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常識を覆してレベル100になった

昨夜は中々眠れなかったがそれでも何とか起きたのだが、ユリが怒っていた。


「何を怒っている」


「別に怒ってないもーん」


「そう怒っていては体に悪いぞ?」


アニーの一言。やはり俺の勘違いではなく他の人から見ても怒っているように見えるそうだ。


「だから怒ってないって。それにアニーまで何を言い出すのよ」


「アニーにもお前が怒っているように見えるという事だ」


頷くアニー。


「…別に怒ってないもん…」


「それより首に赤みがあるが何だそれは」


アニーに言われて気付いた。確かにその首には赤い点が見える。


「虫にでも刺されたか?俺のユリを噛むとは許せんが」


「俺のユリ?」


「俺のユリだ。まぁ、なんて包容力、シェル様最高です。一生首を舐めたいですとか言ってみるがいい」


「言わないわよ」


「何故だ…」


「恥ずかしいから」


「恥ずかしくなければ言うのか?」


「恥ずかしくても言わないから」


「そうか」


「それよりこれ責任取ってよ…」


「何の責任だ」


「この首の赤い点…シェルのせいだから」


恥ずかしげに言ってくるが俺はあんな点知らない。身に覚えはない。


「俺の?」


「覚えてないの?」


顔を赤くするユリ。


「昨日寝てる時に寝返りうって抱きついてきたの覚えてないの?」


「覚えてない。そうか。ユリは寝ていても俺を求めてしまうのか…」


「逆だから。シェルが私を求めてきたの」


熱心にそう言ってくる。


「ま、どちらでも良いが、俺が抱きついて何故そうなる」


「シェルが私の首に…唇付けてきたから」


「え?」


「チューチュー吸って…それでこうなった」


恥ずかしそうに顔を俯ける彼女。


「俺は…お前を選んでしまったというわけか…事故ではあるが仕方ないな。今夜寝る時に他の奴らにもキスをしよう」


俺としたことがユリだけにキスしてしまったらしい。


「…事故ならいいんじゃない?私も…気にしてないから」


「お前の優しさに俺は感謝するとしよう」


「…でもその赤い点私にもあるんだけど」


後からそう口にしたアニー。


「?」


「朝起きたら脇腹がちょっと赤くなってた」


「脇腹?何してるの?シェル?」


ユリの背後で炎が吹き上がっている気がする。


「誤解だ。事故だ。俺のような聖人がそんなことするわけない」


「懺悔はあとで聞くことにする」


そう言って優しく微笑むユリ。





「…おい…大丈夫か?」


「問題ない…」


試験会場にやってきたら試験管にそう声をかけられたので答えておく。


「やばそうなら辞めてもいいからな」


「気にするな。顔の傷は勲章だ」


「よく分からんが…まぁいい。それよりアグニエル様。ようこそ」


「あぁ。久しぶりだな」


2人は面識があるのか色々と会話を続ける。

まだ時間はあるから別に構わないが。

そうして会話を続けた後男が驚いたような声を出した。


「この人を飛び級…ですか?」


「どうだ?腕は保証する」


「レベルによりますが…」


「999は可能か?」


「2の次に999は不正を疑われますよ…しかも全属性じゃ…。いいとこ50かそこらが限界ですね」


「それでどうだ?」


アグニエルが俺に聞いてきたので口を開く。


「あぁ、それで構わんぞ」


「なら50用の試験に変更させます」


そう言って人を呼びつけ指示を出している。


「あっちに移動してくれますか?」


「分かった」


アグニエルと共に移動すると担当者に声をかけられた。


「カードの提示をお願いします」


そう言われて渡したら怪訝な顔をされた。


「2から50へ…?」


「何かおかしいのか?」


ざわめき出す試験会場。

全員かなり大きな声で話していた。


「2から50ってどうなってんだ?」


「1から10の間って原則一つずつ上げるしかないよね?」


「いくらアグニエル様の言葉があっても無理だろ…」


そういうことか。俺が前例をひっくり返したからということか。

視線を戻すと二人が会話していた。


「異例ですね…これは…」


「シェルなら何が来ても成功させる。安心してくれ」


「随分信頼されてるそうですねアグニエル様」


「私の愛弟子だからだ」


ややこしくならないようにそういう設定にしてあるのだが思わぬ所で生きたな。


「でもどうしてレベル2を?」


「私の大事な人に似ていたからつい構ってしまった」


「分かりました。それでも贔屓は出来ませんので落ちたとしても文句はなしでお願いしますね」


「落ちることは無い。だから大丈夫だ」


「アグニエル様がそこまで言うんですね…君、こちらへ」


そうして案内されたのは闘技場のような場所。


「次々と湧いてくるモンスターを倒してください50匹居ます」


「待つの面倒だから最初から50出しといてくれ」


最初にそう言うと驚く担当者。


「いいんですか?」


「出しておいてくれ」


そう言ってから中へと入る。

同時に対面のゲートからもゴブリン達が中へ入ってきた。

数えてはいないが50いるだろう。

それを即座に氷漬けにしたあと粉々に砕く。


「ば、馬鹿な…あの一瞬で?…それよりあそこまでの魔法を無詠唱で…」


「化け物だろ…」


観客席からはそう声が聞こえる。もう終わったのでこの場を後にしようとしたとき、後ろからケルベロスが走ってくるのを感じた。


「に、兄ちゃん!後ろ!」


「想定外の大型モンスターが侵入しました!早く避難を!」


その声に反応することなく雷撃を操り敵の全身を貫き体を炎で焼き尽くす。

そうすると会場に静寂が舞い降りた。

それを破ったのは誰かの声。


「ケルベロスを…一瞬で…」


後ろを振り向かなくても分かる。ケルベロスが 1匹灰になっていた。

そのまま試験管に話しかける。


「結果は聞かなくても分かるが一応聞いておく」


「合格に決まっている。…それとレベルを100にしておきます。ケルベロスを倒せるならそれだけはあるので」


目を見開いた男は何とかといった感じで俺にそう言ってきた。


「ご苦労」


カードを受け取るとアグニエルの元へ戻る。


「あの男何者なんだ…」


「たしか全属性よね?ありえなく無い?」


その途中でそんな声が聞こえてきた。


「お疲れ様シェル」


「ついでに100にしてもらえた」


受け取ったカードを見せる。


「いいね。100を超えればあとは数をこなせば勝手に上がるよ」


「そうなのだな」


「ギルドはポイント制度というのを導入していて何かの依頼を受けたりするとそれに対してのポイントを付与しているんだ。100以降は試験ではなくそれで上がるんだよ」


「そうなんだ。なら俺がここに来ることはもうないということか」


「そうだね。基本は終わったという訳だね」


「じゃ戻ろうか。皆待ってるし」


頷くアグニエルを連れて戻る。

後ろから聞こえる嫉妬の声が気持ちよかった。





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