第13話 邪神との契約
今、俺は真っ裸の幼女を膝の上に載せている。
なぜこのような状況になったのかというとさかのぼること、一時間とちょっと前・・・
「と、とりあえず服を着てくれないか?」
「嫌じゃ」
「どうしても?」
「嫌じゃと言ったら嫌じゃ!」
「はぁ~近くに落ちている白い布を拾い上げて・・・ほぉ!はぁ!ほぉ!」
「はぁ!ほぉ!てやぁ!」
「って、いきなり何するんじゃ!」
「うっさい!この痴女が!」
「誰が痴女じゃ!裸族と言っておろうが!」
俺はどうにか彼女の一糸まとわぬ姿をどうにかしよと奮闘するが彼女はとことん裸族でありたいらしい。
「はぁ~もういいよそのままで、もう諦めた~っと・・・」
「そうか諦めおったか!」
「んなわけあるかぁぁ!油断したな!この痴女がぁぁぁ!」
バサッ!俺は白くて大きな布を翻し彼女に覆い被せようと試みる。
「なんじゃとっ!」
彼女の顔は一瞬のスキを突かれて驚愕に歪んでは・・・いなかったっ!
「あまい!ミルクに砂糖と蜂蜜を入れて更にメープルシロップを入れたぐらい甘い」
「そこまでっ!」
今度は俺が驚愕に顔を歪ませる番だった。
「黒影の鎖!」
バシッ!
「ぐっ!」
「えっ!?なんだこれ!?」
そう俺の体には無数の影が絡みついていた。そのせいで俺は身動き一つとれない。
抜け出そうとすると絡みついている影がよりきつく締め付けてくる。
「ふっふっふっ!無駄じゃ無駄じゃ我の黒影の鎖はそう易々と抜け出せんぞ。」
「くっ!なんだこれ意味わからん、放せっ!クソっ!」
「無駄じゃと言っておろうが、主がどうあがこうとそれは絶対に解けんよ」
「うっさい・・・」
「むっ!なんじゃ」
「どいつもこいつも好き勝手言いやがってぇぇぇ!」
「大体なんだよっ!屑身といいあのクソ王女といいお前といい」
「みんなみんなほんっとに好き勝手やってくれるっ!」
「もう我慢の限界だぁぁぁぁぁ!!!!」
俺は力任せに、無理やり鎖を引きちぎろうとする。
「やめんか!」
「それ以上無理をすると主の体がもたんぞ!」
ここに来てさっきまでどこ吹く風と、余裕をかましていた自称裸族幼女の顔に焦りの色がうかがえる。
「知るかっ!ボケェェェェ!!!!」
俺はさらに力を込めたすると・・・
ピキッッッ!バキッッッ!!パリィィィン!!!
俺の体にまとわりついていた漆黒の鎖が砕け散った。
「なんじゃとぉぉぉぉ!!!!」
その瞬間このとてつもなく広い部屋に彼女の驚愕の声が響き渡った。
「へっ!ざまぁ~みろ!このクソ幼女」
「あ、ヤバいまた無理しすぎた意識が・・・」
フッ———————
そこで俺の意識はまた途絶えてしまった。
ホントどれだけ気を失えば気が済むんだよ。
”気”だけにってか、自分で言ってて悲しくなってきた。
―――――――――んっ…んっっ…
何か柔らかいものが顔に当たっている。
ナンダコレなんか温かいそして柔らかい。
ぷにぷに・・・気持ちいな
「んぁ!」
ん?今の声ってまさか・・・
バッ!
俺は勢いよく跳ね起きた。
そして俺の傍らにいたのは先程の全裸少女だ。
いま彼女は服を着ている黒を基調としたレースのフリフリのドレス、俗に言うゴスロリって感じか?
しかし何故かそれがとても似合う。
それよりもなぜ彼女は顔を赤らめているのだ?
「気が付いたようじゃの。無事で何よりじゃ」
そう言って彼女はそっぽを向く。
なにっ!そのしおらしい反応!やめて逆になんか不安になる!何も悪いことしていないのになんか悪いことしたいみたいじゃん!
「お、おい俺、お前に何かしたのか・・・?」
「お主が何かをしたというか我が主に何かしたというか・・・」
「って、今のは違うっ!そう何もしとらんぞ!主の寝顔がとても愛おしゅうて我慢しきれずに頭をなぜてみたり、ほっぺを突いてみたり、額に口づけなどしておらんぞ」
したんだなこの反応は。
「・・・」
「本当じゃぞ!しておらんと言ったらしておらんぞ!」
「墓穴を掘るとはまさにこのことだな。」
「えっ?」
彼女は何のことを言っているのかわからないといった様子だ。
「いや、だから今自分で全部白状したじゃん自白したじゃん。」
「なっ!?しまったぁぁぁ!!!」
「我としたことがぁぁ~!」
「こんな小僧に後れを取るとは!」
いや、お前の方が見た目幼女のまんまだろうが。
まぁ~今はそんなことどうでもいい現状把握が先だ。
「なぁ~あんたいったい何者なんだ、あとここどこ?俺は一体どうなった、決闘はあのドラゴンは?」
「ついでに何故今更服を着ている?」
「あぁぁ~それほど一気に聞くでない」
「順番に話してやるからちと落ち着け」
「わかったとにかく説明を頼む。アホでもわかりやすいようにな!」
そんなことをドヤ顔で言う俺、この時ばかりは自身のお頭の弱さが恨めしい。
「はぁ~わかったわかった」
呆れたように彼女は返答する。
「まずは自己紹介と行こうかの」
「我の名前は・・・」
「名前は?」
「名前は・・・」
「???」
「まだないっ!」
そんなことを胸を張って言う目の前の幼女。
シバくぞクソ幼女が!
「何言ってんだお前は!百万回〇〇〇猫かっ!」
「百?猫?お主こそ何を言っているのじゃ?」
「はぁ~もういい名前は後回しだそれまでは痴女と呼ぶ!」
「な、なにを言っているんじゃ!せめて幼女と呼べ!」
「幼女はいいんだw」
「仕方ないからの、今はそれで良い。いずれは・・・のぅ?」
??なんだ今の意味深な物言いは?
まぁ~いい次だ次
「で、ここは一体何処なんだ?」
俺はこの訳の分からない空間について聞いた。
「ふむ、ここは貴様の中じゃ、と言うても貴様の中に我が勝手に創った別次元みたいなものじゃ」
なるほどということは今俺は自分の意識の中にいると考えた方がいいな・・・
ってこのクソ幼女何勝手に俺の中に別次元とかいうわけのわからないものを創ってやがんだよ。
「で?今俺はどうなっているんだ?外の状況は?」
俺が今一番気になっているのはそこだ。もしこの空間と外の時間系列が同じならマジヤバい。
「その点は心配無用じゃ!」
自信満々に幼女は言い切る。
「根拠は?」
俺は尋ねる。
「先ほども言った通りここは主の意識の中それに我が創った別次元じゃこの空間に時間と言う概念は存在せん」
「時間と言う概念が存在せんかったらどうなるんだ?」
「そのままじゃ。ここでの時間は外の時間の流れとは別物故にどちらとも干渉せんからしてこの中でいくら過ごそうが外には何の影響もなければ逆に外でいくら過ごそうがこの空間には何の影響もない。」
「つまり今ここで貴様が目を覚まし外に戻ってとしても先程と何ら変わらん状況じゃ」
なるほどな・・・
「なぁ~一ついいか」
「なんじゃ?」
「ここでお前と話したことや経験したことは外に戻ってとしても覚えていたりするのか?」
俺はふと疑問に思ったことを聞いてみる。
もしそれが可能ならここに好きな時に来て好きな時に訓練すれば外では時間が経っていないから実質強くなるのに時間はいらない。
「もちのろんじゃ!」
「きたぁぁぁぁぁーーーー!!!!」
俺は自分の予想が当たりつい歓喜の声をあげてしまう。
しかし何故この幼女そのネタを知っている。
これで俺は時間をかけずに強くなれる。
そう思った矢先彼女から一番重要なことを遅れて伝えられる。
「ただしじゃ、確かにここで話したことや経験したことは外の世界でも覚えているかもしれんが肉体には全く影響ないぞ。」
「は?」
「え?どういうこと?」
俺は嫌な予感がした。
「つまりじゃな、ここでいくら体を鍛えようと貴様の肉体には何ら影響はないということじゃ。」
「oh・・・ぬか喜びにも程があんだろ一気にテンション下がったぞ。」
そういう大事なことは一番最初に行ってほしかった。
「いや、でも、今はこうして体があるんだから少しくらいは・・・」
「全くじゃ!」
ですよねぇ~
「そもそも今お前のその体は体ではないぞ。」
「どういうことだ?」
「体に見えるかもしれんがそれは実体のない肉体じゃ」
「言ったじゃろここはおぬしの意識の中で我が主の中に創った空間じゃと」
「だから?」
俺は訳が分からないといった感じで聞き返す。
「つまりじゃな主のそれは魂と呼ばれるものじゃな、主自身のな」
「主の魂が無意識に主の体を再現したのじゃだからはそれは魂であって肉体ではない」
「故にいくらここで体を鍛えようとも外に出てしまえば全くの無意味じゃ」
「そっかぁ~やっぱそんな都合よくはいかねぇ~か」
俺は的が外れて少し落ち込む。
しかしそんな俺に幼女は弾んだような声音で話しかけてくる。
「影響がないと言っても全くの無意味ではないと思うぞ」
そんなことを言ってくる。
「いや、お前さっき全くの無意味じゃとか言ってたじゃん」
「肉体的にはじゃろ?」
「え?」
俺は一瞬思考が停止したがすぐさま脳がフル回転する。
「なぁ~もしかして覚えたことや経験したことはそのまま反映されるということだから知識や・・・そうっ!感覚なんかも、一応体の形をしているんだし体の動かし方なんかも・・・」
「ふむ、理解できたようじゃの」
幼女は嬉しそうに答える。
「まじかっ!それ最高じゃんむしろそっちの方がありがたいわ」
なら次からこっちに来て訓練することにしよう、体を鍛えるのは向こうで、みたいな感じで・・・
「しかしの一つ問題があってじゃな、我から主にそして外の空間に自由に干渉できても主からはできんのじゃ」
「主ができるのはせいぜい我と意識を通わせるぐらいしかできん、つまり中にいる我との会話ぐらいじゃな」
彼女によるとこうだ。
つまりこの空間は彼女自身が創り上げたものでこの中も俺の意識の中であるから彼女は自由に出入りができる。
もしこれが彼女自身の意識の中なら彼女だってそう簡単に出入りはできない。
人は得てして自分の意識の中に自由には干渉できないなのだそうだ。
他人の意識内だからこそ干渉できる。
そう彼女は説明してくれた。
「だからそんな重要なことは先に言ってよ~」
「またぬか喜びじゃんか」
ん?待てよ、じゃ~今の状況は可笑しくないか。
ここは俺の意識の中だ、なら何故俺は干渉できるんだ?
「なぁ~幼女」
「なんじゃ?」
「ならさなんで今俺は自分の意識にに干渉できてんだ?」
俺は疑問を口にする。
すると突然彼女の顔が真っ青になる。
「忘れておった・・・」
「こうしてはおれんグズグズするな!」
彼女はそう言って俺の手を引っ張って部屋の真ん中に連れていく。
そこにはとても巨大な魔方陣が描かれていた。
「お、おい、いきなりどうしたっていうんだよ」
俺はいきなり彼女が焦りだしたのに戸惑いを隠せない。
「黙って魔方陣の中心に立つんじゃ!」
「よいか簡単に説明するぞ」
「お、おう、頼む」
「今主はとても危険な状態におる詳しく言うとじきに死ぬ」
「余命宣告きたぁぁぁぁぁーーーー!!!!」
ってふざけている場合ではなかった。
「おい待てよもうすぐ死ぬって」
「そもそも普通は自身の意識に干渉することはできんはずなのじゃ」
「しかし物事には例外がある」
「例外・・・」
俺は嫌な予感がするのを必死に抑え込む。
「例外って何なんだよ」
「例外とはつまり自身の命の危機じゃ」
「人はみな死ぬ寸前に走馬燈をみるというじゃろあれは意識の一種と言ってもいい」
「つまり生き物は自分の死を身近に感じたときにだけ自身の意識に干渉することができるのじゃ」
「そんな・・・じゃあこのまま目が覚めなかったら俺はどうなるんだよ」
「意識ごと魂も消滅する」
「なっ!」
俺はあ彼女の衝撃的な一言に絶句する。
「た、助かる方法はないのか」
俺は彼女に聞いてみる。
俺だって死ぬのは怖いし嫌だ。
「一つだけある」
彼女はそう答える。
「教えてくれ!」
今の俺は藁にもすがる思いだ。
「しかしそれには代償がいる」
彼女は重い面もちで答える。
「代償ってなんだ」
俺は聞く。
「我と契約してもらう」
「契約?」
「そうじゃ契約じゃ」
「じゃが契約するにあたって一つ問題がある。」
「問題ってなんだ?」
「主、我が何故主の意識の中にいるかわかるか?」
突然彼女がそんなことを聞いてくる。
当然そんなこと考えたこともないのでわかるはずがない。
「いや、急にそんなことを言われてもわかんねぇ~よ」
「そうか・・・」
一言彼女はつぶやく。
そしてなぜ彼女が俺の中に存在するのか、彼女が何者なのか彼女はポツリポツリと語っていく。
その内容に俺は驚愕し同時に彼女の全てを受け入れることを覚悟するのだった。
その先に何が待っていようと・・・




