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果ての絶対防衛  作者: teddy
2章 二カ国協定
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ウィル・エバンス、剣を作る

ウィル・エバンスはなんでこんなことになってしまったんだろうと思いながら、今日も藍色鉱石と格闘していた


剣を作るにはまず

素材を切り出して、大体の形に成形し、炉に入れて加熱しながら、槌で打つ


そして最後に再度加熱して急激に水で冷やす作業が必要になる


最初の工程はもう出来ているし、最後の工程はデイジーの水魔法でなんとかなるのだが、槌にも炉にも竜の棘の粉末を混ぜて、藍色鉱石との相性を高めているつもりだが、問題が一つあった


成形した藍色鉱石の表面に竜の棘をまぶすのではなく、完全に溶け込ませたいのだ


藍色鉱石の数は限られているので最小限で結果のわかる大きさまで切り出していろいろ試してはいるが、表面に竜の棘を塗布できるだけで、藍色鉱石の内部にまで全く入れることができないのだ


そもそも藍色鉱石は熱で溶けない


鍛造を始めて何日経ったかわからない


エバンスは村の目まぐるしい発展に置いていかれる気持ちになっている


村はついに3万人を迎え入れ、魔法で作られた仮設住宅とは言い難い豪華な4階建ての家は、今や村の周囲を幾重にも重なって囲っている


おそらく上から見れば、鶏の卵の真ん中から下半分に家々が四、五重に一定の間隔を空けて弧を描くように重なっていることだろう


一つの重なりごとに水の魔石を使った水路も張り巡らされており、常に清潔な水が流れ続けるため、汚い服で歩く人もめっきり見なくなった


ただし、水は苦く、飲もうとするものはいない


そのため、近くの川から水を引っ張ってきて欲しいと願う住民も多い


上半分は北側にあたり、魔物が襲撃してくる方向でもあるため、まだ開発には至っていない


全て砦にするか、何か別のものを建設するかは今村で議論されている


これからの発展を考えると、もっと北の方まで村を伸ばしておきたいというのが大半の意見だが、伸ばしすぎると魔物の脅威が大きくなるというのも皆わかっていた


砦も魔石が使われて、魔力が付与された大弓が放てるようになるなど、大幅に改良されているようだ


学校は村の西側に本物の石材を使って建てられたし、医療団が常駐する病院もできた


今は議会を作ろうとなっており、近々選挙も行われるようだ


この国には首都やホルム以外にも大きな街はたくさんあるが、皆魔物を追い払えているのかと気にはなるが、今でもこの村を発見されることはないので、ランカスターがどうなっているかはまだわかっていない


皆、他の街の様子など気にかける暇もないほどに自分の事と村のことで手一杯だ


作物の方も順調に育っており、東西に張り巡らされた畑で色とりどりの野菜が育てられている


家畜もこの前、羊の子供が産まれて大騒ぎになっていたのを思い出した


誰一人助産の方法を知らないので、皆見守ることしか出来なかったが、とにかく応援しようと南の方から大音量で声援が聞こえてくるので、声援の大きさに比例してエバンスの孤独感と焦りは増幅した


「エバンス!どうだ!? 元気か!」


ガーランドは毎日様子を見にきてくれるが、成果があげられないのでその優しさから余計に申し訳なく思えてくる


「すみません、ガーランドさん 今日もまだうまくいきません」


そもそも、エバンスは今まで首都で見た目重視の国重役用の祭礼に使う剣しか作ってこなかった


魔物と戦う必要がない、戦争もない国において本物の剣など要らなかったのだ


言い訳していても仕方がない、ガーランドのために頑張らなくては


そう思うが出てくる言葉はため息混じりだ



「いいんだって!むずいんだろ!? 今日は何を試そうか」


「どうしてもこの藍色鉱石が溶けないんです だから竜の棘を練り込めなくて」


「んー 鉱石は曲げれるのか?」


「出来なくはないですが、自分の力だとなかなか」


「じゃあ俺がやるから加熱してみよう デイジー!!いるか!? 火ぃくれ!!!」


デイジーが風魔法で飛んでくる


「人使いが荒いですねぇ あの最近美味しいって有名なパン屋さんで全部1種ずつ買ってくださいよ」


「太るぞ」


言うか言わないかの間に、脇腹に右ストレートが突き刺さる


デイジー特製の炉の炎が一気に上がる


「エバンス!長めに切ったやつ入れてくれ」


「でも!もったいないのでは!?」


「いいから!」


エバンスは4メルほどの藍色鉱石を細長く切り出し、急いで成形して丸ごと炉に入れる


「エバンス!竜の棘混ぜてくれ!」


「表面しかできませんよ!?」


「それでいい!」


エバンスが竜の粉をまぶしては槌で叩いて表面に混ぜていく


「デイジーもっと火を強くしてくれ!」


ガーランドは十分に熱された藍色鉱石の真ん中に、しゅっとタガネで切り込みを入れる


「エバンス! 片方持ち上げてくれ!」


エバンスはガーランドが何をしようとしているかわかった


エバンスは切れ目が入った片方に鉄の道具を差し込んで持ち上げ、ガーランドが持ち上がった部分を鉄槌で叩いて半分に折りたたんだ


タガネで切れた切り込みが正確だったのか二つの藍色鉱石がピシャリと重なる


「これ叩いて伸ばしながら何回もやりゃ、何層にも竜の棘が塗布された剣が出来るんじゃないか? そこのパン屋で似たようなパン作っててよ。出来んじゃねぇかってさっき思って来たんだ」


「ガーランドさん!」


エバンスは泣きそうだった


折り返し鍛錬、またはダマスカス工法と言うそうです

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