エルダ、鼻が高くなる
ガーランドは爆風に押し返されそうになるが、重心を低くして力を剣に集中させる
雷蛙の頭から胴へと落下しながら剣を振り下ろす
超高温に熱せられた剣のおかげもあって、雷蛙が一刀両断される
街の方から歓声が起きる
「すげぇぞ!?やけど一つしてねぇかもしれねぇ」
ガーランドは全身びしゃびしゃになった巨体を、濡れた犬が身震いをして水を切るように、全身をブルブルと激しく震わせて水の飛沫を飛ばすと、エルダとデイジーの方を振り返りながらそう言う
2人は顔を合わせると、高くかかげた互いの掌を勢いよく打ち鳴らした
ふとデイジーは気になる現象に気づいた
巨大歯ミミズもそうだったが、強敵は霧散しないのだ
ゴイルや小鬼のような魔物は一定以上の損傷を受けると、命が尽きて霧散する
なぜ霧散しないのか研究しなくては
そう考えてふと暗い気持ちになる
自分の研究のせいで首都が壊滅したと言っても過言ではないのだ
デイジーは今でもそう思っている
研究をすれば皆を危険な目に合わせることになる
おそらく顔に出ているだろう、せっかく雷蛙に勝利したのに
そう思っているとガーランドが身を屈めて、顔を覗き込んでくる
「デイジーどうした!?なんかまだ問題があるのか?」
「いえ、強い魔物が消滅しないのが気になって」
「確かに消えないかもな。村のもそうだ。そいやぁ一つ目はどうだったかなぁ あのでかいやつどうしたんだっけな。帰ったらダガーに聞かねぇとな」
デイジーが続ける
「研究したいなって思ったんです」
「ん?いいじゃねぇか」
「私があの鉱石を研究したから、結果的に竜がそれに誘き寄せられて、首都が破壊されたんです」
「んなことねぇだろう?それに次は俺が悪い奴らも叩き切ってやるし、竜だってデイジーの炎の剣で叩き切ってやる。氷の剣のがいいかもな? とにかく大丈夫だって!」
そう言ってドン!とデイジーはガーランドに背中を叩かれる
叩かれた勢いで、数歩前に自然に押し出されてしまう
「ちょっとガーランド!女性をそんな叩かないでよ!」
エルダがガーランドのお腹に、強めの右ストレートを喰らわせる
「わりぃわりぃ」
「わかりました!研究続けます!その代わり、危なくなったら絶対駆けつけてくださいよ!」
デイジーがそう言った
街からは「おーい!」とか「すげぇなお前ら!」などと、早くこっちに来いと言わんばかりに市民が歓声を上げている
デイジーは雷蛙の素材が気になるが、ガーランド達が街に向かうようだったのでついて行く
きっとすぐには消滅しないだろう
街の歓迎はすごかった
主要の道路だと思われる石畳の大きな通りには、市民が溢れかえっている
街の守備隊は疲れ切って路上に倒れているが、幸い重症者はいないようだ
魔法で治療を受けている
今までガーランドが戦ってきたことが、遂にランカスター国民に評価されたかと思うと、エルダは鼻が高い
高いどころではない、顔が全部鼻になったと言ってもいい
「ガーランド!見つかっちゃったわね!?」
エルダは嬉しそうだ
「むぅ」
ガーランドは持て囃されるのは苦手なのか困った顔をした




