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進化先の選択肢がおかしい件  作者: 紫扇
3章 目玉と理不尽
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41 面白い人

主人公がまったく自分で歩かない(・ω・`;)

 帝都の中に入った俺たちはまず冒険者ギルドへと向かうことにした。


「ギルドはー」

「お……あんたら困ってんの?」

「……おそらくあちらですね」


 俺たちは周囲を軽く眺めていた。キュクは始めて来た街にもかかわらずどこに冒険者ギルドがあるのか分かるようだ。


「こういうのは人の流れに乗れば大体同じ所へ着くものです」

「何だったらおいらが道案内してやるぜ」


 どや顔で言うほどのことじゃ無い気がするが誉めておこう。


「えらいなーキュクは凄いなー」

「おい、聞けよ」


 俺はキュクの頭を撫でようとして手が届かなかったので頬を撫でた。キュクはムフーと息を吐いた。


「それでは行きましょうか」

「ちょ……げふ……」


 俺とキュクは冒険者ギルドへ向かって歩き出した。何やら背後でさっきの白服集団が集まって話している。

 観光の日程確認だろうか?


 ー◇ー


 キュクと進んだ方向に冒険者ギルドはあった。大きな看板が掛かっており剣と光と袋が重なったようなマークが描(えが)かれていた。

 そのマークの下に文字で冒険者ギルドと書かれていた。入り口は酒場のような感じ……では無くきちんとした役場の扉といった感じだった。

 扉を開けて中へと入ると綺麗な内装をしていた。

 個人的なイメージでは場末の酒場のような雰囲気だと思っていたがどうやら違うらしい。

 待合室のような所と食堂のような所が左右に見えた。掲示板がいくつか設置されておりそこに冒険者らしき人がぱらぱらと居た。

 正面にはカウンターが並んでいる。

 俺は一つのカウンターを選ぶと職員のお姉さんへと話しかけた。


「すみません」

「なんでしょう」

「冒険者になりたいんですがー」


 受け付けのお姉さんは俺を上から下まで見た。俺も負けじとジロジロとお姉さんを見た。

 中々胸の大きなお姉さんだった。鳶色の髪を後ろで縛って一本にしており清潔感がある。ギルド職員だからか手袋をしており他の職員と同じようなスーツを着ていた。


「えっと……そちらのメイドの方を登録するということでしょうか?」

「いえ、俺もでー」


 キュクに持たれたままブラブラと手を揺する。

 受け付けのお姉さんは困ったように俺と目を合わせ言い聞かせるように言った。


「冒険者に登録できるのは13歳からでして……それより下の方は登録出来ないんです」

「へー……じゃあ14なんで大丈夫です」


 受け付けのお姉さんはため息を付くと困った顔をしていた。


「えっと貴族様でもそれは無理です。これはギルドで決まっている規則でして……」


 貴族?服装とかメイドがついてるからか……。お姉さんは困ったようにキュクを見た。


「ロプス様ならば何も問題はありません」


 キュクの援護射撃にお姉さんは大きくため息を付いた。


「わかりました。登録にあたってテストをさせていただきます。3日おきに行っていますが今日参加しますか?」

「おねがいします」

「それでは少々お待ち下さい」


 そう言ってお姉さんはどこかへ内線を掛け始めた。内線あるのか……。

 そう思って回りを見てみると以外と機械的な物があることに気付かされる。転生者とかが関わって造っているのだろうか?


「テストの準備が出来ました。案内しますのでこちらへどうぞ」


 カウンターを回って俺たちを先導して行く。


「どうぞ、こちらです」


 お姉さんに先導されて向かった先は室内の運動場のような所だった。

 そこには鎧を着た大柄な男が立っていた。

 壁際を見ると数人の新人らしき人達が並んでいた。


「今日はこの子達で最後かな?」

「はい、それではよろしくお願いします」


 お姉さんは一礼すると部屋を出ていった。


「俺はエリックだ。一応今日のテストの試験官だ」


 鎧の男は爽やかに言った。どうやら彼は高身長爽やか系イケメンのようである。


「試験内容は簡単だ。俺と少し戦って力を測る……それだけだ」


 そしてエリックは再び簡単だろう?と笑った。


「別に俺に勝てなくても問題は無い。要するにどれ程の力量があるのかを見極める為のテストだからな」


 他の参加者らしき者の中にはあからさまにホッとした顔をしている者もいた。


「それでは順番にいくぞ最初の者はこい」

「はい」


 始めに出たのは盾と剣を持った青年だった。エリックも大楯と剣を構えていた。

 エリックの盾は金属製のタワーシールドで男の盾は丸いライトシールドだった。

 お互い武器はロングソードだがエリックのロングソードは少々身が厚かった。

 男は盾を使い攻撃を防ぎながら戦う一般的な戦士タイプだった。


「まぁまぁだな。バランスは良いが今後に期待か。よし、合格……次」


 その後次々と試験が進んでいった。


「魔術が使えるのは良いがそれ以外の練度が低いな。まぁ合格だ……次」


 エリックは魔法使いの攻撃を盾で防ぎ剣で切り捨てる実力者だった。


「練度が低すぎる。もっと修行してこい。不合格……次」


 俺と同じぐらいの外見の少年がいたりもした。

 そして俺たちの二つ前くらいの所で変なのがいた。


「試験官いいですか?」

「なんだ」

「僕が試験官を倒してしまってもいいんですよね」


 そいつは一々喋る度に前髪をかき上げていた。


(あの前髪なんだよ。じゃまなら切れよ。くっそ。動く度に揺らして目に当たってる)


 俺の腹は崩壊しそうだった。だが、奴の面白さは留まる所を知らなかった。


「倒せるものならば……な。後、邪魔ならその前髪は切ったほうがいいぞ」

「ありがとうございます。前髪は問題ありません」


 そいつはキメ顔でピッと髪をかき上げた。

 しかも俺たちの横を通る時に視線を感じたのか俺たちを見て伸ばした人指し指と中指をくっつけた拳でピッと俺たちへ挨拶し、その動きから自然に前髪をファッサァとかき上げた。

 俺の腹筋は崩壊した。


「…………」


 エリックさんも思わず無言である。


「それでは行きますよ(ファサッ)」


 髪のあれはやらないと堪えられないのか。

 しかしその男は今までで一番奮闘していた。エリックの攻撃をシャラァンと音が出そうな動きで躱しながらも、レイピアで的確に急所を狙う合理的な動きである。

 さらに魔法を組み合わせたりフェイントを織り混ぜておりかなりの手練れであることが伺えた。

 しかし時折、髪をファッサァとしたり、技を使う度にキメ顔をして凄く面白い。

 相手を翻弄するためにワザと遣っているなら凄いが恐らく素だろうと思うのでさらに凄い。


「変な癖はあるようだがそれでも強いな。合格……次」


 男が戻ってくる時にまた目が合った。男はファッサァとして言った。


「フッ、見とれちゃったかな?(ピッ)」


 やばい……この人面白い。

 次には細身のロングソードを使う少女だった。エルフとの混血なのか耳が少し長く金髪碧眼そして貧乳であった。

 少女は素早い動きでエリックを上手く攻め合格した。

 次は俺の番である。


「ふむ君は13を超えているのかな?俺の目には8歳くらいに見えるが……」

「超えてるんで大丈夫です」


 本当は0歳なんだけどね。


「わかった手加減無しにいかせてもらうよ」

「はあ」


 エリックは構えこちらを伺い見ている。


「どこからでも来たまえ」


 先手を譲ってくれるらしい。

 俺は一足跳びにエリックの懐へ入ると掌打を放つ。


「クッ……!」


 エリックは予想外の速さに目を少し見開いたが俺の手との間に盾を滑り込ませた。

 盾が押されバアァンと音を奏でる。


「フッ……ハァ!」


 俺は身を屈めエリックのロングソードを持つ腕の下へ潜り込み再びエリックの横腹へ向かい掌打を放つ。

 エリックは闘気を纏い掌打を防ぐと肘によって俺の頭を狙ってきた。

 俺は後ろへと跳びそれを回避する。


「俺に対して一撃を入れるとは……合格だ。次」


 次はキュクの番である俺は元の所に戻った。キュクは俺と入れ替わりでエリックの前に立った。


「武器は無しで問題ないかな?後、背中のリュックは置いてくると良い」


 エリックは一度俺の方を見た。エリック良い奴だな。


「お気遣いなく、問題ありません」

「そうかい?」


 エリックは構えを取る。じりじりとキュクとの間合いを測っている。


「…………」

「…………!」

「合格でよろしいでしょうか」

「あぁ」


 キュクが一瞬消えたかと思うとエリックの後ろから首筋にナイフが当てられていた。


「ふぅ……恐ろしいメイドだ」


 エリックは首をさすりながら渋い顔をした。


「合格した者はいまから渡す札を持って受け付けへ行くように」


 エリックは赤い札を取りだし合格者へ配った。


「今日のテストはこれで終了とする。解散」


 そこにいた者達は思い思いに歩き部屋を出ていった。合格者は待ちきれないとばかりに歩いて、不合格の者はトボトボと出ていった。

 一人歩く度に前髪をシャランシャランと揺らしている者もいたがあれは例外だろう。

 俺たちも部屋を出ると受け付けへ行き先程のお姉さんに札を渡した。


「おねがいします」

「……登録ですね。それでは正式に名乗らせて頂きます。今回登録を担当させて頂くのはリーシャ=ミストラルです」


 お姉さんはリーシャと言うらしい。軽く礼をしただけで胸がテーブルで潰れるとは……人気のありそうな受け付けである。


「それではまずこちらを記入下さい」


 そこには名前や性別、得意なことなどの記入欄があった。

 キュクは必要項目を書き終えリーシャさんに用紙を返した。

 リーシャさんは用紙を受けとるとサッと目を通し俺たちへ向き直る。


「次は冒険者の規則を説明させて頂きます」


 要約するとクエストを受けて仕事をする。失敗すると違約金。冒険者ランクはE~Sまでらしい。

 その上にはSSが存在しているが冒険者とは言うが少し違うものらしいのでSまでだそうだ。

 まぁ俺は目指さないが……。リーシャさんに気になっていたことを聞くことにした。


「ダンジョンに行きたいんですけど」

「ダンジョンにはEランクだけでは入れません。パーティであってもダンジョンはDランクからとなります」


 面倒だな。色んなダンジョンに行くなら冒険者になるのが早いかと思ったんだが……。


「どうすればランクが上がりますか?」

「Dに上がるにはクエストを5つほどこなせばすぐに上がることが出来ます。Cからは昇級テストがあるのでそれに合格すると上がることが出来ます」


 リーシャさんは丁寧に教えてくれた。


「じゃークエストを受けたいんですけど」

「クエストはあちらの掲示板に張り出していますのでそれを剥がしてこちらへお持ち下さい」


 リーシャさんはカウンターに二枚のカードを置いた。


「こちらがロプス様とキュク様の冒険者カードとなります。クエストを受ける時に一緒に提出下さい」

「はーい」


 俺はカードを取るとキュクに揺られながら掲示板を見に行った。



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