↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

55/59

やはり魔王軍は俺が支配するしかないらしい


「ったく…力のないやつほど心配したがる」


バルコニーから飛び降りて空を飛び回りながら地上に…家の庭に無事に無傷で降り立つ。


「それ、私たちに言ってるんですか?」


誰も聞いていないと思ってあの魔王の心配症について口を開いて一言呟いたのが失敗だった。しかしそれを聞いていた者がいたらしい。

顔を上げると涙を流しながらミーナが笑っていた。文字通り涙を流しながら笑っていたので訳が分からなかった。


「いや、違うこっちの話だ」


しかし弁明はしておこう。今の一言は決してお前たちに向けて言ったわけではないのだと。


「そうなんですね。でも私たちは心配しましたよ?」


その腕を振り上げるミーナ。

こいつには珍しい仕草だから余計に怒らせてしまったのだと実感できるというものだった。


「落ち着け。落ち着こうな。俺は帰ってきただろう。それは変わらない事実だろう?」


出来れば許してほしいからそうやって無駄かもしれないが穏便に事を運ぼうとした。

しかし現実はうまくいかないみたいだった。


「そういう問題ではありませんよ!バカー!」


腕を振り上げて追いかけてくる。

仕方なく彼女が落ち着くまで逃げようと思い後ろを見たら


「逃がしませんから」


「そうだ」


ノイとアニーがそこに立っていて俺を捕まえた。




あれから俺は皆に話して出ていかなかったことを説教されていた。

きちんと出ていくことに関しては話したと思っていたが出ていく直前に言ってほしかったらしい。それに関しては俺は言えていなかったから確かに反省すべきところだろう。


「反省しましたか?」

「しましたか?」


リオンとシオンにもそんなことを言われる始末だった。

そうだな。そこまで言われては俺には返すべき言葉がない。


「あぁ。したよ」


「それで、どうなったの?結果は」


「それなんだがな」


会話に混ざってきたユリ。その彼女の質問に答える。


「魔王は反省していた。これからはマシになるだろう。それにこれからは俺が実質的に魔王軍を支配することになった。ここまで落ちぶれてしまっているのではあいつに任せなどいられないのでな」


俺がまた魔王になるのでは周囲が混乱するだろうしそういうことも考えた上での判断だ。


「表向きは今の魔王様が引き続き頂点に立ちますけど、裏からシェルが手引きするってことですか?」


ミーナの質問にただ頷いて答える。

俺の話していることの全部をよく理解してくれているみたいだ。


「そうだ。そういう感じだな。俺が裏からあいつを操ってこの魔王軍を支配する。これから何をすべきか何をしたらいいか。何をするか。全部あいつに教えてその通りに動かせる」


そこまで動かすから実質俺が魔王になったのと何ら変わらないわけだ。

だからこそ魔王軍がどうなるかもはっきりと分かるし、俺が統治するのだからいい方向に向かうのは決まっている。

うむ。未来は明るいという話だ。


「具体的には?」


アグニエルがそう質問してきた。そこは気になる所かもしれないな。


「先ずは当たり前の話だが奴らが穢してきた土地の浄化。それからあの病は…あれは俺が治そう。あいつらに手をつけられるものでは無い。治し方は俺が考えておく」


闇玉によって穢された農地に育てられた作物。そんなものを食べていては体に害があるのは考えなくても分かる話だ。

そしてそんなものを平民は食べ続けていたらしい。そしてそんなものに穢された体をあの無能に何とか出来るとは思えない。

しかし土地に関しては他の方法で何とかなるはずだ。俺が指示を出しあいつに尻拭いをさせる。


「じゃあ、私たちみたいに咳に苦しんでいた人達が助かるってことですか?」


俺の両手を取ってそう聞いてきたリオン。その彼女の言葉に頷く。


「あぁ。もう苦しむことは無いし誰かを苦しませるつもりは無い」


俺が全員いい方向に導いていくつもりだ。誰も苦しまない世界を。

そしてもう一度人間共に分からせるのだ。誰がこの世の頂点に在るべき存在なのかを。


「ふはははははは」


そう考えると自然に笑いが口から出てくるものだ。


「シェル様の悪そうな笑い声もすごく似合いますよね」


リアがそう言って笑う。それ程までに俺の笑いというのは似合うものらしいな。


「今まであの咳に苦しまされてきたのが嘘みたいです。ほんとにありがとうございますシェル様」


リオンがもう一度笑顔でお礼を言ってきた。何度も聞いてきたが何度言われても嬉しいものだな。

人助けなんてことは殆どしてきたことがなかったがこんなにも喜ばれるのなら悪くないことだと理解する。


「別に礼なんていらんよ。俺はただ俺のやりたいようにやるだけだし。それにお前達の喜びは俺の喜びとなりつつある」


こいつらが喜ぶのならそれでいいということなのだ。


「さて、今日はもう遅い。明日に備えて寝かせてくれるか?」


明日からはあの無能な魔王に色々と指示をしながら魔王軍の復興を目指さなくてはならない。そのために今日は早めに眠りたいところだ。


「そうだね。私もシェルの事待ってて、すっごく眠たいしいい考えだね」


そう俺の提案に乗ってきたユリ。


「私も、もう眠い…」


リルも眠そうに目を擦り始めている。無理をさせてしまったかもな。


「今日は存分に休んでくれ。明日からまた忙しくなるから頑張ってくれ」






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。