エルとリルと三人でデートをした
「こうして外に出るのはいつぶりくらいなんでしょうか」
見渡す限り緑の草原の上で呟くエル。
「そんなに久しぶりでもないだろう」
「確かに思えばほぼ毎日出てますね」
あぁ…そういうことか。
「以前はこうして外に出ることなんて殆ど無かったので…そう思うと…売られたのは良かったかもしれません。貴方に会えたから」
その綺麗な目で俺を見る彼女。
「奴隷商に感謝する奴なんてのはエルくらいだろうな」
「そうでしょうね」
クスッと笑うエル。
「可愛い顔だな」
フッと笑って口にする。
「え、そうですか?」
顔を赤くして髪の毛で顔を隠すようにしたがそんなことは意味をなさなかった。
「あぁ。素敵なものだ。その一瞬を切り取って一生保存しておきたいくらい綺麗なものだ」
片膝を立ててその上に右腕を置く。
「それは…言い過ぎですよ」
「いや、言い過ぎなんかじゃないさ。俺はそれくらいお前を好きだと思っている」
「す、好き…?」
「俺はお前のことを愛していると言わなかったか」
「あ、愛してる…」
呟いて口を開閉させるエル。
「他の人にも…言ってることなんですよね?」
「当然だ。俺は俺の女を愛しているから」
瞳を閉じて語る。俺の愛は無限大だ。
「ちょっと妬いちゃいます…」
頬を膨らませている。
「妬く暇がないくらいめちゃくちゃに愛してやろうか?」
「そ、それは…壊れちゃいますよ…」
「そうやって物足りないくらいで丁度いいと思う」
「それもそうかもしれないですね」
「お兄ちゃんとお姉ちゃん結婚するの?」
リルが聞いてきた。
「いや、既に結婚したあとだ、ふははは」
「おめでとう。お姉ちゃん」
エルに笑いかける彼女。
「そ、そうなんですか?」
「俺の中ではもうお前とは結婚している。それだけの話だ」
「その言葉忘れないでいてくれますか?」
俺の顔を覗き見るようにして見てくるエル。
「俺が一度言った愛の言葉を忘れると思うか?」
その金色の髪を指に絡ませる。
「シェル…貴方に会ってから胸が変なんです…病気なのでしょうか?」
「それは不治の病だな。俺もお前といるとそれを感じる」
「危険なのでしょうか?」
「いや、むしろいい反応だろう。お前がちゃんと俺を求めている証だ」
俺もこいつといると胸が苦しい。それはエルだけじゃない他のユリ達と居ても感じるものだ。
「…手を繋いで欲しいです」
「知っているか?俺が魔王だということ。そう簡単にお前を喜ばすようなことはしないさ」
「…意地悪ですね」
「魔の王というのはそういうものだ。焦らして…焦らして…最高のタイミングでお前を満たす。その時を楽しみにしておくがいい」
「はい。貴方の隣に…私はいますから」
「私もいるー」
そう言ってリルが逆側に座ってきた。
「あぁ。俺の隣にいろ」
そしてそんな2人を両手で抱きしめる。
離さないように。
「その…まだ…心の準備が…」
しかしエルはそう言って直ぐに離れてしまった。
「ほう。初々しい反応だな」
「私は…そういう存在ではなかったので…男の人と手を繋いだことというか話したことも殆どないですよ…」
そう言ってギュッと自分の体を抱き締めるエルだった。
「なるほどな。俺好みに染められるとそういうわけか」
「…染めてください」
「そんなこと言われては俺の体を抑えられないが?」
「それは…私も準備が…」
「冗談だよ」
立ち上がってから手を差し出して立ちあがらせる。
「…ありがとうございます」
まだ俺の目を見れないのか下を向きながらそう口にした。
「俺にその綺麗な顔を見せてくれないないか?」
顎に手を伸ばしたがこちらを向かない。
「無理にとは言わん。俺は神々しいから直視できないという意見はよく聞くものだ」
「は、はい。ありがとう…ございます」
「しかしいつかはちゃんと見れるようになってくれよ?」
頷くのを見て家に戻ることにした。
「こんなものとかどうだ?」
帰り道三人で街を見て回ることにした俺たちはとりあえず小物を扱っている店にやってきた。
そうしてエルの髪の毛に見つけたその髪留めをあてがってみた。
「似合うんじゃないか?俺は気に入った」
そう告げると勝手に彼女にそれを持たせた。
「つける気はないか?」
俺としては結構似合っていそうだったから付けてほしいのだが。どうだろうか。
「似合いますか?」
「あぁ似合うぞ。とは言え無理に着けさせる気もない。嫌なら断ってくれても構わない」
「そういうシェルも飾り気ないですよね?」
「俺は既に完成している。だからいいのだ」
「そうなんですね」
「で、どうなのだ」
「私もありのままの自分で勝負して見ることにします。シェルが着飾らないなら、私もそうしてあなたと共にありたいと思います」
そう言ってほほ笑んでくるエル。
「なら、構わない」
次はリルの方を見た。
「お前は何もいらないのか?」
「いいよ。別に私はお兄ちゃんができてそれだけでうれしいから」
そう言って笑ってくれる彼女。
「そうか、ならお前もお姉ちゃんと一緒にありのままの自分で勝負するんだな」
「よくわからないけどそうする」
「なら、ここに用はないな。帰ろうか」
そうして今日も平和な一日が終わったのだった。
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