表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
劣化コピーの召喚者ー追放から、積み重ねで最強になるー  作者: クロミ
第二章 最底辺からの出発

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/6

5

 エルディアに来て、三週間が過ぎていた。まだセナのランクはFのままだった。毎日依頼を受け、毎日傷を作った。


 ゴブリン退治


 薬草採取


 荷運び


 水路の清掃


 どれも地味な仕事ばかりだったが、不思議と嫌ではなかった。毎朝起きて、剣を振る。それから依頼へ行く。傷を負って帰って来て、訓練場でまた誰かの動きを見る。


 それを繰り返しているうちに、体が少しずつ変わっていった。最初は言うことを聞かなかった腕が、少しだけ滑らかに動く。踏み込みでふらつかなくなる。剣の重さにも慣れてきた。ほんの少し…でも確かに。




 ギルドの訓練場には、毎日違う冒険者が来ていた。セナはいつもの隅に座り、黙って観察する。


 剣士の重心移動


 魔法使いの詠唱


 エルフの弓兵の呼吸


 ドワーフの踏み込み


 セナの目には、それらがスキルとして映っていた。どこへ力を集めるのか、それをどこで解放するのか。それを何度も何度も見ているうちに、少しずつ輪郭が掴めてくる。


 コピーの精度は、まだ低い。


 火魔法は小さい。


 風魔法は弱い。


 剣術も不格好だ。


 それでも、昨日よりは今日の方がましだった。それだけで、十分だった。




 ある日の朝、掲示板の前でセナの足が止まった。



 『ガルド傭兵国家までの商隊護衛

 期間十日

 報酬:金貨五枚』



 金貨五枚…今まで稼いだ額を全部合わせても届かない。そろそろ最初に渡された金貨も、残りが少なくなってきた頃だ。


 依頼書の端には、危険度を示す星印が三つ並んでいた。Fランクは推奨外。つまり、死ぬ可能性が高い依頼ということだ。


「やめとけ」


 隣から声がした。そちらに目を向けると、顎に傷のある冒険者が依頼書を見上げている。


「ガルドへの街道は荒れてる。盗賊も魔物も増えてる」


「増えてる?」


「西側の国がいくつか落ちたらしい。深淵の王の軍勢にな」


 その名前を聞いた瞬間。


 アルバンの王の声が、ふと脳裏を掠めた。




『深淵の王は世界を滅ぼそうとしている、勇者が必要なのだ』




 だがその直後、自分は追放された。


 だからセナにとって「深淵の王」は、まだ現実味のない言葉だった。


 遠い場所の話。


 自分とは関係ない災厄。


 少なくとも、今までは。


「去年は護衛が半分死んだ」


 冒険者が続ける。


「新人が受ける依頼じゃない」


 セナは依頼書を見つめた。


 危険なのはわかる。


 でも金貨五枚は大きい。


 それに…少しだけ、外の世界を見てみたかった。


 セナは依頼書を剥がした。


「受けます」


 冒険者が何か言いかけて、やめた。


「……好きにしろ」



 受付へ向かう。


 ルナは依頼内容を見ると、一瞬だけ眉を動かした。


「本気ですか」


「はい」


「危険です」


「わかってます」


 ルナは少し黙った。何か言いたそうだったが結局、何も言わずに書類を書き始める。


「出発は明朝、南門です」


「ありがとうございます」


 セナが去ろうとしたとき。


 ルナが小さく言った。


「……生きて帰ってきてください」


 セナは少しだけ目を瞬かせた。そして、小さく頷いた。

お読みくださりありがとうございます!


「面白そう!」

「もっと読みたい!」

「応援してるよ!」


と少しでも思ってくれたら↓の★★★★★を押して応援していただけると嬉しいです!

ブックマークもお願いします!


あなたの応援が、更新の原動力になります!

よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ