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Infinity·creation.  作者: XYZ


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7/8

七世先に遺すモノ。前篇

物語の一旦の幕開けは、更なる物語を引き寄せる。それを知る者は、まだ、いない・・・

ジュウゴと雄牛は先刻の宣言通り【黄泉ノ洞穴】に辿り着いていた。「……此処がその洞穴なの?主様。」雄牛は興味深げに辺りを見渡す。星座として奉り上げられた雄牛は神格の末席にその存在を昇華させることにより神語の栄誉を賜ることができる。それ故に依り代を得て神としての肉體をも得ることができた。然しながら神としての能力が低く長い年月を経ても未だ幼少の姿しか保てないのである。


人間の歳ならば五歳から六歳程度の身姿である。ジュウゴは周囲を警戒しつつ赤毛の女性の気配を探る。彼女もこの洞穴を知っている節がある。彼女の世界のオウルダーが理と天帝に反旗を翻す少女を面白がって【天符帖典】の試練を架したからだ。彼女の住む銀河にもオウルダー·プラネットは存在し、常に人間達を試し続ける。神の試練に悪意はなく、越えられない試練は与えられることはない。が、往々にして人間の意思は弱く、挫折を繰り返すと自分自身に理由を付けて放棄する。するとその銀河の心臓核のオウルダーにも影響が出て、結果、消滅してしまい銀河に悪影響を及ぼした惑星が滅亡するのが宇宙不変の理である。


しかし、救いの手は必ず同時に存在していて、その韻をちゃんと踏んでいれば別方向からの助力を受けることができるのだ。試練が重なり複数同時進行を余儀なくされた時と、こんな異例で介入してこないはずの神々が乗り出すときである。「…でも主?入口も奥の方からも人間のニオイは感じ取れないよ?人間達【刻ノ洞穴(ときのどうけつ)】から進んだんじゃない?」「…バカな。あの洞穴から進むなど我々ぐらいの長い生命の持ち主しか選ばない愚択だ。そんな愚者ならばオウルダーに認められはしまい。」


確かに刻ノ洞穴からでも蛟の巣には辿り着ける。然しながら仙人や人間は時の理には抗えない。何故ならば、彼女は仙女である。不老ではあれども、残念ながら不死ではないからだ。そう考えながらもそういう無茶をする存在が脳裏にちらつく。(・・・雄牛の言っていた存在のことなのか?)記憶も残りはしないのに新米の言葉がまるで一筋の記憶を運んでくる。(・・・その女人は本当に来るだろうか?)七世七冥まで来れるなど思えないが、これらの洞穴で命を落とした存在は死んだ場所で再び生命を賜ると聴く。記憶がないので行くも戻るも自由ではあるが、その苦悩もまた贖罪の一部となるらしい。洞穴の業と糧と成り果てる存在も少なくない。疑いながらも何処か会ってみたい感情が揺れた時、背後から水氣を帯びた存在が近づいてきた。


「・・・おや?こんな辺鄙な所で数少ない五星神(ごせいしん)を奉る同胞である銀河神道騎士群と鉢合うとは、銀河系も案外狭いのですかね?」雄牛が警戒心を顕にしながら聞き返す。「誰だよ、お前!主に何の用だ?!」ジュウゴはゆっくりと視線を向けて雄牛を宥めるように撫でた。「…心配するな。その方は敵ではない。D様の銀河神道騎士群所属、3番群隊長を務めていらっしゃる【オジ·ド·ミラージュ】様だ。」腕を曲げ左手を心臓の位置まで持ってきて添えると深々と頭を垂れる。


彼は前世のD様の世話係兼龍公爵を担う龍族古参の一人である。主に知を司る存在であったが遥か以前に起きたクーデターの際にD様を護り龍族の主星を棄てた変わり種である。今のD様を見ていると考え辛いが深い傷を負い死にかけた事があるのだそうだ。オジはそんな彼の考えを手に取るように察して返す。「…フッ、男は守るべき存在を知り強くなる。お前がそこの仔牛を護らんと力を示したように、ね・・・」口元を緩め手にする扇を閉じてジュウゴの肩に添えた。ジュウゴは目を見開き微弱ながらに顔を赤くする。


「………従僕を守るのが主の役割というものです。」滅多に聞かない他者からの自分を認める言葉が、ジュウゴの気分を揺さぶった。オジは年若い獅子の成長を微笑ましく感じながら口を開く。「・・・なるほど、F様はお前の心の成長を促す為にあの小物の神をけしかけたのだな。まぁ、良い。心を磨く行為は同胞の舐め合いでは不可能であるしな。精進したまえ。」童にでもするようにジュウゴの頭を撫でたオジは微笑を浮かべその場を立ち去った。


ーーージュウゴは己が未熟者であることをただ、ただ、苦笑とともに噛み締めた。ーーー

オジ·ド·ミラージュ。歴史にない深き始まりの龍族は、覚醒したばかりの若獅子に慈悲を差し伸べる。それは新たなる記憶の物語のキー・ポイントである。

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