魔王たちに責任を取らせる
更新遅くなってしまいすみません。
「もっとキビキビ動け。貴様らが撒いた種だろう?」
「そうですが…慈悲を…」
「黙れよ?元はと言えば貴様らの責任なのだ。きっちりやったことに対しての罰は受けてもらう」
次の日から早速俺は現魔王をこき使っていた。
「しかし、これは余りにも重労働ですよ。死んでしまいます」
「その時は遠慮なく死ぬがいい。お前らを蘇生させてまた更に働いてもらうだけだ」
魔王の泣き言にそう返す。
何度死んでもその度に蘇らせてやるつもりだ。少なくともこいつがやらかした分の責任を果たさせるまでは。
「ひぇぇぇぇ…血も涙もねぇ…」
「当たり前だ。俺というのは本来そういうものだからな」
こいつが想像していた俺がどんな存在なのかは知らんが本来の俺は血も涙もないような存在だ。だからこそ人間にも魔族にも恐れられこうして頂点にあり続けたのだから。
「今日は俺がいいと言うまで耕し続けろ?」
「…鬼だよあんた」
そんなことを言われてもメニューを変更するつもりは無い。
「シェル様何から何までありがとうございます。これで私たちのような一般市民も喜びます」
魔王やその周りで甘い汁を吸っていた貴族達を奴隷のように使っているとリオンが礼を言ってきた。
「気にするな。あれだけ好き勝手に荒らされては俺の許容範囲をぶち破ったということだ」
ほんとに俺の増やした魔族をなんだと思っているのか、勝手に減らそうとしたことが本当に気に食わないのだ。
「お前のやろうとした罪の重さをちゃんと理解しろ」
「理解していますから…許してくださいよ…」
ひぃひぃ言いながら頑張って耕しているが全く作業は進んでいない。
「喋る暇があるなら手を動かせ。口を動かしても作業は進まんぞ」
「…」
俺の言うことを理解したのか黙って手を動かし始める魔王だった。
「すご…あの魔王様が人に動かされてるなんて」
その様子を見ていたユリが目を丸くしていた。
そんなに意外なことなのだろうか。現魔王がこうやって誰かに使われているのが。
「そんなに意外か?」
「魔王様って1番偉い人だよ?それを動かしてるんだから意外というより普通はありえないことだもん」
「確かにそうではあるが一つ思い違いをしているな。1番偉いのはこの俺だ」
「それはそうだろうけど…」
何やら複雑そうな顔をしている彼女だった。
「私もこんな姿想像も出来ませんでした」
ミーナも話に混ざってくる。
「あんな風に道具を持って農地を耕す魔王様の姿なんて私も想像できませんでしたよ」
確かに、目の前では現魔王が道具をもって体を動かし農地を耕している。
あれを俺に置き変えれば実に想像がつかないが、彼女達の中ではそれくらいイメージが持てない事なのだろうか。そうすれば確かに理解できる話ではある。
「確かに、2人には想像も出来ないかもな」
しかし俺にしてみれば1番偉いのは俺だ。
そしてあそこにいるのは俺ではないから別に意外感というものはない。
だってしょせんは俺が俺より下の奴を使っているだけなのだから。
「俺に使われるのは全ての生命にとって至上の幸福だろう。それをあいつらは今全身で感じているはずだ」
「よく分かりませんが私のシェル様は凄いということですね」
リアがいつもの調子で正しいことを言っている。
「そうだ。俺が偉大で俺が最強ということだ」
つまりあいつを含め他の奴は俺に使われるために存在しているという事だ。
「流石シェルだな」
俺の偉大さをアニーも理解しているようでそんな事を口にする。
「アニーそういえば、詳しい話を聞かせてくれるか?」
聞き忘れていた話を今聞くことにする。
あの馬鹿な魔王が俺を裏切るつもりになった切っ掛け、それと俺の魔王軍を切り捨てようと思った切っ掛けについて聞こうと思った。
両方彼女に聞いておくように頼んでおいたのだ。
「いいよ」
そう答えた彼女に続きを話すように促した。
「あの魔王が言うには初めは出来心だったそうだ」
「ほう。そうなのだな」
出来事で俺を裏切り魔王軍までにも手を出したとなれば巫山戯るのも大概にしろと言いたいところでもあるが。
「あの魔王はシェルの事が羨ましかったらしい」
「俺が羨ましい?」
「あぁ。あいつは誰よりも強くて何があっても負けなくてどんな困難にだって立ち向かって無傷で帰る。そして誰にも好かれてどんな奴だって救い、敬われる。そんなシェルに憧れていたらしい。それこそ自分が入れ替わってでもそうなりたい程に憧れていたみたいだ」
俺の代わりに魔王になったところで俺になれる訳もないのにな。ご苦労な事だ。
「それで?俺を殺すべく人間達と協力したとでも言うのか?中々ギャグのセンスを持ち合わせているなあいつも」
それこそ俺を殺したところであいつが俺になれる訳もないというのに。
俺はそう思ったがアニーは首を縦に振った。
「俺に出来るのは魔王の座に座ることだけだったとそう言っていたよ。そして人間と手を組みシェルを殺しやすいように裏で手を回していた」
その結果が何百年も前の俺の追放に繋がるということか。
まったく、迷惑な話だ。あいつのつまらない願いのせいで俺があんなところに追放されてしまうなどというのは。
「だいたい理解した。それに俺がずっと疑問に思っていたことでもあるのだそれについては。俺に比べれば雑魚ではあるが、壁役くらいは果たせるくらいの奴らを王城の警備をさせていたはずなのに、人間どもは一直線に俺の元まで来たからな。それこそ邪魔などなかったかのように」
俺も奴に聞いた話ではあるがこれは本当のことらしいな。
「シェル、村人達の治療の方も結構終わりましたよー」
そうして報告を聞いていた時だった。お使いに出していたエルとリルが戻ってきて俺に声をかけてきた。
2人には俺の開発した薬を持たせて、それで汚染された土地で育った食べ物を口にした事により発症した村人の咳を治させていた。
「ご苦労。いい働きだな」
「もっと褒めてー」
頭をスリスリと俺に擦りつけてくるリルの頭を撫でる。
「いい子だな」
「うん。リルいい子」
柔らかい笑みを浮かべる彼女だった。
「お腹減ったー」
「そうだな。働いたリルにはそろそろご馳走を食べさせてやらなくてはな」
そう口にして魔王と貴族を近くまで呼び付けた。
「おい、食事の準備をしろ」
「どのようにすれば?」
「貴様らの私財を使って用意せよ。内容は問わん」
そう告げると顔を真っ青にした連中だったが渋々頷いて準備をしに向かう。
それを満足気な目で見る俺達だった。
ざまぁないというやつだ。
「アニー、続きはまた後で聞かせてくれ」
「うん」
新作を書いています。
もう少しで投稿できると思いますのでよろしければそちらも読んでいただけると嬉しいです。




