ガーランド、大長老鉱石イグアナに会う
「で、鉱石はどこなんだよ」
「ないですね」
この装置と壁画の部屋が行き止まりのようだった
「いや、なんかあるんじゃねぇか? この装置になんかしたら奥の壁がゴゴゴゴゴって開いたり」
「装置はいろいろ試しましたが、なんとも」
「じゃあ赤い線の方に水魔法打つとか」
デイジーは全く期待できないと言った顔で、片手で水を放つ
「何にも起きませんね」
「ここじゃねぇか? うおっ!」
魔神の顔部分を手で押し込んだ時だ
ガーランドが手を伸ばしたまま壁に吸い込まれていった
壁だと思っていものは、壁ではなかった
魔力を吸収するが、物理的なものは貫通する魔法の幕のようなものだったようだ
「なんだぁ!?ここは」
デイジーは両手を前に出して幕を抜けると異様な光景が広がっていた
真っ暗闇で先が見えないが、空気の通りで広大な空間にいるのがわかる
辺りには炭が完全に焼かれて白くなった時のような、乾いたような独特な匂いが立ち込めている
デイジーが炎魔法で暖かい光の輪を作りあたりを照らす
「ひゃっ!!」
無数の動物の骨だ
異様な数の骨が積み上がっている
もう風化しかけていて、何の骨かはわからないがとにかく量に圧倒される
「古代人はここで飯食ってたのか?」
罠には怯えてたのに、この大量の骨には無反応なのはなんなんでしょう。と心の中でデイジーは突っ込む
「そうかもしれませんね」
そう返事はするが、デイジーは頭の中で別のことを考える
鳥やトカゲを媒介にしてあの装置でゴイルを作っていたのでは?と容易に想像できた
が、自分の頭の中だけに留めておく
これ以上、不用意に推論を語っても、いっぱいいっぱいのガーランドの頭をさらに混乱させるだけだ
ただ、それだけではない
デイジーもこれ以上は想像したくなかった
ゴイルは人型なのだ
「鉱石はあるかな。 デイジー奥に明かり灯してくれ」
光の輪が鎖のように繋がって奥まで照らす
「まだ奥に道があるぞ」
先へ進んで行くとまた下に降りる階段のようだ
この階段も角が綺麗にしっかりと取られておりこの遺跡の文明の高さを感じる
「ここは、、、」
階段を降りるとその先は天然の大空洞だった
「こんなのが広がってるなんて俺知らなかったぞ。まぁ村からほとんど出てないから当たり前なんだけどな」
「天然の空洞ということはどこかにお目当ての鉱石があるかもしれません。遺跡の奥に隠されていた場所ですから、きっと何かあるはずです」
見れば見るほど、今まで見てきたどの景色にも当てはまらない
ただの岩の空洞ではない
まず、魔力のせいなのか石や岩が浮かんでいる
硬い岩の間を縫っていくつもの大木が所狭しと生えている
苔の生えた岩の間には雨水が貯まって出来たであろう小さな池があり、小動物や小鳥が水を飲んでいる
デイジー達は地下にいるはずだ
真っ暗なはずなのに、明るい
確かに洞窟は洞窟なのだ
四方をぐるりと見渡せば、どこまでも続く岩の壁だ
なぜそれらが視認できるのか気になってガーランドもデイジーも上を見た
天井部分は透過され、青空が見えた
「なんだぁ!?」
「すごい技術ですね、、、どうやって空が見えているのか、まるで見当もつきません」
小さな池が出来ているのは地下水が流れ着いたと思っていたが違った
おそらく雨も透過して降ってくるのだろう
木の葉に雫がついている
「ガーランドさん こんな神秘的な場所なら鉱石あるかもしれませんよ」
「流石にガキの頃に戻ったみたいに興奮が止まらねぇな」
そうして一歩一歩奥へ進んで行くと、デイジーが少し先の岩肌が動いたのに気づいた
「え?」
「どうしたデイジー」
「今なんか、気のせいかもしれないですが」
岩肌が動く
何かと目が合う
「おお。人間か どれくらいぶりかの」
「話しやがった!」
ガーランドが防衛団から借りている剣の柄を握る
「待ってください!敵意はないようです」
「わしはもう戦えんよ。ほれ見てみろ。このおいぼれの体を」
そう言って岩肌が動く
ゆっくり現れたのは、前回倒した鉱石イグアナの数十倍は大きい鉱石イグアナだ
「でっけぇ!!! 大大鉱石イグアナだ!」
「歳だけ食ってしまったからの」
「何歳なんだ?」
「わからん とにかくずっと前に戦争があった時からかの」
「神々の戦争ですか?」
「神かはわからんが、何か地上で大きな戦いがあったのは知っとる ここにも響いてきたからの」
「あなたはずっとここに?」
「ここが家だからの」
「この天井はあなたが?」
「いやわしではないよ どうだったか 前に来てくれた者がおっての 其奴がやっていった こっちのが空が見えていいだろうとな」
「な!こんなことが出来る人間がいるんですか!?」
「名乗らずにすぐに出て行った気がするがの 昔のことだ 朧げだよ」
「待て待て!デイジー! まず魔物と話せてることに驚けよ!」
「そうですが」
「魔物とは失礼な わしはただのイグアナじゃて」
「ただって、くそでけぇじゃねぇか!」
「歳だけ食ってしまったからの」
「で、その頭の冠はなんだ?」
「長老だからの」
「理由になってねぇって! 昔はたくさんいたのか?イグアナが」
「昔はな 皆話すこともできた 今は言葉も通じん、似たような姿の別物になってしまった」
「すまんそいつたぶんこの前倒した」
「いいんじゃ もうあの頃の仲間はおらん」
「死んだのか?」
「わしだけがなぜかここまで生きた」
「そうか。寂しいんだな爺さん ところでよ、世間話もいいんだけどよ、爺さん鉱石しらねぇか?」
「鉱石とな なぜ探す」
「剣を作りてぇんだ いい鉱石で強い剣をよ」
「そうじゃな。わしの体はなかなか年代物じゃぞ」
そう言ってガーランドの前に巨大な前足が差し出される
叩いてみろと目で伝えてくる
岩かと思っていた大長老鉱石イグアナの肌を少し叩くと、空の光に照らされて藍色に輝く鉱石が見えた




