第二話 夜襲
馬+荷車=荷馬車
馬が引いてない、付いてない状態だと荷車と言うそうです。
初めて知りました。
「二人とも起きろ!夜襲だ!ベニー!配置につけ!」
俺は大声でパーティーに指示を飛ばす。指示を出しながら立ち上がり、手の届く場所に置いていた大剣を握り構えた。
森の出入り口、四頭の馬と二台の荷車を停めていた場所を俺は睨みつける。辺りを照らしていた火柱は既に消えていた。
俺は背後を一瞬だけ振り返った。指示を受け、俺の数歩後ろに位置取ったベニー。ベニーの後ろでは、起き上がり辺りを警戒するアリーナとジモンがいる。
陣形を組んでいる俺たちの背後は湖だ。火柱が昇った場所、俺の正面側から夜襲の犯人は来るだろう。俺は背後のパーティーメンバーの状況と、周囲を把握したあと直ぐに正面に向き直り、睨むように暗闇を見据える。
森の暗闇の中、小さな光だけが一瞬見えた。
「っ!ベニー!!!」
「空の神の神使が一柱、ベオバハターよ
捧げるは我が魔力
願うは何者をも寄せ付けぬ力!」
俺と同時に森の中の小さな光を感じ取ったのだろう、ベニーは魔法を行使していた。俺たちのパーティーを囲うように、半球状の風の幕が張られる。
俺の正面、森側を前方にし張られた半球状の幕は、俺たちの正面と側面を守る。
風の幕が張られると同時に森の中に小さな光が再度見えた。次の瞬間、風の幕に跳ねられ、数本の矢が周囲の地面に落る。
小さな光の正体は矢だ。俺は視線だけを地面に落とし、矢の数を数えた。…七本。最低でも七人の狙撃手がいる。
「俺の罠を避けて襲ってきてる!相手はプロだよ!」
「ああ!分かってる!」
ジモンの言う通り素人の夜襲じゃない。ジモンは子供だが俺たちパーティーのスカウターだ。目の見えないベニーも、偵察や斥候を担っている。だがどちらかと言うと、魔法使いとして活躍している。俺は握っている大剣に力を入れ直した。
目的は俺たちパーティーなのか、それとも荷車のやたらと大切にされてた積荷か。
矢を俺らに放った七人とは別の数人が、荷車を襲っているのを見れば明らかだ。最初の火柱も俺たちに向けたものではない。
ギルドを通した正式な依頼ではないが、今の俺たちは護衛として同乗させてもらってる。俺は風の幕を突き抜け走り出した。
「ベニー!ここは頼む!俺は積荷のある方の荷車を守る!」
七人の狙撃手の位置は把握している。飛んでくる矢を大剣で防ぎつつ、俺は荷車へ向かって走った。二台の荷車に、二人づつ、計四人の襲撃者が見える。
森の中の暗闇を警戒しながら軽く息を吐き、俺は魔法を行使する。
「火の神の神使が一柱、ファラリスよ
捧げるは我が魔力
願うは何者をも穿つ力」
胸、肩、腕、拳へと向かって順に魔力が流れていくのを感じる。そして大剣を握る両拳から炎があがり、炎は大剣へと伝っていく。
炎を纏った大剣を振りかぶり、荷車を襲っている襲撃者に斬りかかった。暗闇の中、炎を纏った大剣に照らされ浮かび上がる、がたいのいい俺の姿はさぞかし恐ろしいのだろう。
体を強張らせ、短い悲鳴をあげる襲撃者を一人斬り伏せた。切り口を焦がす臭いが鼻を刺す。だが俺は、顔を顰めることなく、もう一人の襲撃者に視線を移し続けざまに斬り伏せた。
俺たちが乗っていた方の荷車は積荷が乗っていない。もう一台の荷車へ、積荷は全て移し替えて乗っていたのだ。
満載だったはずの積荷は既にいくつか持ち出されてしまっていた。抵抗虚しく、最初の火柱でやられたのだろう。行商人の二人の内、一人が地面に倒れている。
俺は森の中から飛んできた数本の矢を防ぎ、空の荷車の方へ視線を移した。積荷がないと分かった二人の襲撃者が、空の荷車からこちらの様子を伺っている。二人は俺へ狙いを定め、短剣を握り走り出した。
向かってくる二人をどう対処するか思考を巡らせ、俺は大剣を構えた。
「グラムズ!危ない!」
ジモンが悲鳴のような叫びをあげた。刹那、俺が把握していた七人の狙撃手とは別の方向から矢が飛んできた。一瞬反応が遅れ、完全には防げず矢が俺の右肩に突き刺さる。
燃えるような痛みと痺れを感じ、大剣の構えが崩れた。目の前には、崩れた右側から襲撃者の剣が振りかぶられている。間に合わない、防ぎきれないと思った時、アリーナの声が響いた。
「伏せて!」
俺はその場にしゃがみ込んだ。しゃがみ込む俺を飛び越え、アリーナの左手にある小さな盾が短剣を防ぐ。彼女はその左腕を振り払い、相手の短剣を弾き飛ばす。流れるような動きで、彼女は右の拳を構えていた。
アリーナの片足だけを隠すような、大きなスカートが翻る。そして勢いよく振り抜かれた右の拳によって、バランスを崩していた相手を殴り飛ばした。
長い髪と、スレッドと言うにはあまりにも大きくはだけた、半身だけを隠すスカート状の布が舞う。動きやすい格好をするため、ショートパンツを愛用している。だが元娼婦としてなのか、おしゃれなのか、スカートのような要素は欠かせないのだろう。可憐だが勇ましい姿の彼女がそこにはあった。
彼女は、殴り飛ばした相手を一瞥すると、もう一人の襲撃者に視線を移し睨み合う。彼女は、俺を襲撃者から庇うように立っている。
「グラムズー!森の中の狙撃手はあらかた片付いたよー」
俺の背後からはジモンのそんな報告が聞こえた。振り返るとジモンとベニーが返り血にまみれ、こちらへ歩いてくる姿があった。
俺は矢の刺さった右肩を左手で押さえつつ立ち上がる。そして、アリーナと睨み合う襲撃者を見た。
頭と口元に布を巻きつけ、目元しか見えない襲撃者。分が悪いと察したのだろう、目が動揺している。襲撃者は睨み合ったまま数歩下がり、俺とアリーナ、そして歩いてくるジモンとベニーを観察していた。
「…おまえら、どこの闇ギルドだ?見たことのない刺青をしているな」
右肩を押さえてる俺の左手には口の刺青がされている。ニヤけた口のデザインだ。左手で口を覆えば、笑った顔になる便利な刺青。
アリーナの左手にも同じ刺青が彫られている。こちらへ向かって歩いているジモンたちもだ。揃いの刺青を見て、俺たち四人が同じグループに所属していると判断したのだろう。
俺たちはパーティーではあるが、どこかのでかいギルドに属してはない。四人だけのお揃いデザインだ。
「俺たちはただの冒険者パーティーだ。お前こそ誰で、何のために夜襲にきたんだ、答えろ」
「ふざけるな!揃いの不気味な刺青をして、闇商人の護衛までしてる。お前らはどこかの闇ギルド所属だろ!」
困ったな、同乗させてくれた行商人は闇商人だったのか。どうりで大切な積荷があるのに俺たちを近づけないはずだ。
今思えば護衛もなしに移動してたのも不自然だ。闇商人の伝手で闇ギルドから護衛を雇ってはいたのだろうが、道中に今回と同様、夜襲でも仕掛けられたのだろう。当然、冒険者ギルドに正式な依頼をだせるはずもない。
俺は自分たちの素性よりも、相手から情報を得ることを優先し、睨みつける。
「どっちでもいい。早く俺の質問に答えろ!」
俺は魔力を両拳に流した。小さくなっていた魔力の炎は再び燃え上がり、相手を威圧する。
森に潜んでいた狙撃手は片付けた。積荷を盗んでいったやつらはもう遠くまで逃げただろう。俺が斬り伏せた二人も無理だ。アリーナに殴り飛ばされて気絶してるやつと、目の前のこいつから情報を聞き出すしかない。
俺はゆらめく魔力の炎に照らされ、相手を睨み続けた。一切の抵抗も、逃走も許さないために。だが、襲撃者は俺の警戒していたどちらでもない行動を取った。
襲撃者は地面でのびている仲間に複数のナイフを投げつけた。口封じのために仲間を始末しようとは思わなかったのだ。俺は警戒外の行動に、また一瞬反応が遅れた。
最も早く反応したのはアリーナだった。襲撃者たちに一番近かったのもある。彼女は気絶している襲撃者を蹴り上げ、ナイフを避けさせた。
俺は安堵もつかの間、ナイフを投げた襲撃者に視線を戻した。だが、先ほどまでいた場所にそいつの姿がない。
近くに停めていた、馬の場所で鳴き声がする。馬を繋いでいたロープを切り、跨って逃げようとしていたのだ。馬に乗って駆けだす瞬間、今度はアリーナに向けて複数のナイフを投擲してきた。
「アリーナ!」
「っ!?」
俺の叫びを聞いた彼女は、すかさず盾を構えてナイフを防いだ。盾にされた、気絶していた襲撃者にナイフが突き刺さる。仕方がない。彼女の小さな盾では防げない範囲に投げられていたのだ。
襲撃者には馬に乗って逃げられてしまった。森の暗闇の中に消え、すでに目視で捉えることはできない。
「グラムズ!肩は大丈夫?」
「ああ、毒で痺れはするが大丈夫そうだ」
「えっ!?毒矢だったの?じゃあコイツに刺さったナイフも?」
俺はアリーナに答えつつ、彼女が掴んでいる襲撃者を見た。毒矢を使っていたのだからナイフにも毒は塗られてるだろう。口封じのために投げたナイフだ、別の毒と考えていいだろう。
「逃げられたけど全員無事だしよかったね!武器をなくして盾だけなのにさ、グラムズのとこに走ってったアリーナには驚かされたよ。やっぱり一番のバカはアリーナだね」
「あんたねー。そもそもよ!グラムズに矢が刺さったのってジモンのせいでしょ?罠は見破られて襲われる、一人だけ隠れてた狙撃手を見逃す。あんたが一番のバカじゃない!」
「ううーん。それはごめんよ。そんな簡単に見つかる罠でもないし、姿を隠してた相手も強くて、本当に、グスッ、プロ集団だったんだよグスッ。」
視線を下にさげ、俯きながら謝るボロを纏った子供。腰に手を当てながらも、せせり泣くジモンに困惑する彼女と、俺は目が合う。俺は二人の元へ歩き、二人の肩に手を乗せた。
否定されることをやたらと恐れる子供と、それに困惑する彼女が俺の顔を見上げる。そして矢が刺さった右肩へと、視線が移動していた。
「二人とも、助かった。ありがとう」
俺はつとめて柔らかな表情をし、感謝した。二人はお互いの顔を見合わせ、気まずそうに笑った。それから本当の笑顔になり、二人はその笑顔のまま俺を見上げ頷いてくる。
「みなさん、彼が詳しく知ってそうなので事情を聞きましょう。周囲の森はすでに探りましたが敵はいません。一度集まりましょう」
ベニーはすでに周辺の情報を集めた上で、証人を連れてきてくれた。俺はベニーの声がした方を振り返る。そこには荷車から歩いてくる聖職者と、生き残った行商人がいた。
聖職者に後ろ襟を掴まれ、無理やり連れてこられる行商人。俺たちが寝ていた倒木の側へ雑に投げられたそいつは、倒れるように放り出され、両手を地面についた。
「お、おれは悪くねぇ!俺のせいじゃねぇ!」
「私、まだ何も聞いてませんが?あなたは何を知ってるんです?」
尻をつきながら両手で体を支える行商人を、ベニーが腰を曲げ見下ろす。顔が整ったイカれ聖職者は、ニヤけ顔で凄み問いかけていた。
「だ、だいたい、お前らは闇ギルドじゃねーのか!?ただの冒険者パーティーだって?俺は、お前らが真っ当な人間じゃないと思って乗せてやったんだ」
「さっきのヤツにも答えたが俺らは冒険者パーティーだ」
俺たちはどうやら最初から勘違いされて拾われたらしい。襲撃者たちにも闇ギルドと言われたな。なぜなんだ?
俺は考え込み、左手で口を覆う。
「ヒイッ!」
む、しまったな。左手で口を覆った今、俺はニヤけた口の刺青が見え、不気味な笑顔を作りだしている。行商人が悲鳴をあげてしまった。
「その刺青!それが証拠だろ!襲ってきたヤツらも聞いてたが、どこの闇ギルドだ!」
俺は困ってしまった。口元を左手で覆ったままパーティーメンバーを見渡し、なんと答えたらいいだろう、と目で訴えかける。
なぜかアリーナは俺を見て笑顔になり、自分の口を左手で覆った。それを見て、ジモンも口元を左手で覆う。
ジモンに袖を引っ張られたベニーもだ。そうして俺たち全員が左手で口元を覆った。四人それぞれが、笑った口のデザインが施された左手で。
俺は行商人に正直に答えようと思った。先ほどは冒険者パーティーだとしか名乗っていない。ちゃんとパーティー名を名乗れば信じてもらえるだろう。
「俺たちは、『負け犬』だ」
「……あ」
ばたん。
行商人が気を失って倒れ込んだ。唯一の情報元を失い俺はため息をこぼす。
とたんにアリーナが笑いだした。
「んふふ、ねぇ、グラムズ。今の答え方だとこの刺青は闇ギルド『負け犬』です。って聞こえるんじゃない?んふふ、あははは!」
お腹を抱えてアリーナが笑いだすと、ジモンとベニーも吊られて笑い始める。
「っはは!たしかに!グラムズ!みんなで笑った口の刺青を見せて、笑顔を作ってたらただの脅しだよ!」
「っふっふ。そうですね。私も二人と同意見です。グラムズは冒険者パーティーをやめて、闇ギルドでも開くんですか?」
「む。しまったな。それと、闇ギルドは開かん!」
俺の配慮が足りなかったみたいだな。パーティー名として『負け犬』と名乗ったつもりなのに。
俺たちはみんな負け犬としての過去と、向き合って旅をしている。だからこの名前になったのだ。少しかっこ悪くても俺たちは自分を負け犬と認め、泥とクソにまみれながらも生きている。
しかし、本当に困ったな。情報を聞きださない限り、二度目の夜襲の可能性や対応策を練れない。どうしたものか。
「ベニー、コイツはなぜ無事だったんだ?」
「…積荷のない方の荷車にいました。取るものもなく、グラムズが仲間を斬り伏せていたので、襲撃者もそちらの対応に向かい難を逃れたのでしょう。もう一人は積荷の番をしていたようで殺されていました。」
「そうか…とりあえず積荷を確認してみよう」
「まって!グラムズ、先に手当をしましょう?また襲ってくるかもしれないでしょう?」
俺はアリーナに頷き返しその場に座り込んだ。彼女に手当をしてもらう間、ベニーには再度周辺の警戒を、ジモンには罠の確認を言付けた。
夜番の順を考えるとアリーナの次にベニーだった。その次に俺、ジモンと続くはずだったのだ。まだ夜が明けるのは先のことになる。
一度夜襲が仕掛けられたのだ、今からは誰も、しばらく寝れないな。数時間後にはまた眠りにつくが、二人が見張り、残り二人が眠る交代制になるだろう。
手当を受けながらそんなことを考えていたら、罠の確認から戻ってたのだろう、ジモンの声が聞こえた。声のした方を見るとどうやら積荷のある荷車からのようだった。
「積荷のこれみてよー!!コイツらこんなの運んでたのか」
俺はアリーナと視線を合わせ、お互いにため息をついた。自ら問題を起こすジモンが、またなにか問題を起こしてくれそうな気がしたのだ。
アリーナに礼をし、周囲を警戒をしていたベニーに声をかけた。三人で問題児のいる荷車へ向かって歩く。
「これこれ!みんな見てよ!」
「おや、こんなのを積んでたのですか」
「俺たちを近づかせないわけだ、毎晩、あいつらはこれの対処をしてたんだろうな」
「…あたし、闇商人をぶん殴って叩き起こしてくる」
特に止める理由もない。アリーナには思う存分ぶん殴らせたが不思議なものだ、闇商人は起きなかった。ただの睡眠なら起こせるが気絶した人間はいくら殴らっても起きないみたいだ。
俺たちは一旦事情を聞き出すのを諦め、自分たちの荷物、そして残った二頭の馬と積荷のある一台の荷車を移動させた。俺が魚を取った岩場の陰に移動し、夜襲を警戒した。再びくる気配がなかったので二人づつ眠ることにし、朝を待つことにする。
「グラムズー、朝だよー、起きてー」
「……ああ。ジモン、なにもなかったか?」
「大丈夫だよ!それよりさー、あれ見てよ。闇商人まだ起きないけどアリーナのせいだと思わない?アリーナって歩く理不尽だよね」
俺は体を起こさず、頭だけを闇商人へ向けて確認した。昨晩。気絶状態から起こすためだが、やや過剰にアリーナは闇商人を殴っていた。彼女の勘に触るだろう積荷だったから仕方ない。パンパンに顔を腫らしただけで目覚めなかった闇商人は、朝になっても起きていないようだった。
寝ぼけ状態からだんだんと意識がはっきりしてきた。頭を元に戻し、俺を覗き込むような姿勢で起こしてくれたジモンを見上げた。
「…ジモン、歩く理不尽が歩いてきてるぞ」
「え?どゆこと?」
「こーゆうことよ!」
バン!
俺を起こすために大声で話していたのだ。彼女にも聞こえてしまうのは当然だった。まだ起きて一分と経ってない。俺は視線だけをアリーナに向け、喧嘩両成敗するのはやめた。そもそもジモンが悪いしな。
アリーナから逃げるようにジモンはどこかへと走っていく。その背中を俺と彼女は見ていたが、彼女はジモンから俺に視線を移し問いかけてきた。
「おはよ、グラムズ。ねー、ジモンって十五よね?」
「…ああ、出会った時に十四と言っていたからな。今はそうだろう。どうかしたか?」
俺は受け答えしながら上体を起こし、胡座をかいてアリーナに向き合う。禁じてはいないが、俺たちはお互いの過去をあまり探らない、だからこそ上手くまとまっている。
俺は繊細な話になると思った。なにを聞かれるのか、なんと答えるべきなのかを考え、アリーナを見つめる。それに、俺自身ジモンのことは詳しくない。
「なーんか実年齢よりも幼い気がするのよね。あたしのいた娼館のさ、小間使いの女の子たちみたいな?ジモンにどんな育ちなのかは聞くつもりないけどね。けど、精神年齢は絶対十五じゃないわね!」
「…ふっ、そうだな。ジモンは十五のわりに身長も低い。たくさん食わせないとな。アリーナとジモンのやり取りは躾けをする親子みたいだな」
アリーナの疑問は俺も思ってたところだ。そして彼女の質問は過去に追及しない、俺たち四人にとって心地のよい距離感だった。だからだろう、俺は笑い、そして余計な言葉を付け足してしまった。
「…あのね、グラムズ。あたしまだ二十二よ?あんな大きい子供産んでるわけないでしょ!ふんっ!」
「うっ!」
起きかけの一発を腹にもらい、俺は寝ぼけから完全に目覚めた。そして痛む腹をさすり、俺は立ち上がる。朝食の準備をしていて指を切ったと叫ぶ料理人の元へ歩きだした。
アリーナは俺を殴ったあと、闇商人にも一発叩き込み、起こそうとしていた。
「そいつに二発目を叩き込む前にジモンを呼び戻してくれ。先に四人で朝食を取ろう。そいつには食後に話を聞こう」
夜襲を乗り切り、俺たちは朝食を囲った。




