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太陽の位置を動かそうとしたら怒られたので、もう一つ作ることにした

リルに花を育てる場所へ案内してもらった。


「ここで育てたいの」


そうして案内されたのはユリ達の家の裏側だった。こっちには来たことがないがこんな所あったんだな。

そしてそこには花壇があった。しかし何も育てられてはいない。使っていないようだ。


「なるほどな。土の状態が悪いというのはこういうことか」


隣でアニーが呟いた。俺は詳しいことは分からないがそんな俺から見ても確かに悪そうだった。


「ここ日当たりが悪いんだよね」


「確かに悪そうだな」


ユリの言葉に頷く。ここは家が邪魔をして日当たりが悪いのだ。良くない。だからだろう。こうして土が多くの水分を含んでいるのは。不衛生とまではいかないだろうが、それでもやはりジメッとしているような見た目だ。


「お日様が見てくれないとお花さんが可哀想だってお姉ちゃんが言ったからどうにかしてあげたいんだよね」


「確かにそうかもしれないな。お花さんだってお日様見たいかもしれないしな。よし、ならばお日様の動きを変えようか。丁度ここに日が当たるようにな」


そう言って手を振りあげようとした時。


「馬鹿ですか!あなたは!」


「馬鹿とは何だ」


全力で止めに来るアグニエル。


「俺は心優しいからお花さんにも慈悲の心をだな」


「お日様の動きを変えてしまえばどうなるか分からないんですか?!」


血相を変えてお日様を指さしてそう言ってくるアグニエル。


「いや、知らん。でもお花さんが可哀想だろ?」


「そうだよ。お花さんが可哀想だよ」


リルもそう言っている。これはやはり軌道を変えてしまう以外に選択肢はないだろう。


「というより軌道を変えるって…そんなこと出来るの?」


アグニエルの質問に答える。俺に出来ないことはない。


「見ていろ」


そう言って少しずつ力を込めるとお日様の位置がほんの少しずつだがズレ始める。


「ストップ!ストップ!それ以上はダメだから!」


「何故だ」


必死に止めてくるので一応これ以上は辞めておく。


「バカなのか?!シェルは?!」


「バカはお前だ何を騒いでいる」


「お花さんのためだけに動かしたら世界にどんな影響が出るのか考えているの?」


「考えるわけないだろう」


俺がそんな些細なこと考えるわけがない。


「…いいからとりあえずあれを動かすのはやめて欲しい。世界がおかしくなってしまうから」


「分かったよ」


そう言われたので頭上のあれを元の位置に戻した。


「…シェル様はあんなことも出来るんですね」


唯一俺たちの会話を見てニッコリと笑うリア。


「流石は私をあの薄暗い地下牢から連れ出してくれた…私だけのお日様です」


「あれを砕くことも出来るぞ?」


ふっと不敵に笑ったらユリに頭を叩かれた。


「そんなことしたらみんな寒くて死んじゃうから絶対しないでよね?」


「分かったよ」


そんなに大変なことになるなら辞めておこうか。


「しかし、あれの動きも変えられないとなるとどうするか。場所を変えるくらいしかないが」


「んー…ここ以外はないんだよね。表は使えないしこっちの裏じゃないと」


ユリにそう言われてそう言われてしょんぼりするリル。


「まぁ、そうしょんぼりするなよ。リル」


リルの体を右手で抱き寄せる。


「俺に不可能はない。まだ諦めるのは早いぞ?」


「どうするの?」


泣きそうな目で俺を見上げてくるリル。


「簡単な話だ。お日様が1つじゃないといけないなんて決まりはないわけだ」


手を天に向けて突き上げると魔力を飛ばす。

頭上のそれに魔力を浸透させてその中身を粗方調べあげる。


「大体、理解した」


「一体何をするつもりなんですか?」


ノイがそう聞いてきた。


「決まっているだろ?ここにあれを再現する」


「そんな無茶な…」


ノイはそう言っているがアグニエルは逆にまた俺を止めてくる。


「あれをここに?2つも作れば…」


「その辺は考えている、いいから黙っていろ」


あれだけ遠くにあっても俺たちに熱さや光を伝えてくる物体だ。それをそのままここに再現すれば俺や魔法を使ったユリ達は問題ないが他の生命が死滅する恐れがある。


「一体…どうするつもりなの?」


「あれをそのままではなくよりコンパクトなサイズのあれを作り上げるだけだ」


そう言って翳していた手を前に突き出すと魔法を発動させた。


「出来たな」


すると一瞬でそこにはお日様が浮かび上がっていた。

俺たちよりは少し上に位置しているそれは光と熱を確かに伝えてくる。

薄暗かったこの裏側のスペースもそれでかなり明るくなった。


「まさか…あれを創造したのか?」


「別に難しいことではない」


驚いているアニーの顔を見るが、別に驚いていたのはアニーだけではなかった。


「お兄ちゃんお日様を作ったの?」


リルが質問してきたので頷く。


「俺が作ったものだ。間違っても壊すなよ?また作り直すのも面倒だからな」


「こんなのどうやったんですか…?いくら…オリジナルよりは弱いとはいえ、こんなもの再現した人なんて過去に絶対にいませんよ…」


ミーナも俺を驚きの目で見てきているが。


「いや、それは別に必要なかったから、だろ?こんなこと誰でも出来ると思う」


「もう言葉が出ないよシェルの行動には…」


いい意味で呆れたように苦笑いを浮かべているユリ。


「まさか…太陽を作り出すなんて…常識が覆りますよ…これは」


賢そうなエルもそう言っている。どうやら未だに誰もなし得なかったことをしてしまったらしい。


「よく分かりませんが…私のシェル様はいつも素晴らしいということですね」


そう言って俺の左腕に抱きついてきたリア。


「俺もよく分からないがそういうことだな」


俺が凄いというのは、いくら俺でも変えられない事実だ。故にそういう事になるのも仕方ないことだ。


「ということだ。後はリル達で好きにするといい」


そう言って部屋に戻ろうとした俺の手を掴むエル。


「あの、あれずっと出てたら逆に枯れるかもしれないのですが…」


言いにくそうにあの小さな太陽を指さしながらそう零す彼女。


「そんなことか。あれは時がくれば自動で消えるようになっている。そう気にするものでもないだろう」


「…そんなことも出来るんですか?」


「何でもできる。他に何かあれば声をかけてくれ」


今現状特に必要そうなこともないし今度こそ俺は部屋に戻ろうとしたのだが。


「ちょっと待ってシェル」


「何だ?」


その選択は伸ばされたユリの手によって阻まれた。


「何だ、じゃなくて。ちょっと試してみたいことがあるの。来てくれない?」


何を試したいのかは分からない。が何故か嬉しそうな顔をしているユリを見るとそんな些事はどうでもよくなった。


「いいだろう。行くから案内するといい」


「うん。ありがとう、こっち」


そう言うと歩き出したユリの後について行くことにした。

リル達は昨日買ってきたらしい花を植えていたのでミーナも呼んで3人で行くことにした。

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