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英雄くんはおうちに帰りたい  作者: ホッシー@VTuber
第六章 逾槫ョちゃんは誰かに祈りたい
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第411話 移動

「とりあえず、会議の日程が決まり次第、連絡をする。宿とかこっちで手配しておいたからそれまでは自由に過ごしててくれ」

「あら、荷台の中は確認しなくていいの?」

「お前らなら大丈夫だろ。それに変な匂いもしねぇしな。その中、ほぼ空なんだろ?」


 そう言って荷台を見るガレス。彼の言うとおり、馬車の荷台はほぼノンとアレッサが休む場所としか使われておらず、積み荷すらありません。必要な物はノンのマジックバックへ放り込んでいるからです。


「……獣人の五感って誰でもあんなに鋭いの?」

「いや、そんなことはない。彼が特別なだけだ」


 荷台からそれなりに離れた場所から言い当てられたため、アレッサがジト目でグレイクに問いかけますが彼はどこか引いた様子で首を横に振りました。


「おっと、肝心なことを忘れてた。ノンには悪いがすぐにでも病院に行って検査をしてもらう。悪化しないように色々やってたみたいだが、目に見えないところで傷が広がってる可能性もあるからな」

「はい、わかりました。多分、そのままその病院に入院ですよね?」

「そうなるな。さすがに仲間全員を病院に泊めるわけにもいかないからお前だけ別行動になる。その点はわかってくれ」

「もちろん、問題ないですよ。ただ……」


 申し訳なさそうに説明するガレスにノンは笑顔で頷きます。しかし、問題は入院生活中、外套で姿を隠せないことでしょうか。ガレスの護衛ですら人間に対する不信感を隠しきれておらず、医者や看護師も例外とは言えません。もし、入院中に問題が起こる可能性もあるでしょう。


「あー……確かにな。よし、わかった。俺が先に病院に行っていい方法がないか確認してくる。手配した宿で待機しててくれ」

「あ、はい。よろしくお願いします」


 先ほどの護衛の様子を思い出して対策が必要だと思ったのでしょう。彼はノンたちに背中を向けて倉庫を出ていきました。護衛たちも一人を残してその後を追います。


「……では、皆様を宿へご案内します。馬車で移動していただきますので私の後について来てください」


 残された護衛はどこか緊張した顔でグレイクに話しかけ、倉庫に向かって歩き出しました。ノンたちも手早く準備を終え、馬車に乗って倉庫の外に出ます。


(護衛の人は馬で移動するんだ)


 馬車で移動することを考慮し、案内役の護衛は馬に騎乗して待っていました。外套があるからといって何かの拍子に人間組が街の人に見つかると大騒ぎになるからでしょう。


「では、ご案内します」


 馬車が倉庫から出てきたのを確認し、護衛は前に進み始めました。ガラガラと車輪が街路を転がる音を聞きながらゆっくりとノンたちは獣都を移動します。


(ブレゾニアに比べてると人は少ないけど活気は負けてないな)


 荷台から見える僅かな街の景色でもたくさんの獣人たちを見かけました。きっと、人間も獣人も少し生態が違うだけで基本的な部分は変わらないのでしょう。


「誘拐事件、解決できてよかったですね」

「……そうね」


 そんな彼らの暮らしを少しでも守ることができた。やっと、それを自覚したのでしょうか。ノンは無意識に言葉を零し、それを聞いていたアレッサも静かに頷きます。


 それからグレイクと護衛の獣人が今後の動きを話し合う程度の会話しかなく、ほぼ無言の移動となりました。


「こちらです。先ほど、話した通り、獣王様が戻ってくるまでノン様とアレッサ様は荷台で待機していただけますでしょうか?」

「ええ、わかったわ」

「グレイクさんたちの荷物、出しちゃいますね」


 そして、獣都を移動すること十数分後、ガレスが手配した宿に到着します。しかし、ノンは病院へ入院予定であり、あまり移動させるわけにもいかないため、荷台で待機。アレッサも付き添いとして残ることとなりました。


「じゃあ、手続きと荷物を置いたら戻ってくる」


 手早くマジックバックから彼らの荷物を取り出した後、グレイクたち獣人組は宿の中へと入ります。それを見送ったノンたちは適当な話をしながら時間を潰すことにしました。

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