ノイと過ごす夜
作戦終わりもう夜も開けそうな時間だったがそれでも少し休むことにした。
ノイの膝に頭を載せる。
「良いもの見せてもらいました」
「俺の方が良いもん見せてもらったよ。よくあの場面で裏切らなかったな」
「私は何があっても裏切りたくなかったので。裏切られる辛さは分かっているつもりなので」
「いい心がけだな」
「それより、鳳凰結界に、灼熱地獄、この2つは風と火の最強魔法ですよね。なのにそれに加えて無詠唱での完全治癒魔法。化け物ですか。貴方は」
クスッと笑うノイ。
「俺が最強と呼ばれていた理由が分かったんじゃないか」
「…あれ見て分からない人いませんよ。凄いとか…そういうレベル超えて神かと思いましたよ」
「あながち間違ってはいないだろうな。俺はこの世界においてなら神のように振る舞えるし」
無限の魔力の前ではそういうレベルで俺は振舞える。
「…蘇生魔法…あれは凄かったですね」
「あれは俺自慢の魔法だな」
ニヤッと笑う。他に使えるやつを見た事がないし使える奴なんてこの先出てこないだろう。
「しかも…これらの魔法を使い放題なんじゃないんですか?」
「何でそう思うんだ?」
「魔力を気にしている様子がなかったので無限に使えるのかなと思いまして」
「確かに、それが俺を最強にしている理由の一つだ。無限の魔力」
「ずるいですね…無限の魔力に全属性を使える…何か一つでも分けて欲しいくらいです」
頬を膨らませて頼んでくるノイ。
「最悪闇属性だけで戦えるし勝ち続けるしあげられるならあげてやってもいいがな」
「言いますね」
「最強の特権だ。悪く思うな」
クスッと笑う。
そうしてから横を向いた。
「ふにふにだな」
「くすぐったいですよ」
ノイの腹部を突っつく。
目の前にはスタイルがよくそれでいて程よい肉付きのよいそれがあった。
「シェルさんも誰かのお腹から生まれてきたんですよね」
「そりゃ、そうじゃないか。不思議なことを言うな」
生まれた時のことなんて当然覚えてないから本当のことかどうかは分からないが。俺だって普通に生まれてきただろうな。
「こうしていると…大きい赤ちゃんが生まれたみたいですね」
「俺を赤子呼ばわりするならミルクの1つでもくれ」
「そ、それはちょっと…」
赤くなるノイ。
「冗談だ」
その頬に手を伸ばす。
「俺はお前にこうやって触れているだけで幸せを感じる」
「…そうなんですか?」
「あぁ」
そう言って上半身を起こすと改めてノイの顔に自分の顔を近付ける。
「顔…近いですよ…」
一気に赤くなって俺から顔を逸らす彼女。
「俺に…愛を確かめさせてくれないか?」
「それは…恥ずかしいです」
「恥ずかしいところを見せてくれ…」
そうして頬に手を当てこちらに向かせる
「やっぱだめです!」
そうしようとしたところ突き飛ばされベッドの上から落ちた。
「あ、ごめんなさい…」
「いや、謝らなくていい。そうやって抗われるのも嫌いではない。むしろ抗い続けろ。それでこそ人だ」
それを聞いてクスッと笑うノイ。
「不思議な人ですよね。男の人ってもっと強引に求めてくるのだと思っていました」
「俺レベルになると強引に求めてくるのを逆に待つんだよ」
「でも、私は求められたいです…」
「…俺も求められたいぞ」
「さっきやったことと、今言ってること逆ですよね?」
「そうだな。しかし俺は今決めた。俺は求められるのを待つことにする。でなければ俺が先に惚れたかのように勘違いされてしまいそうだ。それでは負けた気分になる」
「何ですかその理論」
口を抑えて笑うノイ。
その黒い髪がサラッと揺れた。
「変なところで子供っぽいですよね」
「子供じゃない」
「そう言ってくるところもちょっと可愛いです」
「俺を可愛い扱いするとはな…」
「可愛いですよ」
そう言って後ろから抱きしめてくるノイ。
そうして頬を左右から引っ張っている。
「柔らかいですね」
「俺はなんでも頂点でなければならない。それは頬の柔らかさにしてもそうだ」
「何ですかそれ」
笑っている。
「俺なりの人生の目標みたいなものだ」
「いい目標ですね」
そうして小さく笑ったノイ
「そういえば…昨日眠る前に私たちに何かの魔法をかけていましたよね」
「気付いたのか」
気付かれていないと思っていたが。
「気付いたのはついさっきですけどね。私たちが眠る前に何かしてるなーって思ってたんですけど、それが鳳凰結界だったんだって気付いたのはついさっきです」
「いつも俺がお前らのそばにいられるとは限らないからな。発動を遅らせたのはお前達が何処まで対処できるのか気になって少し見ていた。しかし…やはり気が気ではなかったな」
「だから即来てくれたんですか?」
「そういう訳だな」
「…そうやって私のために本気になってくれるの嬉しいです。ルーク達には直ぐに見捨てられたし」
「そんなもんなのか?」
「そういうものですよ。本気で思われてるんだって理解できますから。シェルのこともっと好きになっちゃいましたよ」
「辞めろよ。恥ずかしい」
「そうですか。恥ずかしいんですか?…もっと恥ずかしがらせてもいいですか?」
「また今度な」
逃げるようにノイから離れた。
「魔王様みたいな態度はもう辞めたんですか?」
「もう魔王じゃないからあの態度は長続きしないな。それにお前達以外は俺をただの魔人だと思ってるからあの口調で話したところでいい思いはされないだろう、だから今から慣らそうとこの話し方を意識している」
それにしても不思議なものだ。口調が変われば中身まで変わった気がする。
「それにしても…俺を好きになるのは仕方ないと思うが…それでもそうやって言われると恥ずかしくなる」
「自分でそれを言うんですね」
クスッと笑うノイ。
「俺は…魔王だからな」
「元ですよね」
「そうだな」
小さく笑いが漏れた。そうだな今の俺はただの1人の魔人だ。
「俺を好きになってくれて感謝している」
「どういたしまして。ずっと大好きですからね…」
笑う彼女の顔を見ていると俺の顔も緩くなった。
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