新たな依頼を受けた
無事に依頼を終わらせた俺たちはハリバンに連絡してその迎えを待っていた。
「こ、これはアグニエル様…」
迎えに来たハリバンが地に膝を付けている。
「よしてくれ。私はもう四天王ではない」
「しかし…それよりどうしてシェルと一緒に?」
「私が加入したからだ」
「お前…洗脳の黒魔法でも使ったのか?」
凄い形相で俺を見るハリバン。
「誰がそんなもん使うんだよ…」
「しかし…でなければアグニエル様がお前のパーティに入る意味が無い」
「最強の魔王様に近付くためにはシェルの近くにいるのが1番手早いかと思っただけだ。何故かシェルの近くに現れるみたいだし」
俺が最強の魔王だと言ったところで誰も信じないから彼女には別人だということにしておいてくれと頼んである。
「そういえば昨日も現れたらしいな。シェルにあの方は惹かれているのだろうか?」
「そうだろうな。俺のカリスマは常人には真似出来ないものがある。それが伝わっているのだろう。罪深い男だな俺は。今回もアグニエルを仲間にしてしまったのは俺のカリスマだろう」
「まぁいい。村に戻るんだろう?」
「そうだな。依頼はもう終わったことだしな」
「その前に…」
アグニエルが何処からか皮袋を取り出した。
「これを。今回の報酬」
それを俺に渡してきた。
「アグニエル様…介護しちゃだめですよ」
お前もそれを言うのかハリバン。
「介護ではない。これはきちんとシェルの働き分だ」
「そうだ。俺も働いている」
「しかし、全属性のお前がなぁ…」
「全属性だろうと一定以上は戦えるものだ」
「つってもお前底辺じゃねぇか…レベル2だろたしか」
「上げようにも上がらないのだレベルが」
「レベル2だと何言っても信用されないぞ?」
「だからお前達が依頼を受けさせないからレベルが上がらないのだ」
「全属性に受けて欲しいって依頼は少ないからな…それどころか条件に全属性以外を付けている依頼が多いんだよ。上に行けば行くほどその傾向は強くなる」
「じゃあどうしろって言うんだよ」
「足を洗え」
「話にならん」
とりあえず皮袋をミーナに渡す。俺が今必要なものでもないし管理するのは面倒だ。
「とりあえず戻ろうぜ」
「そうだな。後で話は聞こう」
ここに用はもうないのだ。あの村に戻ろう。
「とりあえずこれ受けさせろ」
「文字が読めないのかお前はレベルも足りないし全属性は受注するなって書いてんだろ」
「やかましい。俺が受けさせろと言っているのだから受けさせろ」
「出禁にするぞお前」
「それだけは辞めてくれ」
出禁にされたら俺はどこに行けばいいのだ。
「シェル私が受けよう」
ハリバンと話をしていたら見かねたのかアグニエルがそう名乗り出てくれた。
「私が付いているならシェルも受けられるだろう?」
「確かに受けられますが…介護は辞めて欲しいんだがな…それに介護で溜めるポイントは微々たるものだぞ?」
「介護介護言うな」
カウンターに乗り出して言い返す。
「どう見ても介護だろうがお前アグニエル様のレベル知ってんのか?」
「知るわけねぇだろハゲ」
「俺の頭の事言ってんのか?」
ピクっと眉が動く。
「当たり前だハゲ」
「出禁にするぞお前」
「辞めてくれ」
「そうやって大人しくしてりゃまだまだ可愛げがあるガキなのにな」
「…」
「店主。これで構わないか?」
そう言ってアグニエルはカードと依頼を渡した。
「構わないですよ。おい全属性このカードを見てみろ」
そう言って俺に彼女のカードを渡してきた。
「…レベル999?!」
「それ見て介護だと思わないやつなんていないぞ…」
額に手を当てて首を左右に振る店主。
「レベル999の隣にレベル2の全属性のお前がいて、あ、普通のパーティなんだとは思われないし、誰もが介護だと思うぞ」
「アグニエル俺のカードと交換してくれ」
「いや、それはダメでしょ…」
「そうだ。不正はやめろ。と言うより俺の前でその不正をやろうとするな」
そう言ってからハリバンはユリ達を見回す。
「未だにレベル2なのお前だけだぞ」
嘘つけと思いながらユリ達の顔を見る。
「そんな訳ないだろ、な?そうだよな?」
「…う、うん。そうだよ私もレベル2」
「ほらユリもそう言っている」
「嬢ちゃん…嘘はこいつのためにはならんぞ…」
「…とりあえずお前のカード見せてみろユリ」
「あ、だめだって…」
カードを入れている場所に手を入れて抜き出す。
「レベル20?おいハゲ0が1つ多いぞ」
「いや、それであっている」
「は?」
言っている意味が分からなかった。
「そもそも嬢ちゃんは登録したのがお前より早いしより多く経験詰んでるんだしそんなものだ」
「それでもこんなに上がるものなのか?」
「お前が上がらなさすぎなんだよ」
呆れたように目を閉じるハリバン。
「おのれ…」
「全属性で登録した過去のお前を恨むことだ」
「しかし俺は嘘をつけない。何度でも全属性で登録してやろう」
「その気概は認めるがたまには偽ることも大事だと思うぜ」
「それもそうだな」
俺が迂闊でなければ今頃レベル999だったはずだ。
それを考えれば間抜けな選択をしてしまった事になる。
「認めよう。俺が馬鹿だった」
「…そう素直に認められると困るな」
「俺は認める時は認める男だ」
「それよりこれでいいのか?」
今まで見ていたアグニエルが俺に依頼を渡してきた。
「アグニエル様…」
「私がいいと言っているのだ。問題は無いだろう」
「それはそうですけど。甘やかすのも…」
「なら問題ないな。シェル行こう」
「同行していいですか?」
そう尋ねてくる店主。
「シェルどうする?」
「別に構わない」
俺がアグニエルよりも立場が上なことに驚いているらしい。
「お前に決定権があるんだな。まぁいい。お前の力は直接見たかったというのはある。試験の成績は優秀だったしな」
「刮目せよ」
「分かった」
「なら同行を許す」
ユリ達にはここで待機しているように言い渡した俺はハリバンとアグニエルを連れて依頼にある場所へと移動することにした。




