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英雄くんはおうちに帰りたい  作者: ホッシー@VTuber
第六章 逾槫ョちゃんは誰かに祈りたい
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第402話 記録

 獣都ガレウスまでの長い道のり。怪我人であるノンや少し前まで骨折していたアレッサのために馬車での移動となりましたがそれでも進む速度は通常よりも遅くなり、獣都に到着するまで一か月ちょっとかかる予定です。現在、港町ダレッツを出発して二週間ほど経ったため、半分ほどまで進んだところ。アレッサの骨折が治ったため、これからはもう少し速度が上がるでしょう。


「……」


 ガタゴトと音を立てて進む馬車の中でノンはあれだけ注意されたのに懲りずに本――というには少し簡素的な資料を読んでいました。もちろん、アレッサに注意されないように彼女が仮眠を取っている隙を狙っての犯行なため、完全に悪いことだと自覚している証拠です。


「ノン、ほどほどにな」


 そんな彼の様子を御者台から見かけたのか、グレイクが少し呆れた様子で忠告しました。アレッサほど厳しくするつもりはないようですが釘だけは刺しておきたいようです。


「はーい」

「……気にしてるのか?」

「え?」


 グレイクに生返事をしたところ、主語が抜けた質問が飛んできました。質問の意図が読めず、彼は資料を閉じて御者台の方へ視線を向けます。


「それ、ケレスカ大陸へと上陸記録をまとめた資料だろ? あの領主の家族がこの大陸に連れて来られていないか調べている」

「……」


 彼の指摘にノンは何も言えませんでした。ナーティの領主、ブレッド・キャリル。闇ギルド所属の魔道具職人を名乗った男に騙され、数年に渡って獣人誘拐の片棒を担がされていた貴族です。


「結局、彼の家族の居場所はわからないまま。唯一、情報を持っていたバンデルにも逃げられた。だから、少しでも情報がないか探している。違うか?」

「……まぁ、そうですね」


 ブレッドの妻と娘は魔道具職人の手によって旅行だと騙してどこかへと連れ去られてしまいました。そして、バンデルは魔族でありながら自身を魔道具職人と称していたため、ブレッドを騙した張本人なのでしょう。


「だが、彼の家族がケレスカ大陸に連れて来られていたとしても誘拐事件と同様に秘密裏に運ばれただろう。上陸記録には載らないはずだ」

「それでも載っていないっていう情報は得られます。とりあえず、目を通すだけ通しておきたくて」


 魔族との戦争で海路を使えないのはあくまでハーニンド大陸のみ。他の大陸ではこれまで通りに海路を使用した貿易は行われています。だから、ダレッツの上陸記録は更新され続けており、その情報量は膨大でした。獣都へ向かう前にガレスに頼んで上陸記録のコピーを貰いましたが人の目で確認するにはそれなりに時間がかかるのも無理はありません。


 なお、当たり前ですが上陸記録は獣人語で書かれており、読み書きは一通りできるようになったとはいえ、読み慣れない言語のせいでなかなか進まないようです。


「夜ならオレも手伝える。一人で抱え込むな」

「……はい」


 そんな彼を見かねたのか、グレイクはため息交じりに協力すると言いましたがあまりノンの反応は良くありません。


 バンデルとの戦いでノンはガレスを庇い、早々に戦闘を離脱する羽目となりました。もし、彼も一緒に戦っていれば小柄な魔族が割って入る前にバンデルから何か情報を聞き出せたかもしれない。


「……」


 すでに終わってしまったことを気にしても仕方ありません。それはわかっているつもりですが自分にできることはやりたい。そう願ってしまうのも仕方ないことなのかもしれません。

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