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Infinity·creation.  作者: XYZ


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因果の妙。

平衡する幾重の物語が星々の星戦に集約されるまで、時は未だ薙いでいた。

ジュウゴがユリと別れて門の正面に向かえば、浅黒い肌のツノの生えた聖霊獣が人型に変化して佇んでいた。髪の色は黒く、黒牛として生きた毛並みの名残を残す。「………何故着いてくる?昔、私と共に天の星に祀られたのであろう?天霊物(てんれいぶつ)として崇められる立場だろうに。」動物霊達が辿り着ける神の位の最上位に召し上げられてまだ、雄牛は憎しみを整理しきれないのであろうか?


「……こんな辺境惑星までご苦労なことだが、生憎、俺はお前を憶えていない。お前が口にした俺の妻の事も、だ。全てを失った俺に残されたのは、助けて頂いたユキの両親への恩と、F様への絶対的な忠義のみ。」その言葉にそれまで黙していた男も返す。「………記憶が…例えばアンタから消えようとも、俺がアンタに育てて貰った恩はこの頭が記憶している。蛇の駆逐から助けられなかったのを怒っているのかい?先に心臓喰い破られたから情けないけど動けなかったんだ。赦してくれよ…」


ーーー悲しげに項垂れる大柄な男に、ジュウゴは口元を緩めた。「……酔狂な雄牛よ。着いてくるなら、覚悟しろ。この先には冥府魔導の苦痛だけだからだ。」「…大丈夫だよ、主。俺はA様に拾ってもらって主と再会できたから、闘いと死を怖がりはしない。(主と引き離される方が遥かに辛いことを、身をもって知っているからね…)。」雄牛は過去の死後の記憶を思い返していた。ーーー


❖❖❖


門を出て黄泉の平坂の入り口に辿り着いた二人は、件の男ともう一人の連れと合流した。深紅の仮面の男が面を外す。「…改めて、我が名は和氏かしと申します。神女義和を母に持ち、十焱太神とおえんたいしんの副神将兼参謀役を務める者である。」その姿は数日前に見た時よりも、強い神氣と存在感を放っていた。ジュウゴは改めて挨拶を返す。「……ジュウゴだ。【銀河神道騎士群(ぎんがしんどうきしぐん)所属、十番群を率いている。」


その一言に続くように、白銀の面の女が和氏の隣に並び立つ。「…銀河神道騎士群…お初にお目にかかります。私の名は新月につきと申します。神女・常義の娘にして、十二月神女とにつきしんにょを束ねる戦女(いくさめ)に御座います。騎士群様方におかれましては生ける伝説として神々の間に語り継がれております。お会いできて光栄に存じます。」


「……今は主要の騎士達は各宇宙を飛び回っている。聖命使、聖命女使、聖護使共に出払っていて、俺のような新参者しか残っていないが許されよ。」銀河神道騎士群(ぎんがしんどうきしぐん)とは、不老不死と云われる銀河系の神々の星の核にも等しき心臓部を破壊できる権限を与えられた存在であり、F達を奉る存在達の集団である。群は一から十で構成される少数精鋭部隊であり、隊の配属は力の優劣ではなく、単純な神力のみである。神力とは、培った徳や戦闘経験練り上げる氣や修行から算出される総合力であり、故に古参の存在が頂点に君臨するのは道理である。


ジュウゴが如何に強かろうと上には上がいる。この群に入隊できた時点で他銀河の神々を有に凌駕する力を持ち、同時にF達五星神(ごせいしん)と直接対話をする権利を得られる栄誉ある役職でもある銀河神道騎士群には個性豊かな騎士が集い、一星神最低でも一群は控えF、K、D達は猛者揃いの十群を従え、彼等の活躍は【生ける伝説】として語り継がれていた。Aは戦いを好まない温和な性格であり従える群は一つのみ、Tも現在は戦いを放棄しているため古い闘士の魂に守られながら本殿から出ることもなく暮らしていた。


「…長い挨拶は必要なかろう。件の蛇は七世七冥の先に蜷局を巻いている。しかし、この時間軸では其奴の根倉までは向かえない。【黄泉ノ洞穴(よみのどうけつ)】に向かう。」その言葉に新月が首を傾げる。「その洞穴とは?」その言葉に和氏が新月の前に立つ。「・・・この先は【初原(はつはら)】の領域。姉上は迂闊に踏み込まれてはなりませぬ。」敵意が身に突き刺さるのを知り、ジュウゴは何もせず受け入れる。「・・・そう威嚇するな。貴公らも帝舜殿に討たれればいずれ辿り着く場所である。…尤も、人間達同様に記憶に残せる所ではないわけだが。ともあれ、貴公らにそれを強いては貴公らの総大将であらせられる羲氏ぎし殿の矛先がこちらに向いてしまうので、蛇の妖魔の一件はこちらが預かろう。」


その言葉に和氏の眉が険しくなる。小馬鹿にするような物言いではあるが、実の所安堵していた。確実に言葉の意味を識れば思いを寄せる従姉も己も確実に殺されるからである。それでは帝舜を討つ事もできない。元々この戦は和氏にとっては指先ほどの興味も引かれず、この親子喧嘩の口火を切ったのも父親の嫉妬に因って母の羲和が害された事で、息子の羲氏の怒りに呼応するかの様に太陽と月の兄弟達を巻き込む形になったのだ。和氏自身は最初こそその戦いを傍観していた。彼の願いは身の内の穏やかな熱の向かうままに従姉の姉の新月を愛することにあり、言葉巧みに側に抱え込んだ彼女が危険でなければ、例え兄弟が入滅しようとも眉一つ動かすことなく見届けたことであろう。


しかし、状況は一変した。新月が妹達の身を案じこの騒動に加わってしまったのである。故に、彼は渋々行動せざるを得なかった。……そう、十焱太神と十二月神女を合わせた計22の青神達を手玉に取れる自らの手腕を活かせる立ち位置を確立するために………若神時代の苦渋の決断を思い起こしながらも目の前のウォリアーに舐められぬように野心を含んだ笑みを貼り付ける。


「…この場に居ぬ暴れん坊よりも、今は私に集中するのが得策かと思いますよ?……私は……あの戦馬鹿に負けぬ手段を手にしております。新参者の群騎士には負けておらぬので•••」それは見栄であるとしても、張らねば人間を手足に出来ぬ以上氣が押し切られれば死は必定なのだから。


ジュウゴもそれは理解していた。群を率いる以上、死ぬ事はFに対する不敬に他ならない。生かされ手脚となることを赦された栄誉を前に、他神に屠られるは奉る主の面に泥を塗る行い。群に所属する猛者達は互いの星神の為に死を越えた強さで相手を屠ることを念頭に歩んできたのだ。それがいつの間にか生ける伝説、等と呼ばれ始めた所以である。(•••まぁ、一部とんでもない化け物もいるが、未だ膠着状態であるだろうし思考の端にでも追いやっておこう。)


ーーー彼らはただ単に物語の修正や破壊活動を行っているわけではない。来たるべく星戦(せいせん)に向かう赦しを得たいがための自己主張なのだ。ジュウゴは相手の考えを推し測り引き際の一言を告げた。「…漢なら、拳で語れ。私は主の為にこの手を血で染めてきた…貴公もそうするが良かろう。」その生意気な物言いが和氏の琴線を揺らした。「……何処までも野蛮な群神め……」両雄のその睨み合いについていけない新月は羲氏の代わりに姉として珍しく歯ぎしりをして睨み合う和氏の背を掴んで心配するしかできなかった。ーーー



漸く一次創作として作り上げた存在達のお披露目をこうしてできるのは、まこと光栄の極みです。

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