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やはり初めてというものは大事なものだ

ノイと出会った日の翌日。


「ま、また増えた?!」


俺の横にいるノイを見て悲鳴に似た声を上げるユリ。


「し、しかも今度は人間…?」


「…この人たちは?」


「俺の嫁だ」


ノイの質問に答える。


「だから嫁じゃないから」


呆れたように首を振って答えるユリ。


「本人はそう言っているが実の所俺にメロメロで今すぐ全てを奪って欲しいってそう願ってる」


「す、すごい自信ねそれ…」


「だが思っているのだろう?」


「思っているけど…って何言わせんのよ!」


「ほらな」


ノイに見せ付ける。


「ま、仕方の無いことだ。責めないでやってくれ。俺のカリスマ性に対抗出来る奴等おらんよ。俺に声をかけられては心を全開にして俺にメロメロになるしかないのだ」


だから、俺も責める気にはなれない。これは至極当然の結果なのだから。


「あぁ、自分の全てが憎いな。俺は罪深い男だ。声をかける相手を全てメロメロにしてしまう呪いにかかっているのだから」


「それは呪いなんですか?」


エルが聞いてきた。


「いや、呪いではなく俺の生まれ持った才能なのだろうな」


「でも、人間とも仲良くなれるなんてシェルすごいね」


リルもそう口にした。やはり俺の凄さを理解出来ているらしい。


「そうだ。リルはよく理解しているな。俺のすごさを」


そうして話していた時だった。


「お前…よく戻ってきたな。全属性」


酒場の店主が声をかけてきた。


「ハリバンとやらだったか」


「ようやく覚えたのか」


「本来はお前のような親父の名前など覚えないが覚えてやったぞ。感謝しろ」


「俺はこれでもまだ20代だぞ」


「俺から見れば親父だ。感謝しろ」


「しかし、流石に無傷ではいなかったか」


「そうだな。意外と手強かった」


ノイに話を聞いたところあの勇者パーティはかなり強いらしく、魔王を討伐出来る可能性もあると考えられているほどらしい。それを無傷で撃退したとなれば俺の平穏な生活も終わるかもしれないということで怪我の工作をしておいた。


「それにしてもあの勇者パーティを撃退したのは誰だったんだろうな。まさかお前じゃないだろう」


「俺だ」


「嘘つけ。あれはクシナ様が復活して撃退したって噂だ」


「へー。あのクシナがね」


「だとしたら魔王軍もまた勢いを取り戻せるかもな」


笑うハリバン。その本人が目の前にいるのだがやはり気付かないか。

無理もないが。


「何時までも人間に舐められているようではクシナに失礼だしな」


「ま、そういう訳で一応最後まで戦場に立っていたのはお前ってことで報酬はお前に出ている。受け取っておけ」


そう言って皮袋を渡してきたハリバン。


「俺の快適な生活の足しにしてやろう」


「何処から連れてきたのかは知らんがそれだけの女がいるならそれなりに必要だろう」


「俺は神に愛された存在だ。その辺を歩いているだけで女はホイホイ釣れるのだ」


「それなら俺も愛されたいところだな。まぁいい。助かったぞ全属性。お前の旅路に幸があることを願っておこう」


そう言って戻っていくハリバン。

見送ってから振り返るとユリの顔があった。


「どうしたのだ。そんなに間近で見ているとその唇を奪ってしまうぞ」


「奪えるものなら奪ってみなさいよこのヘタレ」


カチンときた。


「お前が奪ってみよ」


「何で私なのよ!」


顔を赤くするユリ。


「なら…私が奪ってもいいですか?」


俺の腕に抱きつくノイ。


「それは…許さないから」


ノイと視線をぶつけ合うユリ。


「俺のために喧嘩するなよ。お前達は等しく俺の女だ」


「でも、初めてのキスは大事じゃないですか?」


ミーナがそう口にした。


「なら俺が全員と同時にキスをすればいいのではないか?」


「どうやってやるのさそれ」


アニーが頭を抑えて首を振っている。


「俺なら可能だ。俺なら、そう。天才であり最強である俺だからこそ可能なのだ。ふっ」


考えることすら馬鹿らしい。俺は最強だから何でも可能なのだ。


「でも分裂でもしないと無理じゃないですか?」


ミーナが聞いてきた。


「時間を止めれば可能だ。止めている間に全員にキスをすれば同時にした事になるだろう」


「でもそれ…貴方の初めては誰か一人にすることになりますよね?」


「そうだな…」


言われてみればそうだな。


「俺の初めてを全員にやれないのは平等ではないな」


「何馬鹿なことブツブツ言ってるの?」


「いや、真面目な話だ」


盲点だった。

俺は全員を平等に愛しているが…そうだな。それでは平等ではなくなる。


「それは手を繋ぐことも同じか」


「あんなことしときながらよくそんなこと言うわね…」


拳をプルプル震わせるユリ。


「あんなことってどんなことだ」


「顎に手を当てたり頬触ったり色々してるじゃない?!」


目を閉じて必死に恥ずかしさを殺しながら言っている。


「あれはまだまだ序の口だ。そんなものカウントされぬよ」


「シェルの頭の中を見てみたいかも…」


「怖いことを言うな」


「シェルが1番怖いよ」


「怖くない」


まぁいい。


「よし、決めた。俺は決めたぞ」


「何を決めたのですか?」


リアが聞いてきたが改めて全員を見回す。


「俺は初めてを捧げたくなった相手に一番最初にキスをすることにするから。お前達は頑張って俺に好かれるように切磋琢磨しろ。しかし、時を止めてお前達には同時にキスをした事にするからそう気にすることでもないことだ。選ばれなかったといってしょげることはない。俺はお前達を平等に愛しているのだから」


「…全員に好かれていることが前提なのだな」


アニーが呟く。


「当たり前だ。俺のカリスマ性は最早神のそれ。俺に声をかけられこれだけ近くにいてぞっこんでない訳が無い。ふはははは」


俺は自分が怖い。


「そのうち俺は俺自身を好きになりそうだな」


「ナルシ?」


「ナルシストではない。俺は世界一の存在なのだそれを自分で認めているだけに過ぎない」


相変わらずユリは毒舌だ。しかしそんなもので怖気付く俺ではない。


「私は…頑張りますからね?」


「私もです」


俺の左腕に抱きついてきたリア、その反対にはノイがいた。


「よく分かっているな。そういうポイントを稼ぐ行為というのが俺の中でのそそりポイントを上げるのだ。頑張るがいい」


今日もいい一日になりそうだ。


ブクマありがとうございます。

励みになります。


毎日気温が安定してなくて嫌になりますね


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