ガーランド、剣を作る②
「じゃあじいさん、その鉱石ちょっともらっていいか?」
「まだやるとは言っとらんが」
「なんだよそれ!どうすりゃいいんだ!」
「たまにでいいからここにきて話し相手になってくれんかの」
「ああいいぞ こんなところにひとりぼっちは寂しいもんな」
「じゃあ、好きに取っていい」
デイジーはそんな簡単にいいの?と思っているとガーランドが持ってきた鉄槌の方で藍色の鉱石を叩く
ガンッと鈍い音がするが、鉱石は傷ひとつついてない
「じいさん、取るの無理じゃねぇか」
「早まるな ほれ」
そう言って大鉱石イグアナは大岩に自分の背中を擦り付けた
と、岩肌がゴロゴロゴロと削れこぼれ落ちるのと同時に鉱石も外れるように落ちた
「なんだそれ!じいさん最初から言えよ!」
「コツがあるんじゃ その石は硬いでの。お主らにこれを削る力があるかの」
「ありがとうございます!やってみます」
そう言ってデイジーが風魔法で補助しながらガーランドが持ち上げようとした時だ
「いやいやいや!デイジーいらないぞ!俺が浮いちまう!軽すぎるこれ!」
デイジーも相当重いものだと思って顔を真っ赤にしながら、ガーランドと鉱石を傷つけないよう慎重に浮力を起こしていたが、必要なかったようだ
「デイジーでも持てるんじゃないか?」
ガーランドが手渡してくるが、全長2メルほどにもなる大長老の皮膚からこぼれ落ちら鉱石は、いとも簡単に持つことが出来た
鉱石はまだ大長老の足元にたくさん落ちている
「あと、そこから帰れるからの 使うといい」
そう言って、大長老の目はある一点を見つめている
デイジーが視線の先を見ると何やら岩に紋様が描かれている
「適当に魔力を込めれば転移できるようじゃ わしは大きくて無理だがの あの小さいわしの同族もそこから行ったんじゃろ そもそもここを戻るにはそれしかない」
デイジーはふと入ってきた方の階段を見た
つもりだったが、階段がない
「あれ?あっちの方から来ませんでした?」
「そうだな あの辺に階段があったはずだ」
デイジーもガーランドも来た道の先にある岩肌を指差す
「どういう細工かわからんが、元来た場所には戻れん 昔はそこから突然人が現れて、遺跡はどこだと散々言ってきた」
「そいつらどうなったんだ?」
「戻れんのなら進むしかないじゃろ この空洞の奥にどんどん進んでいったよ 誰も戻ってこんがな」
「これ転移魔法ってことですか?」
デイジーが足元の紋様を見て言う
「では、ここはあの遺跡の階段の先をただ降った場所ではないと、 いつの間に私たちは転移したんでしょう」
「わかんねぇけどなんかすげぇとこに来ちゃったな 奥行ってみるか?」
「それはまた今度にしましょう。今はまずは剣が最優先ですし、そもそも村のことも今はエルダさん達に丸投げしちゃってるんですから」
「そうだな。 じゃあじいさん!また来るからな! 元気にしてろよ! 飯は何が好きなんだ!?」
「んー たんぽぽかの」
「じいさんお前可愛いやつだな!」
「ほっほっ」
「そういえばお名前は!」
デイジーが聞く
「ない 好きに呼んでくれ」
「じゃあ大長老だな」
「ですね。 では大長老さん!ありがとうございました」
こぼれ落ちた鉱石を紋様の中に入れれるだけ入れて、デイジーは魔力を込める
こう言う時は何も考えずに無属性のイメージで込める
すると紋様が光だし、次の瞬間には鉱石イグアナが突き破って出てきた、あの何もない空間にいた
「本当に転移してきたんですか!?ここにいるってことは」
デイジーは足をバタバタさせて足元にある紋様を踏みつけながら興奮している
「そうみたいだな 石も持ってこれたな」
「なんかすごいことになっちゃいましたね。この遺跡、なんなんでしょう」
「その答えはデイジーが見つけてくれよな。俺は剣を作ってくるからよ」
「いやもう今からは調査はしないですよ!転移の技術があるって分かっただけでも今日はもう大大大満足です!!! 私も行きますから!」
そう言って二人で出口を目指した
デイジーは器用に直径2メルほどの藍色の鉱石を7個ほど風魔法で浮かせて運んでいる
「荷車持ってくるか? ソリ持ってこればよかったな?」
「大丈夫です このまま行きましょう」
地上に出るとさらに自分の足とガーランドの足に風魔法を付与して駆けながら、鉱石7個を制御している
曲芸師にでもなるのか?とガーランドは思った
村が見えてくると南門には人だかりが出来ている
村の入り口、最前列で待機していたのはダガーだ
「なんかすげぇの持ち帰ってきたな。これが剣に使う鉱石か?俺の脛当ても作ってくれよ」
「脛当てどころかお前にも剣を作ってやるよ。 で、だれが作るんだ?」
それまで興奮していた村の入り口付近に、一瞬の静寂が流れる
防衛団の野次馬も、医療団の野次馬も、調査団の野次馬も皆、首をかしげる
「それでは集会場の前で、鍛治職人品評会でもしましょうか」
デイジーがはいはい!と手を上げて提案する
「なんだぁ!?」
「きっと首都から避難してきた人の中にも、ホルムから来た人の中にも鍛治職人はいると思うんです。鍛治職人を集めて、皆さんに同じ武器や防具を作ってもらって、その中から1番腕のいい方を審査員の投票で決めましょう」
「審査員は誰がやるんだ?」
「ガーランドさんとダガーさんは絶対ですね。マーカスさんもいいかもしれません。後エルダさんも呼びましょう」
「デイジーも審査員だからな」
「まぁ実演して壊れない武器、防具の方が優秀ってことでいいんじゃないか?」
ダガーが言う
皆頷くとデイジーが最後に言う
「では明日のお昼!第一回辺境の村鍛治職人品評会を開催します!」
村の入り口付近からは大歓声が湧き起こるが、ガーランドは懸念点が一つあった
「その品評会用の武器の素材はあるのか?」
「ないです!」




