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耳かきを見せれば何を望んでいるのか分かってほしいものだ

「に、人間?!」


「黙っておけ」


宿屋に金を掴ませて部屋を借りる。


「とりあえず風呂にでも入ってこい。俺と話をするのにそのままというのは不…。何でもいいからとりあえず入ってくれ」


用具を押し付けて付属の風呂に入れさせる。


「す、すみません…」


しばらく待っていると体の濡れた女が出てきた。バスタオルで身を隠している。


「…何から致しましょうか?」


ゴトッと音を鳴らして机にあるものを置く。


「ここにミルクの入った哺乳瓶がある」


更にベッドの上に転がっているものについて説明していく。


「これがおむつだ。そしてこれがおしゃぶり、そして耳かきだ」


「…何の話ですか?」


恐れ多くと言った感じで聞いてくる女。


「…お前には理解できないか」


やれやれ。ここまで俺とこいつとの間にレベル差が存在するのか。

恐らくユリ達なら1発で理解してくれるがこいつには母性というものがないのかもしれない。

確かに顔立ちはまだまだ幼い。


「まぁいい。順を追って説明するからとりあえず俺の横に座るがいい」


「は、はい…」


そう言って俺の横に座る女。


「あ、あの…初めてなので…優しくしてくれると…嬉しいです…」


「何を言っている。俺が初めてだ。優しくしてくれ」


「?」


「何なのだ?」


「どういうことですか?」


「どういうことだ?」


話が噛み合っていない。


「…もう準備出来てますから…」


そう言って女はバスタオルを外した。

するとそこには下着だけを身につけた体があった。

小ぶりだが…形のいい…いや、辞めておこう。

鼻血が出そうだ。


「とりあえず服を着てこい」


「?」


「早くいけ。何度も言わせないでくれ」


よく分からないと言った顔でもう一度脱衣所に戻る女を見送る。

暫くして服を身につけて戻ってきた女。


「…あの」


「早くこっちへこい。俺は新世界が見たくてうずうずしている」


横のスペースを叩いて促す。


「その前に名前を聞かせろ」


「ノイです」


「ノイか。分かった。早く来い」


興奮した俺の頭は子供並みの言葉しか思い浮かばず。口からもそんなものしか出てこない。


「これを持て」


そう言って耳かきを押し付ける。


「座り方はこうだ。ちゃんと座れ。こういうのは形も大事なのだ」


細かく指示を出して理想通りの座らせ方をする。


「ただし痛くなったら言え。潰れてしまっては元も子もない」


「い、いえ大丈夫です」


正座だから大丈夫だろうとは思うが一応だ。


「あぁ…柔らかいな」


「ひゃっ!」


そうして即頭を太ももの上に置いた。


「あの…何をどうすれば?」


「耳かきをしろと言っているのだ。分からんのか」


「…すみません…でも分かりませんよ?」


「分かるようになれ」


そう言って耳かきをさせる。


「ママの足ふにふにで柔らかいなぁ…」


プニプニとしたその足を突っつく。


「ひゃっ…辞めてください…突いてしまいます…」


「ママ、俺の魔法は凄いからどんな怪我負っても即治るから平気だよ」


例え鼓膜が破れようが腕が砕けようが治せる。


「…どうして…私なんかをあの時治したんですか?敵なのに」


「ノイがママだから」


「マ、ママ?この状況は?」


「俺は親を知らない。親に愛される子の気持ちになってみたかった」


「そ、そうだったんですね…」


「嘘だ」


「…お、驚かさないでください」


「だが…お前は中々の母性を持っているかもしれない。俺の頼みを断ってくれなかったな」


「…私は…貴方に見放されたら…もう終わりですから」


「仲間から見捨てられた。完全にそう思っているということか?」


「はい…」


「俺は見捨てない。何せ耳かきをやれるのはお前だけだ」


「…勇者より勇者っぽいですね。その台詞」


「俺もかつて勇者だったからな」


「…冗談ですよね?」


「いや。俺はかつて勇者だった。まぁ話せば長くなるからまた今度にでも話そうと思うが。また聞きたくなれば聞いてくれ。その時は気が乗れば話そう」


俺の頬に水滴が落ちた。


「…その…ありがとうございます…」


「泣いているのか?」


「その…嬉しくて…見捨てないって…そう言ってくれたのが嬉しかったんです」


「その程度で喜ぶな。耳かきを抜け」


耳かきが俺の耳から抜けるのを感じて起き上がるとノイを押し倒した。


「もっと俺を感じさせてやろうか?心の奥底まで俺を刻み込んでやろうか」


「……」


コクっと頷くノイ。


「いい子だ」


流石にユリもここまでこないだろう。


「分かるか?俺の心臓の音が」


彼女の手を自分の胸に当てさせる。


「俺もドキドキしている」


「わ、私もです…」


「…目を閉じろ」


耳元で囁くと言われたとおりにするノイ。


「…」


微かな音とともに互いの息が当たるくらいの距離まで近付いてからやはり体を離した。


「…してくれないんですか?」


顔を赤くして恥ずかしそうに聞いてくるノイ。


「準備は出来ているのに中々手を出されない絶望を知るがいい」


「…ひ、卑怯です…」


「でも…より俺を忘れられなくなったのではないか?」


抱き起こして訊ねる。


「…あ、当たり前ですよ…もう…忘れられるわけないじゃないですか…」


頬を膨らませている。


「…そういえば哺乳瓶は何の意味があったんですか?」


「俺に飲ませろと言いたいところだがやめておこう。俺は好き勝手やられるより好き勝手やりたいのでな。ずっとそうだ」


そう口にして抱きしめる。


「こんな風にな…離れたいと言われても離さない。お前はもう俺のものだ、俺の好きな時に俺に好きなことをやられるといい」


「…私は…あなたに何が出来ますか?」


「そばにいてくれればいい。俺が疲れた時には膝枕の1つでもするがいい」


「…そうですか。分かりました。気持ちよくなって貰えるように頑張ります。最後に名前を教えて頂いてもいいですか?」


「シェルヴィ。シェルと呼べ」


「分かりました。精一杯頑張らせて頂きます」


そうニッコリと笑うノイ。

その顔はかなり赤くなっていた。





ブクマありがとうございます。

励みになります。


最近少し寒かったり暑かったり微妙で嫌になりますね。

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