石造りと酒とデイジー
平原を越え、カルという名前の街に着いたらしい
ガーランドは生まれて初めて村とは違う人間が作った本当の文明に触れた
なるほどこれはすごい
まず加工した石で建物が作られているのだ。辺境の村は木造しかない
商店がある。商品が胡散臭さを放っていない
宿もある。なんと石造りの上に三階建てだ。どんな要人が泊まるんだ?ここもまだ辺境なんじゃないのか?
あれはおそらく酒場だ。いい匂いがしてくる。
とんでもないところに来てしまったとガーランドは思った
広い大通りには路面店も出ており、道化の格好をした大道芸人が長い棒の先に逆立ちしながら片手だけでバ
ランスをとっている。それに人だかりが出来て、道化に向かって硬貨が空を舞っている
なぜ硬貨が空を?
目が回りそうだ
「おいガーランド、石を売ってポーションだ」
目をまわすガーランドにダガーが突っ込む
「そうだ エルダ、どこで売ればいいかわかるか?」
「んー 鍛冶屋とかになるのかな この石を加工してペンダントを作ったり?」
「行ってみよう」
「こんな鉱石見たことないねぇ 加工方法もわからないし、でかいけどさぁ、1個しかないんじゃあ試して壊れておしまいだね。うちはいらないよ」
鍛冶屋に門前払いをくらい早々に出鼻をくじかれた一行は、他にも何軒か石を扱いそうな店を回ったが全て門前払いされた
「腹は減ってはなんとやらだからな 食ってまた探そう」
意気消沈する一行の気分を変えるべく、ガーランドが提案する
「そうね」
「最初の街の入り口に見えた酒場にしよう。いい匂いがしたんだ」
馬は厩舎預けていて、鉱石はガーランドが麻袋に入れて肌身離さず持っている
「にしてもここも加工した石の建物だぞ。すげぇなぁ。ほらこの腸詰絶品だぞ なんの肉だろうな?」
「本当このシアとかいう飲み物もうまいなぁ なんだこれは果実酒か??」
「なんで!お酒なんて!飲んでるのよ!!!!!!!」
エルダが本気の右ストレートをガーランドとダガーに入れる
「いってっ 1杯だけならいいだろ?それに酒だってわからなかったんだよ勘弁してくれって。シアってまず飲み物か食べ物かすらわからなかったんだ。注文の文字を読めただけでも褒めてくれよ〜」
「あのーすみません」
見知らぬ少女が話しかけてくる
「失礼ですが、そちらの袋には何が?」
ガーランドが答える
「あーお嬢ちゃん。どうしたんだい?この中にはうちの村で取れる鉱石が入ってる。仲間が危険な状態で
ね。高く売っていいポーションを買いたいんだ」
「そうでしたか。申し訳ございません。名乗り遅れました。私はデイジーと申します。ミドガルディアで魔法研究を行っております」
「ミドガルディスって言えば中央のことか?」
「ええ。よく皆さんが中央と呼ばれるこの国の首都です」
「それでこの鉱石がどうかしたのかい」
「その鉱石から異様な魔力を感じます。王都で出回っている鉱石で稀に似たような魔力を感じることはあるのですがどれも薄いものばかりで ただこれは明らかに違います」
「異様か。確かに異様かもしれない。こいつを取ると魔物が出るんだよ」
「魔物ですか!?この国には魔物はもういないはず!現れるとしても大人であれば誰でも武器を持てば倒せるような弱く小さいものだけしかもう..!」
「それが2日くらい前にうちにとんでもない一つ目の巨人が出て大変だったんだよ」
「!!! そんなこと! その鉱石を採掘したらそれが現れたと?」
「ああ、そうだ」
「お仲間が危険な状態というのもそれが原因と?」
「そうだ。」
デイジーと名乗った少女はしばらく考え込んだ。考えると指を机にトントンする癖があるようだ
「.... その鉱石を国で買い取ります。その鉱山を研究してもよいでしょうか。もちろん協力支援金という形でお金もお支払いします。お仲間の治療のために医療団も派遣しましょう」
「お、おおおい、話が急だなぁありがたいけど、なんでそうなった?エルダ、ダガーどうなんだこれは?」
「私はいいと思うわ。この方は本気の目をしているしこんなことで嘘ついて何になるの?って話じゃない? 支援金を出して医療団を派遣するって嘘って何よ。詐欺だとしても意味がわからないわ」
「このまま何も出来ないよりはいいわな」
ダガーも賛成した




