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Infinity·creation.  作者: XYZ


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8/8

七世先に遺すモノ。中編

呼び合う気高き魂が奇跡の再会となる。七夕の伝説の悲恋が強敵を前に蘇る。



ジュウゴが歩を進めて世界の光から隔絶された辺りで、その光景に歪みが生じた。「これは…黄泉の独特の瘴気!主、大丈夫?!」年若い雄牛の言葉に、ジュウゴは頷く。「……この程度の瘴気、なんてことはない。」瘴気は生ある者には死の眠りに導く走馬灯を、死した者には復活の気概を殺ぐ役割をする。それは神とて同じ。故に、此処は初原の空間に続いているのだ。


この洞穴では生への執着を刈り取られた者から入滅して初原に強制転移を促される。しかし、その時点で既に意思は存在しないのだともFから聞かされたことがある。(・・・恐ろしいが神とて人と何も変わりはしないのだ。)ジュウゴには当初生きる気概が薄く、皆無ではないが生きる野心も滾らせることが出来ずにいた。その理由は彼の生地での因縁に因るものであった。ジュウゴは人間の時より優れた能力を持っていた。その上整った容姿ともなれば、異性を引き寄せる色香を備え持ち、それは人間時代の破滅をも招き寄せた。


惑星·エーヴァン…彼の魂が最初に根付いた場所である。この惑星は後の辺境惑星の地球に多くの七夕の逸話と強さと粘りのバランスを含んだ多数の竹の種子を送り込んだ。それは侵略目的の天帝の差し金であったが、侵略前に起きたクーデター騒動に因り兵力が殺がれ、疲弊した勢力図を塗り替えようと天帝は外道の道を進む事になる。守護聖樹にクーデターに関わる主戦力の仙士達を聖樹に吊るし短冊の水晶に閉じ込めるという処刑行為であった。織女を含んだ娘達を利用して仙士を籠絡、ないしは抵抗する力を失くす事を命じ、ジュウゴも巻き込まれたのである。


仙士達は織女達を憐れみ、一人、また一人と絞首刑の道を選び、天帝の高笑いと共に散った・・・。その骸は五色の短冊水晶に封じられ、永遠の聖遺骸となり逆らう後続の見せしめとされた。(……思い出した。我が名は牛郎。織女に遅効性の猛毒を盛られ、次第に立ち上がる気力を搾取されたのだ。)そう、思い出せばこの魂は死の轍に鎖繋がれた【白冊(はくざく)】と言う仙士だった。


王弟陛下の側近であり、短冊の力を持つ特殊仙士であった。織女から盛られた毒は気力と精神を削ぎ取る物であり、思考を濁された上での織女との婚姻は彼の本意ではなかった。(……あの娘はオレに毒を盛りながらも辛そうに見つめていた。)


ーーー赦して……牛郎。貴方を愛しているのよ……ーーー


彼女の懺悔とは裏腹に、怠け者、恋に溺れた愚か者等と言う悪説が下界の地上に根付き、彼の高潔な魂は貶められていった。天帝の狙いは白冊の特殊能力で、その能力を手中に収めた存在こそがエーヴァン星の天帝の座に着けると言う王族のみの口伝を先代から聞かされ続け、半ば精神を病んでいった。弟の赤冊(せきざく)は星民からの信頼も厚く、牛郎の信頼をも独占していたが故に、先代の天帝を暗殺して王座を奪った。女を侍らせ子を成しても心の空虚は埋まることがなく、暴君の限りを尽くし赤冊を含む仙士達を処刑した•••。


当時を思い出したジュウゴは隣で心配そうな表情を浮かべる雄牛に視線を送る。当時、牛郎は短冊札を上手く使いこなせなかった。短冊の能力は下界のニンゲン達の祈りの力の蓄積による恩恵に左右されるから神格を貶められた彼には使うことが不可能であった。もう一つの方法は札の能力者同士の情の蓄積でしかないが、仲間がすべて欠けた彼にはどちらも選べはしなかった。


結果、唯一の家族であった雄牛を蛟に食われる事態に陥った。(……あの日、あの瞬間に戻れたならば…)庇う雄牛の前に腕を差し出し彼を守れたやもしれない。腕一本で家族を守れるならばと考える半面、その為には更に時を遡って織女の出会いから無かったことにせねばならず、何方にせよ五体満足に手足を動かせなかった自分にはできない選択である。


雄牛が神格を得て擬人化して眉を顰め苦しそうな牛郎の頬に手を添える。「……思い出してくれた?織女を責めてはダメだよ……彼女もまたあの天帝の被害者なのだから。」その優しさに涙が溢れた。「……済まないっ……」溢れる涙に困惑していた雄牛の気配は、背中から帯びた王気に平伏する。


ジュウゴが懐かしい気配に驚き振り返ろうとして背中の温もりに硬直した。「……ああ、お前の涙は何時も私の心臓に悪い。…泣くな、今はまだ実体を取り戻せぬからその涙を拭えぬのだ。」低く、優しいその声音はFと似て不器用さが漂う。それでも過去、彼を確かに信じ、忠義を捧げた。「少し窶れたか?古き友にお前を託し、預けた決断に間違いはなかったな。」


ーーー「………赤冊様………」過去の主との邂逅にジュウゴの胸は力強く支えられるのだった。ーーー


pixiv二次創作、とこちらの一次創作を連動中です。どちらも私が作成したものなので、お暇な時に照らし合わせて読んでいただければ幸いです。一次創作の結末がノマカプになるかBLに変わるかで顛末が変わる様式です。

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