治療と宴と仮定と改善
「ダガー」
「デイジーとエルダにこの件を急いで知らせないといけないなって?」
「思考を読むなよ」
マーカスも同意見だったようで早速、首都まで早馬を出すことになった
負傷者の中ではガーランドが一番重症でマーカスと坑道に行き、目の治療をした
やはり坑道内の魔力は異常で目はすぐに治った
が、ここでまた分かったことが1つある
ガーランドの治療後、負傷者を坑道に連れてきて治療したのだが、この村の者しかその恩恵を受けないのだ
首都から来た冒険者は坑道の魔力の回復効果を得なかった
幸い、冒険者に重症者はいなかったのでそこは問題なかったのだが
医療団としては力の増幅を感じるのだがそれを治療を受ける側が受け取ることができなかったようだ
「つまり俺らだけが腕が落ちてもまた繋げるかもしれないってことか?俺ら死霊兵か?」
「嬉しいのやら悲しいような」
ダガーも少ししょんぼりする
「俺ら人間だよなぁ!?マーカス!」
「ええ。それは間違いありません。なぜ村人の方、もしくは防衛団の方達だけこの恩恵を受けることができるのかは今後調査していきましょう。それに今回たまたまだっただけでこの村の人以外にも効くようになるかもしれませんし、もしも効かないのならその原因を追求して効かせるようにするまでです」
「おおっ!頼もしいなマーカス。だが疲れただろう。 今日はこの辺にして集会場に行こう。そろそろ飯ができる頃だ」
集会場では今回の戦いの勝利を祝うべく宴会が行われようとしていた
先日の戦いで調査団と村人の絆が深まっていた
お互い命を預けあったのだという事実が信頼感を作る
ガットが魔物の強襲を知らせに行った時に戦いに参戦しなかった医療団も、結局最後には全員が戦場に出て治療を行っていた
毒でみな、何かしらの症状は出ていたのだ
砦の近くで見守っていた村人にも毒が風に乗って運ばれてしまい、少し目が痛くなったり、眩暈や気絶、嘔吐してしまったりするなどの混乱もあった
今後は非戦闘員の行動についても気をつけないといけない
さて宴会だが、前回デイジーにもらった硬貨で隣街から食材を買い込んでいたのでガーランドも見たことのないような豪勢な料理が並ぶ
「肉がこんなに!」
「牛、豚、鶏、兎、羊、鹿なんでもあるよっ」
食事を作ってくれた村人のおばちゃんがいう
村人の子供達なんかは肉を見るのも食べるのも初めてだろう
大豆か麦、野菜ばかりで生活してきたのだ
この辺は魔物を警戒して野生動物も寄りつかない
「ガーランドおじさん、食べていい?」
ダガーの子供がこちらに寄ってくる
「おうl!じゃあみんな乾杯!」
それぞれ木の器に好きな果実酒や麦酒を入れて高く掲げる。2人がかりでシアを樽ごと掲げる人もいた
こんな宴はガーランドも初めてかもしれなかった
「お前もそろそろ身を固めたらどうだ。魔物が強くなってる。いつ死ぬかわからんぞ、俺らはもう」
ダガーが急にそんなことを言い始める
「結婚なあ。なんか戦って訓練してガット達の面倒を見てたらこんな歳になってたなぁ」
「村にはまだ若い女もいるし、調査団もきたじゃないか」
ダガーが集会場で騒ぐ若者のたちに目をやる
「デイジーとかな」
ガーランドが目を見開く
「なんでデイジーなんだよ!あの石を彼らが研究して、俺らがそれを守る。仲間だろう」
「まぁ同じ戦いに身を置くことで生まれる信頼関係ってのもあるんじゃないかな?」
ダガーはニヤニヤしている
「俺はもういい歳なんだ。あの子まだ若いだろきっと」
ダガーは酒のクイっと一口飲んだだけでそれ以上何も言わずニヤニヤしながらこちらを見るばかりだ
「なんだよもう!」
この日はみな、集会場で雑魚寝した
次の日になり、まだほとんどのものが夢の中にいたがマーカスはもう起きていた
「ガーランドさん、少し外でお話ししませんか」
ガーランドは静かに頷く
どこへ行くでもなく二人で村を歩いてしばらくした時マーカスが静かな声で言った
「ずっと考えたんですがやはり坑道内部でガットさん達に接合魔法を使ったからでしょうか」
「ああ。それしかないと思ってる。あそこででかい魔力を使うと魔物がくる。強い奴が。きっと奴らはもう気付いた」
「研究時にも魔力を放っているかもしれません」
「だとしても、戦うまでだ」
「ですが、あなたは特に命懸けすぎる。あんな戦いをしていたら近いうちに死んでしまうかもしれませんよ」
「体が真っ二つになってもあんたが繋いでくれるんだろ?」
「その魔力でまた次の魔物が来ます」
「わかった。じゃあまずは砦を強くするのともっと戦える人間を集めないとな」




