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果ての絶対防衛  作者: teddy
2章 二カ国協定
30/53

ホルム、包囲される

ソリの旅は思った以上に快適だった

ガーランドが船底を磨き上げてくれたおかげだろう

摩擦がほぼ無いのでするすると、地上を滑って進んでいく


速度もかなり出ている

辺境の村の一番足の速い例の馬が、全力疾走をずっと続けているみたいなものだ

むしろ余裕で速度を上げられるが、安全第一というデイジーの命によって、速度を制御している


首都からホルムへの道はこの国で唯一街道ができており、石畳の舗装がされている

流石に石畳を滑ってしまうと、傷つけてしまう罪悪感がすごいので、その石畳の脇の少しでこぼこした土の上を滑っている


この脇の道をソリが滑れるように整備したらすごい交通網になりますよ!デイジーさん!

とラスターは心の中で叫ぶ


あっという間にホルムが見えてくる

が、様子がおかしい

ソリの乗客もすぐに気付き、みな一様に前方を凝視している


ラスターは速度を緩めずに風を送り続けているとホルムがさらにくっきり見えてくる

それを取り囲むように魔物が群がっている


モヤのかかった狼、顔がトカゲの飛行体が何十と空を舞い、街を取り囲んでいる

矢らしきものがそれらに向かって放たれるのも見えるが全く当たっていない


体の小さな二足歩行の魔物もいる

手にはどこから拾ってきたかわからないが古びた剣や棒切れ、鉄屑の棒などが握りしめられている

だが街の門は封鎖されており、侵入は許していないようだ


ラスターはどうしたものかと考えながら、風魔法も維持しなければならないので、頭がはち切れそうになっていた

助手の魔法使いも連れてきているが魔物に動揺していて、それどころではなさそうだ


このまま引き返すか?

引き返す道中で魔物がいないという保証もない

首都に戻っても、そこで魔物が襲ってきたら?


ありったけの風魔法を使ってホルム市街へ突撃するか?

どこに突撃すればいい?

このソリはかなり大きい そんな場所あるのか?


ラスターの頭の中は回転しすぎてもう悲鳴をあげている


一瞬何も考えられなくなりぼーっとしていると、肩を叩かれる

「ラスターさん、あそこです!あそこならソリを着けることができるかもしれません!」


巨大な船着場だ

ホルムは大きな川に面した都市だ

助手が指差す先には、川で漁をする船が停泊する船着場があった


だが今、最後の船が格納され、船着場の水門の鉄製の柵が降り始めていた

人間というのは不思議なもので首都に帰る選択肢もまだあるというのに、船着場にもしかしたら入れるかもしれないと思ってしまうと、これが最後の希望であり、それが一番良いとしか考えられなくなる


「行きます!」

ラスターは全速力で船着場の、門を目指して風魔法の出力を全開にする

とんでもない速度で平原を滑り川に一直線に侵入する

船は沈むかと思われたが、予想に反して水面を綺麗に滑る


あまりの速さに乗客からは悲鳴が上がる

だがもう鉄の柵は閉まり切ってしまうくらいだ


「お願い!!!」

ラスターはもう目の前を凝視しすぎて景色が止まって見える

どこに進んでいるのかわからなくなっている


いつの間にか目の前が緩やかな上り坂になっており、わざとでこぼこに舗装された人工石に引っかかってソリは自然と止まっていた

これ以上登りすぎないように、助手が逆方向に緩やかに風魔法を放っている

既に船着場の中だった

個人的のこの回好きです

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