エルダ、鉱石イグアナに氷を突き刺す
エルダは焦っていた
目の前に立つ2人が思っていた以上に強すぎるのだ
エルダだって自分なりに出来る限りのことはして来たつもりだ
だが才能なのか経験なのか努力なのか分からないが、とにかく出鱈目に強い2人を一番近くで見ていたら、例え焦らなくていいと言われても無理なものは無理なのだ
そんなことを考えていても、敵は待ってはくれない
もう戦いは始まっている
「まずはこれですよね」
そう言ってデイジーは尖った岩を最速で鉱石を纏った爬虫類にぶつける
鉱石部分が硬すぎるのか、全く効かない
部分と言っても表面は全て鉱石なので、実質全面効かない
「ありゃイグアナだな」
デイジーの実験を横目に、ガーランドが顎をさすりながらまだ呑気なことを言っている
「鉱石イグアナだ」
「分かりました!それで行きますから!戦ってください!」
デイジーが持てる魔法を全て駆使して弱点を探る
だが、弱点実験は岩魔法が一番マシだったと言える結果になった
イグアナの鉱石が虹色に輝き出したかと思うと、炎や氷魔法を反射させる
「エルダさん!危ないっ!」
反射で一直線に飛んできた火球を間一髪でエルダが避けるが、何も貢献できていないどころか、いよいよ魔法が反射されだしたのを見て、焦りが加速する
足手纏いにならないようにしないと、だけど攻撃手段がない
そんなことばかり考えて、足が止まってしまう
と、鉱石イグアナは体を丸めて、回転し始める
始めはその場で回転しているだけだったが、回転が高速になると、回転しながら床を足で蹴ったのか、一瞬で距離を詰めてくる
狙われたのはまたもやエルダだ
「避けて!」
デイジーがそう言うが不意を突かれすぎて足が固まってしまった
「おらっ!」
ガーランドが全速力で駆けて、回転するイグアナを真横から体当たりして軌道を逸らした
「大丈夫か!エルダ!」
ガーランドが叫ぶが、大丈夫なのかと聞かれるべきなのは、どちらかというとガーランドの方だ
体当たりでぶつかった部分が、回転するイグアナの摩擦で研磨されて削られ、血だらけだ
エルダが急いで駆け寄って治療しようとするが、ガーランドが手でこっちにくるなと制止する
「治療はいい。あいつから目を離すな」
イグアナは不規則な挙動で回転し、こちらを狙ってくる
エルダは得意な回復もさせてもらえず、ガーランドにも怪我をさせてしまって、いよいよ呼吸が浅くなってくる
「エルダさん、落ち着いて。 私を見てください」
少し先にいるデイジーの顔を見ると、彼女は話を続ける
「目だけは鉱石じゃありません。つまりそこが弱点です。ただ回転していて当てづらいですから、私がなんとかして動きを止めますので、目を破壊してください」
静かに冷静にそういうと、動きを封じるべく、岩魔法でイグアナを囲うように壁を作る
しかし回転するイグアナは簡単に岩の壁を壊してしまう
「ではこれならどうですか!!!」
イグアナの足元から巨大な岩が突き出る
イグアナが宙に舞い、回転が強制的に終了する
「今です!!」
エルダは呼吸を止める
全神経を目の前に生成したばかりの氷の軌道に集中する
行け!
心の中でそう叫んで、イグアナの目に一直線に飛ぶようにイメージする
エルダの体感では放った瞬間、氷はイグアナの目に刺さっていた
だがそれでもイグアナは床に叩きつけられると、再び回転を始めようと丸まる
「いい加減にしろよなっ!」
ガーランドはイグアナに蹴りを入れて倒し、鉱石の体に剣を無理やり突き刺す
不快な金属音のような断末魔をあげて、イグアナは力尽きた
「エルダ!!!やるじゃねぇか! あそこからあそこだぞ!?」
ガーランドは、エルダがいた所からイグアナが舞っていたとこを指差す
「やりましたね!エルダさん! あの距離を正確に射抜くなんて!私なら一発では無理です!」
デイジーなら一発で当てれると思ったが、そうやって褒めてくれる優しさが嬉しかった
そして大事な役目を任せてくれたことも嬉しかった
エルダはさっきまでの焦りが嘘だったかのように、体に力が入るのを感じる
明日も頑張ろうと思った




