10/12
とある廃村で発見された書き置き
それはいつも寒い冬の日に現れる。
それが現れる前日には首のない鹿が村の外れに遺棄される。
それは雪が降ってると現れない。
それは日が昇る前、日が落ちる頃に一回ずつ現れる。
それは一日のどこかで雪が降ると現れない。
それは子どもの姿をしている。
それは聞く人の一番親しい子どもの声を発する。
それは男児にも女児にも見える、なぜなら一番親しい子どもの姿を真似るから。
それの呼びかけに応えてはいけない。
もし呼び鈴にもノックにも応えてはいけない。
もしそれが見えても見えてないふりを貫かなければならない。
もし名前を呼ばれても聞こえていないふりをしなければならない。




