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果ての絶対防衛  作者: teddy
2章 二カ国協定
32/53

ガーランド、ホルムで暴れる

飛空艇の監視装置が、首都へと一直線に向かってくる高速の物体の魔力を感知する


「敵っすか!?」

エマが警備している隊員に聞く


「いえ。まだ断定は。 あれは?」

ソリだ


昨日ガーランド達が何やら作っていたソリだ

警備隊員もずっと見ていたので、もちろん覚えていた


「ソリです!ランカスターの人たちが作ってた例の!」


「えええっ! もう帰って来たってことっすか!?みんな乗ってるっすか!?」


「いえ!人影は見えません!おそらく操縦者一人かと!」



ラスターは自分が使える最後の魔力を振り絞り、懸命に首都まで駆けてきた

デイジーとエルダが魔力に気がつき、北門に走ってくる

ガーランドも一緒だ


「ラスターさん!どうしました!」

デイジーがソリに飛び乗って、倒れ込むラスターを抱き上げて聞く


「ホルムに、魔物が 大勢」


「本当か!」


「強さはそれほどだと思いますが、  数が多すぎて持ちそうにありません」

エルダに回復されながらラスターは途切れ途切れに話す


「じゃあ今すぐ行こう!デイジー!エルダ!運転してくれるか?」

ガーランドは今すぐにでも行く気満々だ


サラマンドがやってくる

「何か問題か?」


デイジーが今聞いたことを一瞬で話す

「そうか。私達も協力しよう 飛空艇でいく」


デイジーが太ももをトントンして一瞬考える


「待ってください。サラマンドさん達にはミドガルディスを守って頂きたいです。こちらも十分に魔物が来る可能性がありますから。ホルムは私とガーランドさんとエルダさんで行きます。」


「3人だけで?大丈夫か?」


「はい。大勢いてはソリを全速力で走らすのを躊躇っちゃいますから。それに人を集めている時間ももったいないですし!ラスターさんがこんなになってまで危機を知らせてくれたんです。おそらく時間がもうないんです」


ガーランドが大袈裟に右腕に力をいれて振り回す

「ようやく俺も手伝えるってわけだな!?」


ラスターをソリから降ろし、サラマンド達に預けるとソリは一直線にホルムへと滑り出した


速さで言うと、辺境の村で一番速い馬の比ではない

辺境の村の熟練の弓兵が放つ矢ぐらい速かった


「うおぉぉぉぉぉ!?死ぬぞデイジー!!!!」

ガーランドは顔が引き攣されながら絶叫した



最速でデイジーがすっ飛ばしたので、どれくらい時間が経ったかは覚えてないが、陽はまだ完全に落ちてはない

もうホルムが見えそうというところだ


「デイジー!街だ!」

ガーランドの声は、風切り音に混じってほぼかき消されるが、デイジーがうなづく


魔物は相当数いた

見慣れた狼とゴイルだ

だが見慣れぬ魔物もいる


村にはまだ一度も出てきたことがない人型の小さい個体


遠くからでは捉えるのは難しいが、なんとなく顔が怖い顔をしているような、怒ったような印象を受ける


近づいて段々ぼんやりわかってくるが、おそらく白目がないのだ


ガーランドは小型黒目と心の中で名づける


もう敵まで数十メルというところでガーランドがまた大声を出す

「デイジー!あそこにつけろ!」


指差す方向はホルムの正門だ

門内に少々の突破を許しているようだが、魔物が雪崩れ込むには至っていないので、街の守備陣形は完全には崩壊していないと見える


「一番多いところがいいだろ!? どかっとやっちまおう!!!」

ガーランドの提案にデイジーが乗る


「本当に言ってるんですか!!!?」

風切り音がひどくてなんとなくしか聞こえていなかったエルダがやっと状況を把握したようで、悲鳴を上げながら叫ぶ


ソリはさら速度を上げ、魔物を轢きながら正門前まで一直線に滑る


魔物がぶつかりながらソリに乗り上げてくるが、ガーランドがソリの最前部から身を乗り出して、片手剣で一刀両断にする


魔物が密集しすぎてこれ以上動かないというところまで来た

ちょうど正門近くだ


デイジーがソリの上から、近くに群がる魔物を一掃すべく、炎魔法で払う


竜の灼熱の息を喰らったかのように、東側の魔物が霧散していく


エルダも負けじと、自分の炎魔法も通用することを見せるべく、逆側のあたりを焼き払う


デイジーよりは範囲が狭かったが、西側の魔物が霧散していく


「お前らずりぃな!俺もいくぞ!」

ガーランドはそのままソリから降りて、一人、魔物と戦い始める


何十年と戦ってきた戦士がこんなところで負傷するわけもなく、次々と魔物を薙ぎ払っていく

小型黒目も、持っている棒っ切れや、小型の短剣でガーランドに切り掛かるが、力負けして吹っ飛ぶ


「にしても、多いな〜 デイジー!剣に炎を纏わせてくれ! デイジーなら出来るだろ!」


ガーランドが急に思いつく


先ほど炎魔法を目の前で初めて見て、憧れてしまったのだ


自分も使ってみたくなった

いや、使えるのでは?と思ったのだ


「やってみますが、動かないでください!止まって!」


ガーランドは敵を足と片手剣を持っていない方の腕で殴りながら、その場に踏みとどまり、片手剣を空に掲げる

小型黒目に噛みつかれているがお構いなしだ


デイジーが魔力を剣に集中させる。


剣が橙色に光だしたと思えば、今度は炎を噴射しながら燃え盛っている


炎そのものだ


「あっついな!!これ ありがとう!デイジー!!!!」


そう言いながらガーランドは魔物を燃やしながら切り続ける


ちょうど陽が落ちた戦場が炎に照らされて、踊るように戦う大男(ガーランド)を見ると、どこかのお祭りのような光景かと錯覚してしまうくらい綺麗だった


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