シェリ王国の魔法技術
巨大歯ミミズの体は鋼鉄のようなもので出来ていた
何度か魔法攻撃を与えてみるがどの属性で攻撃しても弾かれてしまった
当然、剣で切り掛かっても無意味だろう
ランカスター共和国にあった貴重な鋼鉄の装備の類は全て辺境の村へ送ってしまった
鉄製ではおそらく歯が立たないだろう
それにエルダもデイジーも細剣を腰に携えてはいるがお守りのようなもので実際振ったことは魔法学校の授業でしかない
今までは全て魔法でなんとかなったので使う機会がなかったのだ
巨大歯ミミズは地中に潜ってはデイジー達を狙いすまし地中から飛び出す瞬間に口を全開まで開けて突進してくる
何回も何回も、ここにいる全員を食べるきるまで終わらないと言った勢いだ
あれに飲まれてしまったらおそらく一瞬で溶かされるのだろう
口からは酸のようなものが垂れている
酸は地面に触れるとジュッと言って周りを黒く変色させた
そのため辺りはなんとも言えない酸っぱい匂いが充満している
歯ミミズが口を開けた時に放たれる生臭い匂いと相まって気分が悪くなる
デイジーがどうしようかと思案していると
「ミュラー!!ぶっつけ本番だがやるぞ!」
「おいっす!」
先ほどシェリ王国の代表だと挨拶したばかりの2人が飛空艇に駆け出す
「ルカ!飛べ! あー急上昇じゃないぞ低く飛べよ!?」
そう言いながら甲板に飛び乗る
飛行艇が空を舞う
要求通り地上から数メル程度の超低空飛行だ
これだけでデイジーは技術力の差に驚かされる反面、悔しさも溢れる
巨大歯ミミズがいつ出てくるかと旋回しながら様子を伺っているようだ
しばらく旋回を続けるとサラマンド達の作戦通りと言っていいのか、巨大歯ミミズが飛空艇に食らいつこうと地中から飛び出してくる
歯ミミズが飛空艇を丸呑みしようと大きく口を開ける
鋭い金属音が辺りに鳴り響く
飛空艇は歯ミミズに噛まれたまま動きを止めている
真下から船底を歯ミミズが噛みついた格好だ
と、飛空艇の船底から何か出てくる
よく見ると、船底にあった小窓のようなものが開いたのだ
そこから大砲のような機械仕掛けの煌びやかに装飾されたが筒出てくる
「ミュラーどうだ!?」
「行けるっす!!!」
「撃て!!」
魔力の塊のような光線が筒からものすごい勢いで口を開けた巨大歯ミミズへと放たれる
放った瞬間着弾する
ゼロ距離射撃だ
あんなとんでもないもの食らったらそりゃあひとたまりもないよなとエルダは思った
歯ミミズは内臓ごと魔力の塊に焼き切られたであろう
一撃で仕留められ黒い煙を口から漏らしながら地響きを起こして平原に倒れた
飛空艇がエルダ達の近くまで降りてくる
デイジーとエルダが礼を言おうとした時だ
「こちらへ来て本物を浴びてみると痛いほどよくわかったが、俺でも感じたことのない濃度の魔力なんだ。魔物も寄ってくるだろう。これからもっと来るぞ?どうするんだ?魔物と戦いながら首都を再建するのか?俺らも可能な限り手伝うが茨の道すぎるぞ?」
サラマンドが言う
デイジーは人差し指を自分の太ももにトントンしながら逡巡する
「行くあてならあります。が遠いのと、避難民全員を受け入れられる大きさではないのです」
「ほう。で、どこなんだ?それは」
「辺境の村という名前のない村です。北に馬を走らせると日が七回昇る頃に着きます。この国で唯一魔物と戦っている国です」
魔物と戦っていると告げたら少しは驚くかなと思い、デイジーはサラマンドの顔を観察していたが、顔色ひとつ変えずにサラマンドは続ける
「なるほどな。魔物と戦ってる奴らがこの国にもいたのか。それで避難民はどれくらいいる?」
「わかりません。まだ救助中ですので。それにこの国に魔力が溢れてしまった今、他の街だって襲われる可能性があるんですよね?」
「ああ。そうだった、すまない今はこんなことを話している時ではなかったな。救助を進めよう」
そう言って改めて市街へと進んでいく




