところだ


だが今はあの頃とは違う


ガーランドやエルダと共にいろんな経験を積んできたのだ、魔属性を魔石に吸わせるくらいできそうな気がしている


「もう一回やってみます」


結晶に左手を伸ばし、わずかに力を込める


手は震えてはいない


紫の魔力が放たれるのを確認して、それを右手で掴むように手を握り、そのまま魔石の方に持っていく


左では少しの魔力を維持し続ける


魔石が淡い紫色に変わっていく



気づくとデイジーは医療団の病院の天井を見ていた


「おいデイジー!」


ガーランドが顔を覗き込んでくる


「デイジー!起きたのか!? わかるか?ほらエルダもいる」


「デイジーさん!」

エルダも不安そうにこちらを見つめている


「ああ。ええ すみません 何が何だか」


「本当に申し訳ないです。自分のせいです デイジーさんあのあと気絶したんです」

ギルもいた


「そうでしたか」


極限にまで集中して魔力を抽出したデイジーは、坑道で皆の前で気絶していた


「デイジー 今日はゆっくり休んでくれ とにかく意識が戻ってよかった」


ガーランドの見たこともないような不安な顔に、この猛獣の立て髪のような髪を生やした大男もこんな顔をするんだなとデイジーは冷静に思った


「それで魔石は?」


「成功です!」


デイジーは静かに右の拳を握った

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