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後ろです

深夜のドライブに行こうと言い出したのは友人のKだった。

お互い、バイト以外にやることもない大学の夏休み。

俺は父親の車を借り、助手席にKを乗せて夜の街を車で駆け抜ける。

他愛も無い話をしながら1時間ほどしたところで車は街を抜け、山道へと入っていく。

夜の山はそれだけでも不気味で雰囲気がある。

いつの間にか、Kも山の持つ独特な空気に圧倒されたのか喋らなくなっていた。

カーステレオから聞こえる陽気な音楽が場違いに響く。


トンネルを抜け、下山している最中に見慣れたコンビニの看板が目に飛び込んできた。

俺ちょっとトイレ行きたいかも、とKが呟き、車内の重い空気を変える意味も込めてコンビニへ寄った。

田舎あるあるのだだっ広い駐車場の片隅に駐車させようとシフトレバーをバックに入れた瞬間だった。

カーナビから無機質な音声で


「後ろです」


と障害物を検知した時に報せる声が響く。

ミラーとモニターに目をやるも障害物なんて何もない。

Kも不思議そうに辺りを見回す。


「後ろです」


無機質な音声は変わらず繰り返す。

そこで俺は気付く、障害物があるならアラームも鳴るはずだと。

なのに音声は延々と注意を繰り返す。


「後ろです後ろです後ろです後ろです後ろです後ろです後ろです後ろです後ろです」


嫌な汗をかきながらシフトレバーを元に戻し、俺たちはコンビニを後にする。


コンビニから出る瞬間、スピーカーから機械音声とは違う女性の生々しい声がした。


「次は逃さないからな」


別にあの山はなにか事件があったわけじゃない、なんの変哲もない山。

だけどあの時の俺たちには確実に何かがついてきていたのだ。

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