今日も狩りをしたがすぐ終わったからリルたちと花を育てることにした
夕食を食べて眠った俺たちは日が変わった今日も今日で金を稼いでいた。
このペースだと村を出て貴族になれるのもそう遠くはないことだろう。
いよいよ現実味を帯びてきた話だ。
「シェル強すぎて私たち…何にもできない…」
俺が全部やってしまうから何もやることがないのかしょんぼりと肩を落とすユリ。
別にそんなこと気にしなくても構わないのだが。
「気にするなよ。それとも俺の役に立ちたいのか?」
コクっと俺の言葉に頷くユリ。
「それは…まぁ。役に立ちたいって思ってるよ」
「まさか、そう言われるとは思っていなかったな」
俺としてはユリ達にまで戦わせることにはあまりしたくないというところではあるが。
「しかしそうだな。ユリが望むというのであれば次は任せてみてもいいかもしれないな」
「いいの?」
パァッと笑顔をうかべる彼女。
そうだな。ずっと俺ばかりこうして動いていればユリ達もつまらないだろうし。
「あぁ。勿論俺は傍で見ているし存分に暴れるがいい」
それで好き勝手させて怪我されれば困るから勿論俺は傍にいようと考えているが。
「暴れはしないけど…ありがとう。役に立てるように頑張る」
「まぁ、適度に頑張ってくれ」
手を伸ばしてユリの頭を撫でる。
そうすると気持ちよさそうに目を閉じるユリ。
「シェル」
しかしそうしていると不満そうな顔でミーナが声をかけてきた。
「何?」
「私は撫でてくれないのですか?」
「これでいいか?」
空いている方の手を伸ばしてミーナの頭を撫でるとこちらも顔を綻ばせた。
「何だかこうされると安心しますね」
「そうだよね」
姉妹2人でそんなことを話している。そんなこと言われると俺の中の心が高ぶってくるものだ。
「俺のカリスマというやつだろう。全く罪深いものだ」
「ほんと罪深いよシェルは」
そう言って俺の目を見てくるユリ。
「…私の全部持っていったの責任取ってよね」
「うぉ…」
「ちょっとシェル?!」
「シェル、どうしたんですか?!」
ユリとミーナの叫び声にも似た声を聞きながら俺の意識は彼方へと吹っ飛んだのだった。
暫くしてから俺の意識が闇の中から帰ってきた。
初めに映った景色は青空などの空ではなくただの室内の天井だった。
「大丈夫ですか?」
真っ先に飛び込んできたのはミーナの顔だった。
何故俺はここにいるのだろう。それでも俺には断言できることはあるものだ。ミーナの質問に答えることにする。
「問題ない。俺は何度でも蘇る」
「まるで死んでたみたいな言い方ね…でも何ともなさそうで安心した」
今度はミーナの横から顔を出したユリが目元を赤くした顔でそう言ってきた。
「泣いていたのか?」
「泣いてなんてないから…心配させないでよ…馬鹿」
「俺のために泣いてくれるなら何度でも心配させてやろう」
「シェルはやはり中々の畜生だな」
アニーが苦笑しながらそう口にしている。
「褒め言葉か?俺は性格が悪いからその手の言葉は褒め言葉にしかならん」
不敵に笑う。俺にその言葉は罵りでもなんでもなく褒め言葉にしかならないのだから。
むしろ性格が悪いことを俺は嬉しく思っている。
「お兄ちゃん起きたの?」
その時扉を開きながら部屋の中に入ってくるリルの姿が見えた。
「あぁ、起きたところだ」
「起きた所じゃなくて私たちに何か言うことあるんじゃないの?倒れたシェルを運んできたの私たちだよ」
人差し指を立てて俺にそう聞いてくるユリ。確かに俺はお前達に言わなくてはならないことがあるな。
「ご苦労だったな」
それなら確かに俺は彼女たちに言うべきことがあったな。
「すっごい上から目線…」
「でもシェルらしくていいと思いますよ」
そう言ってくれるのはミーナ。どうやら俺のことを理解し始めているらしい。
「たしかに」
それを聞いてクスッと笑うユリ。
「ちゃんとシェルが帰ってきてくれたって感じがするよね」
そう言って俺を見て微笑む彼女。
「俺は何があっても帰ってくる。まぁその点は安心しておけ」
そう言いながら寝かされていたベッドから立ち上がる。
するとエルとリルが俺のそばによってきた。
「あのね、お兄ちゃん。体は大丈夫?」
「あぁ、問題ない」
「あのね。あのね」
何やらもじもじしているリル。
何か言いにくいことでもあるのだろうか。それならばここは優しく聞いてみるべきだな。
「何だ?言いたいことがあるなら言ってみるがいい」
「その…お花育てたい」
「お、お花?」
一瞬面食らった。お花…を育てるのか?
「だめ…かな?」
「ダメも何もなんで俺に聞くんだ。何処で育てるのか知らないがこの周りの予定なら、ユリやミーナに聞くべきだろ。本来魔族の所有している領域は俺の土地だが、それでも今この辺りはユリ達のものだ」
「それがですね…」
エルが代わりに説明し始めるようだ。
「ユリ達とは相談して返事を頂けたんですが土の状態が悪いのか…上手く育たないかもしれないと言われたので」
「それでシェルに何とかしてもらおうかなって思ってて」
エルの言葉に続いて口を開いたユリ。
「そういうことか。ユリ達がいいなら問題ないが」
そう答えるとリルの顔がパァッと輝いた。
「ありがとうお兄ちゃん」
「別に構わん。リルの喜びは俺の喜びでもあるからな。それより何処にお花を育てるつもりなのだ?」
「こっち」
嬉しそうに俺の右手を掴むとそのまま俺を連れていく彼女。
それに黙って従う。




