第十一話:集団催眠の終わり
全校集会。
壇上で生徒会長のカイルが必要事項を伝達しているが、その声が急に険しさを帯びた。
「最後に――王太子レオンハルト! 並びにルーカス!」
カイルが王族を呼び捨てにするという、あまりの無礼に青ざめる教師陣。
しかし、当のカイルは正義のヒーローのごとく声を張り上げる。
「王太子レオンハルトは、我らが崇拝するアリスを貶め、停学に追い込んだ! そして従者のルーカスは、卑怯な手口で特進クラスに潜り込んだと聞いている。大国の王太子とはいえ、そんな暴挙をこの生徒会は断じて許さない!」
ちなみに、二人の特進クラス編入は母国の王立学園での輝かしい成績に基づいた正当なものだ。
完全にユリウスによる捏造なのだが、この生徒会、色々としっちゃかめっちゃかである。
「そうだ、ルーカス君! 僕と魔力理論で対決しろ。今度こそ決着をつけてやる!」
眼鏡をクイッと押し上げ、ユリウスが叫ぶ。(これに勝てば、アリス君は僕に興味を持つはず……!)
「いや、そもそも対決してねーし」
心底嫌そうな顔で、ルーカスが投げやりに応じる。
レオンハルトは、魔力を滲ませた眼差しで生徒会の面々を見渡した。
(嘘だろ。こいつら、全員まとめて魅了にかかっているのか?)
あまりの頭の悪さに、すっかり面倒くさくなったレオンハルトは、両手を天にかざした。
「な、何が起きるんだ!?」
ざわつく講堂。その直後、学園の上空に巨大な魔法陣が浮かび上がった。
あまりに高度で精密な魔術に、その場の全員が度肝を抜かれる。
レオンハルトは冷徹に一言、命じた。
「ディスペル(全域魅了解除)」
魔法陣が眩い光を放ち、周囲数キロにわたって強力な解除魔術が展開された。
「ハッ!?」「こ、これは一体……!?」
次々と正気に戻っていく生徒会の面々。
「今まで僕たちは何をしていたんだ……?」「まるで悪い夢から冷めた気分だ」
教科書通りのベタなセリフを吐き散らす彼らを、レオンハルトはゴミを見るような目で見やった。
そのまま呆然とする教師陣に向き直り、問いかけた。
「……全校集会、これで終わりで構いませんか?」
状況を把握しきれず唖然とする教師たちだったが、レオンハルトから放たれる無言の圧に負け、慌ててコクコクと頷いた。
「んじゃ、解散解散」
さっさと帰ろうとするレオンハルト。
しかし、そこへまたしても空気を読まない声が響き渡った!




