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案件22「次作のダンジョンをご期待ください2」

 とりあえず、後で羊皮紙をアサガオから貰おう。常に持ち歩いてるだろ、アサガオなら。


「仕方ない。ここは元勇者の顔を立ててダンジョン内で決闘しよう」


 ダンは俺の意見を呑む。


 マスクメロさんは、というと……。


「おうぅぅっ! 君が噂の――」


 嫌な予感はした。


 俺が没落勇者とかそういう話ではなく、勇者ちゃんの魅力というのか。そう、魔性。


 サインなど頼んだ為か、勘違いさせてしまった。


「――そこまでッス」


「サインは勇者殿の母上殿に対するものでござるよ」


 アサガオとユウガオが止めに入ってくれなければ、覆面野郎の気持ち悪い愛情表現を見ることになっていただろう。


「うぬ……。ま、待て。こんなところで戦わずして死ぬわけにはいかん」


 分別のつく大人で助かる。


「決闘もダンジョンの中でやっても構わないが……。そんな空気でもなくなった感はあるな」


「そうだな。元勇者の意を汲み、決闘は後日としよう」


 戦士同士の考え方って暑苦しいわぁ。


 とりあえず、両者が矛を収めてくれた。


 俺はマスクメロからサインを受け取る。


 面倒事を一つ背負ったような気もするが、これ以上の回り道よりかはマシだろう。


「なんだかごめんなさいね。これからだって時に……まぁ、それは私もなんだけど」


 せっかく秘密兵器を持ってきたところで、怪獣に作戦本部をぶっ壊されるような真似は勘弁だ。


「いや、こちらこそ魔王様や元勇者を思えば浅慮(せんりょ)だった」


 殊勝にもダンは大人しく謝ってくれる。


 しかし、ここで食って掛かる奴がいた。


 エントラだ。


「さっきから聞いていれば、勇者様を元だの何だの、失礼ではないですか! 一度は敗北しましたが、まだ意志は枯れてなどいませんっ!」


 恐れていたことだ。


 今まではさりげない気遣いで抑え込めていたが、どうやらそれも限界のようだ。


「この小僧は?」


「パーティーの一人で、賢者よ。名前はエントラ。平たく言うと、貴方とは真逆の魔法タイプね」


 ダンに質問されたので、端的に答える俺。


 ダンが軽く首肯だけして、ダンジョンを塞ぐ大岩へ向く。


「無視しないでくだっ……!?」


 ダンは俺の指示を優先しただけだったが、それがエントラには癇に障ったのだろう。


 更に食ってかかろうとした瞬間、ダンの振り下ろす“バスターソードⅡ”により打ち切られてしまう。


『……』


 俺の場合は「さすがはダン」と言いたい沈黙。エントラは「このデタラメめ」って沈黙だ。


「ダンジョンの中なら好きなだけ相手をしてやる。後元勇者よ、エントラにはきゅうこ――」


 やや挑発的な物言いだが、単純な実力差を見せつけて諦めさせるつもりだったのだろう。だが、それだけは言わせるまい。


「――馬鹿っ!」


「ぐおっ!」


 跳び、片足を太い首に絡めた。


 身体を前倒しに。ダンが自然とバク宙する形になる。半周して片足で地面を蹴る。


 ダンもろとも一回転。さらに二回転。三回転。


 ダンとの体重移動を上手くシンクロさせるのがコツだ。


「それはエントラの前じゃ禁句よ。それと、勇者で良いわ。後、今度下手を打ったら、わかってるわね?」


 ダンを速攻でレッグ・チョークスリパー――今俺が名付けた――に掛け、ダンジョンの中へと引っ張って言った。


 説得もとい脅迫。


「ゲホッ、ゲホッ。お、おう……なんだ、話してないのか? まぁ、あの様子だと余程ゾッコンのようだからなぁ」


 そういうことだ。話せる訳がない。


 今でさえ、ダンジョンが溶岩の海に変わる可能性さえあるのだから。


 後、すっごく小さな声で「白」って言ったのは聞き逃してないからな。


「勇者様? お話は済みましたか?」


「!?」


 エントラが話しかけてきて、ビクッと身体が震えた。


 俺を怒らせた時の皆の反応と似ている。


 ユウガオとアサガオは危険を感知したか、マスクメロの処理含めて消え去っている。


「エントラ……。ここは、私に免じて怒りを収めてくれない?」


「なぜ? なぜ、ダンジョンマスター、ダンデリオンの肩を持つのです?」


「肩を持つってわけじゃないけど……。無意味な争いを避けたいだけよ」


「大切な方を貶され、無意味と申しますか? 僕は、許せません」


 冷たい問答。


 笑顔は敵意と言う意味がわかる。


 止められないのか。そう焦燥した時、口を挟んできたのはダンだった。


「勇者の博愛はわかった。しかし、俺は立ち向かってくる者が何者だろうと受けて立つのが心情だ」


 それに反応したのは俺だけではない。


「そうでしょうとも! 勇者様は気高くお優しいのです! そして、勇者様は勇者様以外の何者でもないのですっ!」


 僅かな褒め言葉だけで許されたらしい。


 ちょろいな。


 しかし、こうして一難は去った。また一難が来るとは、この時の俺の知るところではなかったが。


「ふぅ……。ほら、エントラも浸ってないで手伝って。私の冒険はこれからよ!」


 俺達の力が初心者ダンジョンを救うと信じて!

だから、打ち切りやないですねん。

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