第393話 連結
小規模な爆発の中でバンデルは痛みに耐えながら少しだけ拍子抜けしていました。アレッサがトドメを託した弓使いの獣人。スキル持ちのようですが、その攻撃力はアレッサやガレスに劣るため、魔族の頑丈さの前に手も足も出ないようでした。
だからこそ、どんな攻撃を仕掛けてくるかと身構えた結果、白い矢による爆発のみ。アレッサの言うとおり、体に蓄積したダメージに回復力が追い付かず、修復が間に合っていないものの、これだけなら耐えられる。
「ぎゃっ」
そう、考えた時、爆発の痛みの中に突如として鋭い針に刺されるような別の痛みが走ります。いえ、それだけではありません。何度も受けた雷撃、刃物で切られたような長い裂傷、右腕を覆う氷、左足を潰すほどの大きな岩、体の内側から焼かれるような不快な感覚。
「な、に!?」
そんな様々な痛みが一斉にバンデルを襲ったのです。そして、視界の端に針のような矢が爆発の中を飛び回り、頑丈なはずの彼の体を何度も貫通しているのが見えました。
「~~~~ッ!!」
マズイ。そう思い、何とか爆発の中から逃げようともがくバンデルですが、すでに翼は無数の矢に貫かれ、ボロボロ。腕を振って矢を防ごうとしてもその腕すら貫通してしまうため、意味がありません。そう、彼は完全に詰んでいたのです。
「……っ」
そんなバンデルの様子をグレイクは脂汗を流しながら見ていました。その顔は青ざめ、今にも倒れそうなほど体力を消耗しています。
連結。スキル『弓矢作成』の応用の一つであり、彼にとってここぞというところ――いえ、最期の手段として用いる切り札でした。
その力はスキルの連結。つまり、一本の矢に複数の強化を合成するというもの。その連結させた強化の数が増えれば増えるほど消費する魔力は増え、足りなければ体力が削られる一か八かの一手です。
今回、白い矢に込めた強化は十。炎、水、風、土、闇の属性+分裂+貫通+爆発+反射+盾。
特に最後に付与した盾は矢が刺さった場所を中心に球状の盾を発生させる、あまり使わない強化でした。しかし、バンデルを倒すための工夫として必要であり、強引にねじ込んだ強化でもあります。
つまり、球状の盾の中で小規模な爆発が起こり、小さな矢が分裂。相手の体を貫通しながら何度も盾の中を反射し、五つの属性ダメージを与え続けるという恐ろしいものでした。もし、盾がなければ分裂した矢はあちこちに飛び回って継続ダメージを与えることはできなかったでしょう。
「ぐっ」
もちろん、その代償としてぐるりと世界が回り、フラフラし始めます。気づけば彼の鼻から血が溢れていました。
これがグレイクの作り出せる最大火力。使った後、倒れてしまうような意味のない切り札。それでも、自分が気絶したとしても仲間が何とかしてくれる。そう、信じて放ったトドメの一射でした。
「こ、んな……はずでは」
そして、霞む視界の中、小規模な爆発が消え、中から落ちてくるバンデルを見てニヤリと笑いました。彼は悔しげに言葉を漏らした後、気を失ったのです。
「はは……やった、ぞ」
これで少しは報いることができただろうか。そう考えながらグレイクは限界を超え、前のめりに倒れ、意識を手放しました。
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