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平穏な高校生活を送っていたらなぜか銀髪碧眼転校生(幼馴染)に全力で言い寄られるようになってしまった件  作者: 夜空 叶ト


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第14話 ゴールデンウィークは合宿へ

「どうしてこうなった……」


 ユアと話した翌日、俺が文芸部の部室に訪れると何故だかユアが部室にいた。

 なんで?


「やあ後輩君。今日もいい顔をしているね」


「そういう詩織先輩も凄く良い顔をしていますね」


 詩織先輩は悪魔のような笑顔を浮かべていた。

 この顔はいたずらが成功した時の子供のような顔ではあるが、凄く邪悪な笑みでもあった。


「そりゃね。と言うわけで、紹介しよう。新入部員の百瀬ユアくんだ」


「……こんにちわ。朔夜先輩」


「こんにちわ。それで、何があったか教えてもらっても良いかな?」


「昨日の帰りにお二人に捕まって。そのまま流れで入部することになりました」


「あんたら何してんすか」


 すまし顔で座っている詩織先輩と天雲さんに視線を向けながらため息をつく。

 おそらく、帰りに捕まっているという事から完全に尾行されてたな。

 てか、後輩相手に先輩二人で尾行するとか。

 マジで何やってんだか。


「だって、さっくんが知らない女の子と話してたから気になって」


「だからってすぐに尾行しようとするな。発想が完全にストーカーのそれだ」


「そうだよ幼馴染君。尾行は良くない」


「あなたも絶対にやってますよね。なんなら主犯じゃないですか?」


 詩織先輩なら絶対にノリノリで尾行していたに違いない。

 何よりも文芸部に入っている時点でお察しである。


「酷い言いがかりだ。なんの証拠もないじゃないか」


「こうやってユアが文芸部に入っている時点でほとんど確信犯な気がしなくもないですけどね」


「……君みたいに勘が良い後輩君は背中を刺されてしまえばいいんだ」


「洒落にならないんでやめてください!?」


 一度背中を刺された俺としては笑って流せない冗談だ。

 この人、たまにラインを超えるからやめて欲しいんだけどな。


「そうですよ水城先輩。さっくんが可哀そうです」


「一番可愛そうなのはこんな変人集団に巻き込まれたユアだけどな」


「大丈夫ですよ朔夜先輩。賑やかで、私は全然嫌じゃないですから」


「そうか? ならいいんだけどさ」


 ユアが問題ないなら良いけど。

 できれば、こんな変人集団に染まらないで欲しい。

 純粋なユアが水城先輩に悪影響を受けないか物凄く心配になってしまう。


「じゃ、久しぶりに文芸部の活動を始めようか!」


「……そう言えば文芸部の活動って具体的に何するんですか?」


「私も今日が初めてなので教えてもらえると」


「……幼馴染君も文芸部の活動を知らなかったね。そう言えば」


 文芸部の活動。

 普通の文芸部であれば、本を読んだり、本を書いたりするものだが。

 この部活はそうじゃない。

 文芸部と言う名前だけで、文学に関することなんて一ミリもやらないのがこの部活だ。


「ズバリ、文芸部の活動とは……」


「「ゴクリ」」


「適当にだべったり、紅茶飲んだり。最近の近況を報告することなのだ!」


「「……」」


 二人は口をポカンと開けて動かなくなってしまった。

 まあ、だよな。いっちょ前に文芸部何て名前がついてて、しかも部長が大和撫子の文学美少女と来たもんだ。

 そりゃ、文学チックなことをすると思うよな。


「簡単に言えば、ただの近況報告会だ。それで言ったらユアと今までやってきた事と変わらないな」


「な、なるほど。でも、この部活って文芸部なんですよね?」


「そこら辺は考えたら負けだ。名前だけだよ」


「それでいいんですか?」


「知らん」


 学校的に認められてるのなら別にいいのではないだろうか。

 俺はこの適当な空気感が気に入ってるから特に思うことは無い。

 詩織先輩の無茶に付き合うのも退屈しなくていいしな。


「さっくんは何でこの部活に入ったの?」


「一年の頃に詩織先輩に誘われたからだな。特に深い理由があったわけじゃない」


「いやぁ~あの頃の君は今よりも荒んでいたからね。いい観察対象だったよ」


「人をモルモットみたいに言わんでください。てか、やるんでしょ? 部活」


「おっと。そうだった。じゃあ、お題はゴールデンウィークに何をするかでいこう!」


 似たような会話を昨日ユアとしたけど、二人はそれを知らないから改めてすることになるな。

 まあ、それは別に良いか。


「じゃあ、今回は僕から話そうじゃないか!」


「どうせ全部暇でしょ。去年もそうでしたし」


「おいおい、発表前に答えを言うんじゃないよ。全く」


「やっぱり暇じゃないですか」


 詩織先輩はやれやれと首を振りながらため息をつく。

 そもそも、詩織先輩みたいな自由人が休みの日に用事を入れるとは考えずらいんだ。

 この人、誰よりも自由人だからな。


「そういう後輩君は何か予定があるのかい?」


「俺も特段予定はないですよ。強いて言うなら試験勉強くらいです」


「相変わらずお堅いね。もっと自由に生きないと」


「さっくんってそんなに真面目だっけ?」


「俺だって、中学に入ったくらいから勉強はちゃんとしてるんだよ」


 小学校の頃は勉強なんか全くしていなかった悪ガキだったけど、最近はしっかり勉強をしているし、学年順位だってそれなりに上の方だ。


「朔夜先輩って頭良かったんですか?」


「後輩君は総合学年順位三位だよ」


「「え?」」


「そんなに驚くことか?」


 詩織先輩のカミングアウトに二人は驚いていたけど、総合学年順位一位の詩織先輩に言われても嫌味にしか聞こえない。

 本当に、この人は隙が無いんだよな。


「いや、昔のさっくんらしくないというか。驚いちゃって」


「朔夜先輩って頭良さそうって思ってたんですけど、まさかそこまで順位が上とは思っていませんでした」


「二人とも、微妙に失礼じゃないか?」


 酷い言いようだ。

 でも、二人と知り合ってからまだ一回も試験を受けてないから知らなくて当然か。


「そんなことは置いておいて。次は幼馴染君。何か予定は?」


「私もないですね」


「ふむ。ユア君はどうかな?」


「私もないです」


 どうやら、文芸部の面々は全員暇人らしい。

 まあ、この文芸部に所属しているメンバーはお世辞にも友達が多い方とは言えない。

 俺だって、ここにいるメンバーを除けば宮田くらいしか学校で話せる相手がいないのだから。


「全員予定はないと。じゃあ、みんなで合宿なんてどうだろう?」


「「「合宿?」」」


「そうだ。僕の家が所有している別荘で三泊くらいして勉強会をしないかい?」


「詩織先輩、別荘なんて持ってたんですか?」


「ああ。家がそれなりに金持ちだからね。自由に使える別荘がいくつかあるんだ」


 衝撃に新事実だ。

 確かに。詩織先輩は育ちが良いな~と思う事はあったけど。

 まさかいいところのお嬢様だとは思ってもいなかった。


「良いじゃないですか! 合宿」


「ですね。私も行ってみたいです。朔夜先輩は?」


「そういう事なら俺もお邪魔しようかな。いいですか詩織先輩」


「勿論だとも。勉強会&文芸部交流会と言う形でやろうじゃないか!」


 こうして割と軽いノリでゴールデンウィークの予定が決まった。

 ユアが新入部員として入ったことは驚いたけど、良い感じに馴染めていそうで安心した。


 ◇


「さっくん! 一緒に帰ろ!」


「別にいいぞ」


「やった」


 俺たちは一足先に文芸部を後にする。

 どうやら、詩織先輩とユアは少し話があるらしく文芸部に残っていた。


「ところでさ。ユアちゃんとさっくんってどんな関係なの?」


「どんな関係って。普通に先輩と後輩じゃないのか?」


「なんで疑問形」


「自分でもよくわかってないから。でも、会ったのは本当に最近だな」


「へぇ~」


 隣の天雲さんがめちゃくちゃジト目で睨んでくる。

 結構怖いけど、俺何も悪い事してないはずなんだけどな。


「天雲さんたちが尾行してた時にユアと行ったカフェで初めて会ったんだ」


「なんでそんなところで?」


「いや、同じ制服を着た女の子が泣く寸前の顔で俯いてたら声をかけるでしょ」


「普通はかけないんじゃない?」


 そうなのだろうか。

 俺はあんまりその普通はわからないけど。

 あの時は声をかけずにはいられなかった。


「それで話すようになった感じかな」


「私とは話してくれないのに。ユアちゃんとは話すんだ」


「そう言うわけじゃないけど……」


「やっぱり、銀髪がいけないの!? それともこの青い瞳?」


 天雲さんは自分の髪を触りながらオドオドとしていた。

 なんで彼女はすぐにそこに結論を持っていくのか。


「違うから。いったんそこに結論を持っていくのやめよ」


「だ、だって……」


「ハッキリ言うけど、俺は天雲さんのその瞳も髪もすごく綺麗だと思ってる。だから、安易に染めようとするのはやめてくれ」


「ほ、本当?」


「こんなことで嘘なんかつかない。本当だから安心してくれ」


「そ、そっか。えへへ」


 どうやら、機嫌を直してくれたみたいで良かった。

 にしても、やっかいなことになったな。

 詩織先輩でも手一杯だったのに、そこに天雲さんとユアまで加わるなんて。

 本当に俺の平穏な高校生活は前途多難である。


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