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果ての絶対防衛  作者: teddy
2章 二カ国協定
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辺境の村、賑わう

草魔法を込めた魔石で結界を張ったところでは、作物が順調に育っていた


やはりここは北の山の方から流れ出る、負の魔力が土地を枯らしているかもしれないと、デイジーは仮説を立てる


負の魔力というより『魔』そのものだ 


魔法学校ではそんな属性の魔法を教えてはいないし、この国では公式に認定はされていないがおそらく『魔属性』ということになる


デイジーの目の前では今、避難民達が、村を囲むように外側に出来上がった魔法の石で作られた仮設住宅を順番に案内されているところだ


一人、また一人と自分の部屋、あるいは家族みんなで住む部屋に案内される度に奇声にも似た歓喜の声が上がる


「ここ押すと光るんだけど!?これ電気じゃない!?」


「なぁ!?ここを捻ると水が出るぞ!?」


魔力が薄かった首都では、魔法を使える者も限られており、魔法の電気など特権階級しか恩恵を受けていなかったのだ


電気も初めて見る者も多いだろう


一息ついた避難民の中には野菜作りを手伝うと言ってくれる者もいる


家畜の面倒を見れるものはいるだろうか


初めての魔力を使った電気や水道を目の当たりにして興奮している避難民達を見てそんなことを思いながら、デイジーはずっと頭の中でぐるぐるしている考えを整理する


村から出た橙色の大きな鉱石に秘められた魔力を抽出することばかり考えて、今まで村でずっと出ていた小さな淡い黄色の鉱石のことなど目にもくれなかったせいで、あんな事件が起きてこんな有様になっているのだ


だが、教訓は生かさなければならない


小さな物にこそ目を向けなければならない

そう思い、布の袋に山積みになった、小さな淡い黄色の鉱石を1つ取って、魔石の研究を続ける


例えば、草魔法と回復魔法を半々に魔力を込めたらどうなるのか。

草魔法と言っても蔓を生やす魔法から花を枯らす魔法など、多様な種類がある。

回復も同じだ。毒を治す魔法と、皮膚の傷を治す魔法と、毎秒少しずつ体力が回復する魔法。

いろんな魔法を想像しながら魔石に込めたらどうなる? 

無限に可能性が広がるのではないか?

だが今のところ魔法が具現化するわけではない

魔石は今のところはただ、魔力を少しずつ放出するだけだ

具現化に至れば、さらに発展する


そう思い、いろいろ試行錯誤する


具現化?

ふと一瞬、何か気づけたような気がするが、馬鹿でかい声に思考がかき消された


「おう!デイジー! また研究か? 専用の研究部屋でも作ってやろうか 木でよ」

ガーランドだ


「いえ、今はこうして皆さんを見ながら魔力を込めるのがなんか癒されていいんです。新鮮な反応嬉しいですよ」


デイジーは電気と水を通すのにも一役買っていた


「そうか。もうおおよそだが2万人くらい村に入ってるそうだ。すげぇな」


「もう村じゃないですよ。街です」


「だがよぉ、食糧用の魔物がこねぇんだなあ」


カルからの支援で少しは耐えれますし、家畜もちょっとずつ村に到着してますから、野菜だって届いてますしね


「でも肉食いてぇじゃねぇか 牛も豚も3万人に食わせられる量はないぞ」


「そうですねぇ、東か西には探索行ったことあるんですか?」


「そいやぁあんまりないな。ガキの頃はこの辺駆けずり回ってたが、団に入ってからは北の森を切り開いて、訓練して、ちょっとずつ砦立てて、魔物倒してただけだ」


「そっちの方に何かあるかもしれませんよ」


行動力の化身であるガーランドは、そのまま集会場に行き、ダガーとガットら、何人かの仲間を連れてまずは西の草原へ向かった



「なんかあるか?野生の牛でもいないか?」


「牛って野生にいるのか?」


間抜けな会話をしながら歩みを進めるが、何もない


ただただ平和な草原があたり一面に広がるだけだ


「この辺は北から流れてくるいやぁな空気が薄い気がするな」

ダガーが言った


「そう言われりゃそうかもな。空気がうまいかもしれん」


「団長あれ見て!モヤがないよ!?」

ガットが前方を指差す


いつも魔物として登場するモヤのかかった狼とそっくりだが、モヤがかかっていない


「んーじゃああれが魔物になる前の本当のあいつらの姿ってことか?」



「鋭いじゃねぇかダガー。だがそうなるとゴイルの元はなんだ?鳥が魔力吸ったのか?」


「俺に聞かれてもな。鳥が魔力吸って人間みたいな手足になるか?それにあいつどっちかっていうと翼の生えたトカゲじゃねぇか? まあとにかくデイジーに聞いてみりゃいいだろ。狼の話もしてさ」


「そこは魔力でよぉ こう、  待て待て! 牛じゃねぇか!?」


「どこだ!」


ガーランドはもう走っている


だが、無闇に殺生してはエルダに怒られそうだ


「連れて帰ろう」


こうしてガーランド御一行は数十頭の茶色や白黒の牛を村にもたらしたのだった


と、今日は平和に終わるかと思ったがどうやら村の様子がおかしい

仮設住宅の並ぶ路地では、混乱し、逃げ惑う避難民たちで渋滞が起きている


どこにも行き場のない悲鳴がぶつかり合ってこだまする



デイジーが風魔法でやってくる


「いた! ガーランドさん!早く! 出ましたよ!砦にとんでもないのが!!」

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